便秘で疑われる病気はこんなに多い

便秘を引き起こす病気には、次のようなものがあります。

●大腸ガン・大腸ポリープ
 わが国では、大腸ガンが20年ほど前から急激に増加して、現在はガン死亡率の上位を占めています。
特にガンが発生しやすいのは、肛門に近い直腸と、その上部にあるS状結腸で、大腸ガン全体の7割を占めています。

大腸ポリープは、大腸の内部にイボやコアのような突起ができるものです。
良性のポリープが多いのですが、中にはガン化するものもあるので、内視鏡検査のときに切除する場合がほとんどです。

大腸ガンも大腸ポリープも、大きくなると腸管が狭くなり、便が通過しにくくなるので便秘を起こします。
排便した便の形がいびつなときや、便に血液や粘液がまざっているときなどは注意が必要ですから、すぐに検査を受けましょう。
早期の段階で発見できれば、大腸ガンは完治する可能性の高いガンです。

●大腸憩室(けいしつ)
 なんらかの原因で、大腸の璧の弾力が失われ、もろくなった部分が腸内の圧力によって外側に飛び出し、袋のようなくぼみ(憩室)ができるのが大腸憩室です。
憩室に便がたまると、細菌が感染して炎症を起こしやすくなります。
炎症をくり返しているうちに、その刺激で腸管が狭くなり、便秘の原因になることがあります。

●腸狭窄(きょうさく)
 大腸ガンなどが大きくなったり、大腸憩室による炎症が起こったりしたことが原因で、腸管が狭くなることを腸狭窄といいます。
腸管内が狭まれば、便が通過しにくくなるので、便秘を起こしやすくなります。

●腸管癒着
腸管や腹膜(腹部の内臓の表面を覆う膜)が炎症を起こして、腸管が癒着してしまつた状態です。
大腸が癒着すると、便の通過が妨げられて便秘の原因になります。
腸管癒着は、子宮筋腫(子宮にできる良性の腫瘍(しゅよう)などの女性の病気や虫垂炎(盲腸炎)などの病気で開腹手術をしたあとにしばしば起こります。
癒着の起こつた場所によっては、腸閉塞(腸が閉じてしまうこと)を招く場合もあります。

●腸閉塞
 腸管の中がぶさがってしまうことで、急性便秘になって、激しい腹痛や吐きけ、腹部膨満を起こします。
放置すると、腸が壊死(えし)(組織が死ぬこと)して生命にもかかわります。
一刻も早く、処置する必要があります。

●潰瘍性(かいようせい)大腸炎
大腸の粘膜が冒されて、びらんや潰瘍(粘膜などのただれ)ができる原因不明の難病の一つです。
三十代以下の若い人に、多く起こります。
腹痛・下痢・大腸潰瘍からの出血による粘血便(粘膜と血液が混じった便)にしばしば悩まされます。
腸管が狭まつて、便秘を起こすこともあります。

●クローン病
大腸や小腸などの消化管に潰瘍が多発する原因不明の難病で、十代後半から二十代前半の若者に多く発病します。
潰瘍によって腸管が狭まるので、腹痛・腹部膨満感・便秘を引き起こします。
血便や粘液便が出ることもあります。

●老人性巨大結腸症
先天的にS状結腸が長く、便秘をくり返すうちにますます長く太くなり、そこに便がたまるようになる病気で、特発性巨大結陽症とも呼ばれます。
お年寄りに多発し、頑固な便秘が続きます。

●先天性巨大結腸症
生まれつき、直腸の神経の一部が欠けている病気で、ヒルシユスプルング病とも呼ばれます。
神経が欠けているので、その部分の蠕動運動(ぜんどううんどう)(内容物を送り出す運動)が起こらず、便がとどこおります。
その結果、腸管が通常の何倍もの大きさに拡張し、巨大結腸と呼ばれる状態を呈します。

●婦人科系の病気
子宮筋腫や卵巣嚢腫(卵巣に液体などがたまつた袋状の腫瘍ができる病気)などが大きくなると、腸を圧迫して便秘の原因になることがあります。
女性の場合、ある時期から突然に便秘が始まつたという場合は、こうした病気を疑ってみることも必要です。
子宮の内側にあるべき内膜が、子宮の外で増殖する子宮内膜症という病気があります。
この子宮内膜が腸管で増殖して出血をくり返すうちに癒着を起こし、便秘の原因になる例もあります。

●痔
日本人の痔で最も多いのは、イボ痔と呼ばれる痔核です。
肛門の粘膜下にある静脈がうっ血して大きくなり、出血したり肛門の外に飛び出したりします。
次に多いのは切れ痔(裂肛)で、肛門の粘膜が切れたり裂けたりします。
いずれも激しい痛みを伴うので、排便を我慢して便秘を起こすことがあります。
そのため、硬くなった便が患部をこすり、ますます症状が悪化するという悪循環に陥る場合も少なくありません。

病気が原因で便秘が起こることがあると頭ではわかっても、よもや自分にかぎってそんなことはないと決めつけている人が、多いのではないでしょうか。
便秘を訴える人の大半は生活習慣やストレスが原因で起こる慢性便秘ですが、前に述べたさまざまな病気か原因で起こる便秘があるという事実も無視できません。
あなたの便秘の原因がそうでないという保証は、どこにもありません。
それを証明するには、専門医による診察と検査を受ける必要があります。

危険な病気かどうかがわかる点検ポイント

便秘に悩まされている人は、必ず一度は専門医を訪れて、危険な便秘かどうかを確かめる必要があります。
特に、下の点検表に掲げた項目が一つでも当てはまる場合は要注意なので、すぐに専門医で受診してください。
中でも、②の急に便秘するようになった、⑤便に血や粘液が混じっている、⑦便が細くなったなどは、大腸ガンの初期症状によく現れますまた、⑥のように便の色が変わった場合は、大腸ガンや胃や十二指陽、肝臓、脾臓(ひぞう)などの病気も疑われます
このように便秘が続くことで、前に述べたさまざまな病気を招くことにもなります。
便秘知らずの快便で、健康な生活を送ってください。

■便秘の人の危険な病気の有無がわかる点検表

①子どものころから便秘が続いている。

②以前は便秘をしたことがないのに、急に便秘をするようになった。

③もともと便秘がちだったが、最近は特にひどくなった。

④頑固な便秘に因っていて、改善のためいろいろ実行してみたが、よくならない。

⑤便に血や粘液が混ざっている。

⑥黒ずんだ便や赤っぽい便、灰白色の便が出る。

⑦便が細くなった気がする。

⑧便秘に伴って、強い腹痛や吐きけがある。

 


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