便潜血反応陽性の方へ
「便潜血検査・陽性=大腸がん」ではありません
関谷
便潜血検査で陽性の結果が出たら、次はどうすればよいですか?
- 斉藤
- 陽性が出たら、必ず精密検査である大腸内視鏡検査を受けてください。
陽性になった場合、大腸内視鏡検査を受けないでいると受けた場合に比べ、
大腸がんでの死亡リスクが約5倍高まるというデータがあります。
ところが、精密検査を受けない方が半数近くいるのです。
- 関谷
- 5倍ですか! 半数近くの方が精密検査を受けないというのも驚きですね。
- 斉藤
- がんが見つかるのが怖い、という思いもあるでしょう。
- 関谷
- 放っておく方がよっぽど怖いですよね。
- 斉藤
- そのとおりです。
ですから『便潜血検査で陽性の結果が出たら、
必ず精密検査である大腸内視鏡検査を受ける』としっかり理解していただきたい。
現在、陽性で大腸内視鏡検査に来なかった人に
受診を促すシステムは必ずしも全国で確立されているわけではありません。
一人ひとりが検査の重要性を理解する必要があります。
便潜血検査では、受診者の約7%が陽性になります。
そのうち実際に内視鏡検査を受ける人は55%程で、
その中の約3%にがんが見つかりますが過半数は早期がんです。
- 関谷
- それなら検査を受けずに不安な日々を過ごすより、安心を得るためにも精密検査は受け、
もしがんが見つかっても完治できる早期がんの段階で治療したほうがいいですね。
- 斉藤
- とても重要なことですね。
なぜ2回も便を採らないといけないのでしょうか?
1回の便の潜血反応だけで判定すると疑陰性(大腸がんがあるのに便潜血反応が陰性と判定される場合)
が約3割も存在するといわれています。
生理中の時に採便しても良いでしょうか?
尿検査も同様ですが、生理中の時採便すると陽性と判定されることがありますので、
生理中は避けたほうが良いでしょう。
痔があるので便潜血反応が陽性に出やすいと思うのですが、受けないといけないのでしょうか?
ある調査によれば、「痔がある」と言う人の便潜血反応陽性率は5%
「痔はない」人の陽性率は4%と大差はありません。
また、痔からの出血だと思いこんでいたら実は大腸がんからの出血だったということは
臨床の現場ではよく耳にします。
痔がある人でも便潜血検査を受けて、陽性と判定されたらしっかり精密検査を受ける事が大事です。
便潜血検査が陽性ということは必ず大腸がんがあるのですか?
大腸がん検診の成績を申し上げますと、要精検率(便潜血が陽性である人の割合)は、
およそ5~10%であり、がん発見率は0.10~0.15%という事になります。
言い方を変えますと1万人の人が大腸がん検診を受けると約500~1,000人の人が要精検となり、
その人達が精密検査を受けた結果、10~15人の人に大腸がんが見つかるということになります。
便潜血検査は毎年受けないといけないものですか?
特に便潜血陰性すなわち「異状なし」の人はぜひ毎年受けることをお勧めします。
というのも、大腸がんがあっても便潜血反応が陰性となってしまう場合(疑陰性)があるわけですから、
毎年受けることによってその確率は少なくなっていくわけです。
実際、毎年便潜血検査を行っているグループからは4年目以降は進行がんは発見されない
というデータも報告されています。
また、便潜血陽性で精密検査を受けた方は、検査を担当された先生にご相談下さい。