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虚血性腸炎とはどんな病気ですか

 

Q1.虚血性腸炎とはどんな病気ですか

大腸には、栄養を送る“腸間膜動脈(ちょうかんまくどうみゃく)”という動脈がつながっています。

A1.

虚血(血液の循環が悪くなる)によって起こる大腸の炎症性疾患です。

つまり大腸への血液の流れが一時的に悪くなり、循環障害によって起こる大腸炎です。

大腸血流は腸管の中でも流量が少ないとされており、摂食後の腸管蠕動(ぜんどう)亢進時や排便時、

精神的ストレスなどが虚血発生の誘因になるとされています。

虚血の程度や、虚血が解除されて血流が再開するまでの時間により腸炎の重症度が変わります。

腸炎の重症度は一過性型、狭窄型、壊死型の3型に分類されます。

 

一過性型 ほとんどがこの一過性型です。

虚血は一時的であり、内科的な治療(安静、点滴など)によって自然に治癒します。

狭窄型 内科的な治療によって治癒しますが、腸炎による潰瘍が治るときに狭窄を来します。

狭窄の程度によっては外科的な治療を必要とする事もあります。

壊死型 虚血が続き、大腸への血液の循環が再開せず腸が壊死に陥る(腐る)ものです。

緊急手術を必要とする重症の腸炎です。

 
 Q2.どのような人に起こりやすいですか?
高齢者に多い疾患ですが、若年者にも起こります(60歳代がもっとも多く、50歳以上が全体の85%以上を占める)。

男女差はありません。

便秘が発症の引き金になることが多いです。

高血圧、虚血性心疾患、糖尿病など全身的な動脈硬化性疾患との関係は明らかではありませんが、

これらも危険因子になるとされています。

 

 
 
 Q3.どのような部位に起こりやすいですか?

大腸の中でもS状結腸から下行結腸にかけての左側大腸に多く発生します。

Q4.どのような症状ですか。

 
 腹痛、下痢、血便で急性発症します。

典型的には急に(左)下腹部痛が起こり(冷や汗や、吐気を伴うこともある)、その後便意を催して何度か下痢をするが、

下痢がだんだんと下血に変化していきます。

下血は真っ赤な粘血便で比較的多量に見えますが、輸血を要する程ではありません。
 


Q5.診断方法は?検査にはどのようなものがありますか?

 
 高齢者におこる急激な腹痛と血性下痢で、症状や経過からある程度虚血性腸炎だと予想することができます。

しかし確定診断には大腸カメラや、注腸X線検査が必要です。

また、感染性腸炎(食中毒)や、抗生物質による出血性大腸炎もよく似た症状を呈することがあるので注意が必要です。
 

 
 Q6.治療の方法にはどのようなものがありますか?

腸炎の重症度(一過性型、狭窄型、壊死型)によって、治療方針は変わります。

約半数は一過性型で、短期間のうちに軽快し後遺症も残りません。

安静にし、絶食、輸液、二次感染防止のための抗生剤投与などを行います。

腹痛に対しては対症療法として鎮痙(ちんけい)薬や鎮痛薬を投与します。

症状が改善したら食事を開始します。

狭窄型は急性期を過ぎたあと大腸に狭窄が残るものをいい、腹痛や下痢が続くことがあります。

狭窄が高度の場合には手術が必要になることもあります。

壊死型は比較的まれですが重症で、激しい腹痛から症状が急速に悪化します。

敗血症やショック状態を合併して死に至る場合もあり、壊死した大腸の外科的切除が必要です。

発症時にどの型であるかを予想することは困難なので、

腹痛の強いもの、下血の量や回数が多いものなどは入院治療が必要です。

保存的治療の基本は腸管の安静です。

発症初期で腹痛が強く、血性下痢の頻回な時期は入院の上、絶食にして点滴治療をします。

腹痛や血性下痢が治まってくれば、水分や流動食を開始します。

症状が強くない場合には、外来での通院治療が可能です。

この場合も食事療法が基本になるので、刺激物を避けて、消化の良いものを摂取するようにしましょう。 

 

 
 Q7.どのような時に手術になりますか?
 

手術が必要となるのは次の2つの場合です。

1.壊死型

大腸の虚血が改善せず、血流が再開しないために腸が完全に腐ってしまう場合です。

腹痛が強く、腹膜炎の症状が出てくれば要注意です。

緊急手術をして腐った大腸を切除しないと命に関わります。

2.狭窄型

虚血性腸炎では浅いものから深いものまで様々な深さの潰瘍が大腸にできます。

浅い潰瘍は跡形もなく自然に治りますが、深い潰瘍が治る場合に狭くなって治る場合があります。

これが狭窄型です。

発症から1~2ヶ月で起こります。

狭窄が強い場合には便が通らずに便秘になったり腸閉塞の原因になったりすることもあるので、

手術が必要になることがあります。

発症1~2ヶ月後に注腸X線検査をして、大腸に狭窄があるかないかを調べます。
 

 
 
 ひとこと
 

腹痛が強く、血性下痢もあり、症状が派手なので皆さん驚いて来院しますが、

虚血性腸炎の大部分(90~95%)は自然に、跡形もなく治り、再発することもほとんどなく予後良好な疾患です。

また、狭窄型や壊死型など命に関わってくるような場合も稀にありますので、注意が必要です。

また再発の予防には便秘が引き金になったと考えられる方は便秘にならないような注意を、

また高血圧症・虚血性心疾患・糖尿病などを合併しておられる方はこの治療を持続して下さい。