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甲状腺がん

甲状腺(こうじょうせん)とは

甲状腺はのどぼとけのすぐ下、鎖骨よりも上にあり、正面から見ると蝶々の形に似ています。

気管の前にありますが、気管や食道とはつながっていません。

甲状腺は体になくてはならない甲状腺ホルモンを作る役割を担っています。

甲状腺の悪性腫瘍(甲状腺癌)

甲状腺に起こる癌はほとんどの場合はゆっくり進行していくため、治りやすい癌です。

ほとんどの甲状腺癌は「しこり」以外の症状は乏しく、この「しこり」が診断の手がかりになります。

まれに痛み、飲み込みにくい、声がかすれるなどの症状がでることがあります。

甲状腺癌には

分化癌(ぶんかがん) 乳頭癌(にゅうとうがん)
濾胞癌(ろほうがん)
髄様癌(ずいようがん)
未分化癌(みぶんかがん)

があります。

乳頭癌、濾胞癌と髄様癌は元の甲状腺細胞の特徴をのこしているため分化癌(ぶんかがん)と呼ばれます。

一方、未分化癌は元の甲状腺細胞の特徴に乏しく、進行が早くてたちの悪い癌です。

甲状腺にできるしこりのうち約20%が癌と推定されています。

性が4-5倍程度多くかかります。

ただ、未分化がんは男性と女性とも同じぐらいの割合です。

甲状腺がんの発生頻度は、1,000人に 1人程度なので、それほど多く見られるがんではありません。

1年間での甲状腺がんでの死亡者数は約300人ぐらいです。
    
年齢では、甲状腺がんは 30歳~50歳代ぐらいに多く発生しますが、子供などの若い人にも起こることがあります。

ただ、未分化がんは高齢者に発生します。    

甲状腺がんの原因は、はっきりしたことはわかっていませんが、

大量の放射線被爆(ほうしゃせんひばく)が関係していると考えられています。

事故などで首に強い放射線をうけてしまった場合や、放射線治療を受けたことのある人は、

甲状腺がんになるリスクが高くなるといわれています。

また、甲状腺刺激ホルモンが増加した場合などが原因になるのではないかとされています。
    
遺伝的体質にも一部原因があるのではないかといわれています。

甲状腺がんのタイプの中でも、

髄様がん(ずいよう がん:甲状腺の特殊なC細胞から発生するがん)は、

その約半数ぐらいが遺伝的体質によるものであることがわかっています。

ですので、家族に髄様がんになった人がいる場合は、注意したほうがよいでしょう。

遺伝的体質にも一部原因があるのではないかといわれています。

甲状腺がんのタイプの中でも、髄様がん(ずいよう がん:甲状腺の特殊なC細胞から発生するがん)は、

その約半数ぐらいが遺伝的体質によるものであることがわかっています。

ですので、家族に髄様がんになった人がいる場合は、注意したほうがよいでしょう。

そして、食生活では、甲状腺ホルモンの材料になる物質である「ヨード」を摂取する量が多すぎる、

または少なすぎる場合に、甲状腺がんが発症するリスクが高くなるとされています。    

海藻類などに多く含まれるヨードの摂取量によって、甲状腺の病気のタイプが変わってきます。

ヨードの摂取量が不足している地域では、怖いタイプの甲状腺がんが多いというデータがあります。
    
日本人はヨードを多く含む海草をよく食べるので、甲状腺がんになる確率が高いとされていますが、

甲状腺がんでも怖くないタイプの甲状腺がん(乳頭がん)が多いのです。

さらに、慢性甲状腺炎に甲状腺がんが合併することもあります。

ちなみに、慢性甲状腺炎とは、

甲状腺ホルモンの生産・分泌が低下することによって全身の新陳代謝がおとろえる病気で、

甲状腺機能低下症のほとんどはこの慢性甲状腺炎によるものです。

慢性甲状腺炎の別名は「橋本病」といい、「バセドウ病」と同じく自己免疫疾患のひとつで、

甲状腺の病気のなかでは、この2つが多くみられるものです。

つまり、慢性甲状腺炎(橋本病)とバセドウ病は代表的な自己免疫性甲状腺疾患といえます。

性別では、男性よりも女性のほうが圧倒的に多く、男性の数十倍と言われています。

女性の少数が、潜在的にこの病気をもっていると考えられています。

また、年齢では 40~50歳代にもっとも多くみられます

乳頭癌

甲状腺癌のなかで最も多く、80%以上を占めます。

20・30歳代の方でも発見されることありますので、若いから大丈夫とは限りません。

「しこり」があるだけで他に症状はほとんどの場合ありません。

よほど大きくなると気管を圧迫して息苦しくなる、神経を侵して声がかすれる、ものが飲み込みにくい、

といった症状が現れることがあります。

進行は非常に遅くおとなしい癌です。

中には数年前から「しこり」に気づいていたが放置していた患者様が、

手術して完全に治ってしまうことも珍しくありません。

遠くの肺や骨に転移するより、甲状腺の周りのリンパ節に転移することが多いです。

甲状腺の「しこり」より頚のリンパ節の腫れで気づく人もいます。

しかしリンパ節に転移しても、きっちり手術してしまえば90%近い患者様が治ってしまいます。

極めてよく治る癌です。

運悪く手術後再発してもいろんな治療法があります。

癌を治しきれなくても何十年も元気で暮らしてみえる方もみえます。

濾胞癌

 

乳頭癌に次いで多い癌で、甲状腺がんの8%ほどを占めています。

乳頭癌と同様におとなしいがんで、「しこり」以外には症状がない場合がほとんどです。

この癌は、頚の周りのリンパ節よりも、肺や骨など遠いところに転移することが多いです。

進行が遅く早期に治療をすれば、治る率はかなり高く、80%近い患者様が治ってしまいます。

良性の「濾胞腺腫」と思われた「しこり」から出てくることもあり、細胞検査では診断が困難なことが多い癌です。

髄様癌

甲状腺癌の1~2%とまれな癌です。

甲状腺の中のカルシトニンというホルモンを作る細胞から出てきます。

このカルシトニンとCEAという物質が血液で上がります。

この癌の特徴は、1/3は遺伝することがわかっています。

残り2/3は遺伝とは関係がありません。

RETという癌遺伝子が発見されていて、この癌遺伝子を持つ方は早めに甲状腺を取ってしまう手術を行います。

この癌のなかには、副腎や副甲状腺などほかのホルモンの病気を合併することがあり、

多発性内分泌腺腫瘍症(MEN)と呼ばれています。これも遺伝性の病気です。

 

未分化癌

甲状腺癌の1%ぐらいとまれな癌ですが、きわめてたちの悪い癌です。

若い人には少なく高齢者に多いです。

診断された時には、ほとんどの場合は遠くに転移していることが多く、

手術ができないまま1年以内にほとんどの方が亡くなります。

甲状腺悪性リンパ腫:
 

2.未分化がんの症状

未分化がんの症状は、甲状腺のはれが急に大きくなり、痛みや発熱などが起こります。

さらに進行すると、気管や食道を圧迫することで、呼吸困難や食べ物が飲み込みにくくなったり、

血たんなどの症状があらわれたりします

 

悪性リンパ腫は全身のリンパ組織に生じるがんです。

橋本病(慢性甲状腺炎)という甲状腺の病気の場合、甲状腺にリンパが多くみられ、

このリンパから甲状腺悪性リンパ腫をきたすことがあります。

甲状腺が急に大きくなってくるのが特徴で、大きくなると飲み込みにくさや、息苦しさをきたします。

しかし、ゆっくり大きくなる場合もありますので、

橋本病の方で甲状腺が大きくなってきたと感じた場合は詳しい検査を受けましょう。

検査は甲状腺エコーや甲状腺穿刺細胞診を行いますが、診断を確実にし、

治療方法を決定するために手術で甲状腺の一部を切除し検査することがあります。

ガリウムシンチグラフィやCTあるいはMRIで他の臓器にも及んでいないか全身を調べます。

悪性リンパ腫のタイプや全身への広がり具合によって、化学療法や放射線療法が行われます。

1.分化がん(乳頭がん・濾胞がん)の症状

分化がん(乳頭がん・濾胞がん)の初期では、

首の「のどぼとけ」の下あたりや他の部分にかたくて痛みのないしこりがあらわれます

ほとんどの場合は、表面にでこぼことしてあらわれ、唾液をのみこむときに上下に動くという特徴があります。

分化がんでは、しこり以外の自覚症状はあまりありません。

ただ、長い時間をかけて腫瘍が大きくなってくると、のどの違和感、声のかすれ、

そして頸部リンパ節(けいぶ りんぱせつ:首のリンパ節のこと)へがんが転移します。

さらに進行すると、気管・食道へとがんが広がってしまいます。

気道や食道にまでがんが入り込むと、血たんや呼吸困難なども症状が発症します。

甲状腺がんの診断

【甲状腺エコー検査】

甲状腺の検査で最も良く行われるのはエコー検査です。

首のところにゼリーをつけて、エコーの機械をあて超音波で甲状腺を観察するので、

痛みなどは伴いませんし、体に害もない検査方法です。

甲状腺に腫瘍(できもの)があるか、サイズはどれくらいか、表面は凸凹していないか、

腫瘍の中の血流が豊富かどうかなどが検査できます。

  

 

【甲状腺穿刺吸引細胞診】

甲状腺に腫瘍がみられた時には、細胞の検査が必要な場合があります。

甲状腺を針(採血をする時の針と同じ針)で刺し、細胞を顕微鏡で観察し、がん細胞がないかどうかを検査します。

【血液検査】

多くの場合、甲状腺がんにより甲状腺ホルモンが作られなくなったり、

作りすぎたりすることはありませんので甲状腺ホルモンは正常です。

甲状腺にのみ存在するタンパク質であるサイログロブリンを測定し、がんか良性腫瘍かを判定する参考にします。

また、手術で甲状腺をすべてとってしまった後、がんの再発の指標として測定します。

サイログロブリンの値が高くなってきた場合は、再発が考えられます。

【CT検査・MRI検査】

甲状腺がんが周囲に及んでいないか、リンパ節や他の臓器へ転移していないかを検査します。


【甲状腺シンチグラフィ】

薬を注射した後、時間をおいて撮影し、がんか良性腫瘍かを判定する参考にしたり、

他の臓器へ転移していないかを検査します。

甲状腺がんの病期

甲状腺がんの病期(ステージ)は、がんの状態は進行具合、リンパ節や他の臓器への転移があるか、

などにより「Ⅰ期」~「Ⅳ期」の 4段階に分類されています。

1.乳頭がん・濾胞がん(ろほうがん)

45歳未満
I期 がんが甲状腺内に限局しているか、甲状腺に隣接する組織、リンパ節まで広がっている。
他の部分までは転移は見られない。
II期 甲状腺から肺や骨、他の部分にまで転移が見られる。
45歳以上
I期 がんが甲状腺内に限局していて、大きさは2cm未満。
II期 がんが甲状腺内に限局していて、大きさは2cm以上から4cm未満。
III期 がんの大きさが4cm以上、もしくはがんが甲状腺のすぐ外側まで広がっているが、リンパ節までは転移がみられない。
がんが、甲状腺のすぐ外側まで広がっており、さらに気管または喉頭付近のリンパ節まで転移している。
IV期 甲状腺の外側にがんが拡がっており、皮膚、気管、食道、喉頭および反回神経下の組織まで広がっているか、
がんがリンパ節まで転移している。あるいは、がんが甲状腺のすぐ外側の組織まで広がっている。
がんは頸部または肺の間にある片側または両側のリンパ節まで転移している。

2.髄様がん

0期 がんが甲状腺内に認められないことがあると言われている。
特殊な検査でのみ発見される。
I期 甲状腺内にがんが限られており、大きさは2cm未満。
II期 甲状腺内にがんが限られており、大きさは2cm以上、4cm未満。
III期 大きさが4cm以上か、がんが甲状腺のすぐ外側まで拡がっている。
しかし、リンパ節までの転移は認められない。
IV期 甲状腺の外側にがん細胞が広がっており、皮膚・気管・食道・喉頭および、あるいは反回神経下まで広がっている。

3.未分化がん

IV A期 甲状腺内にがんがあり、リンパ節まで拡がっていることがある。
手術によるがん細胞の摘出は可能である。
IV B期 甲状腺の外側にがんが広がっており、リンパ節まで転移していることがある。
手術によるがんの摘出手術は不可能である。
IV C期 がんが肺、骨などに転移が認められる。手術によるがんの摘出術は不可能。

治療

 

 甲状腺がんの治療は、外科療法(手術)、放射線療法、化学療法(抗がん剤治療)、が主な治療法です。

治療法は、がんの種類や進行具合、また患者さんの状態などを考慮して治療法が決定されます。   

それでは、甲状腺がんの各治療法についてくわしく見ていきましょう。

1.外科療法(手術)

分化がん(乳頭がん・濾胞がん)、髄様がん(ずいようがん)の治療は、

手術が基本となり、大半が手術により治すことができます。

がんがステージⅠ期・II期であれば、

左右に分かれている甲状腺(左葉・右葉)のがんのある片方を切除する「葉切除(ようせつじょ)」を行います。

比較的に簡単な手術で行うことができ、治療後の経過(予後)も良好です。   

甲状腺がんでも、10mm以下のがんであれば手術せず経過を見ることもあります。

また、内視鏡による手術を行う場合もあります。

ステージⅢ期と大きながん、または悪性度の高いがんに対しての治療は、

甲状腺全体を切除する「全摘術」を行います。

がんが、気管、食道、喉頭(こうとう)、のどのリンパ節である頸部リンパ節(けいぶ りんぱせつ)、

などにまで進んでしまっている場合は、それらも手術により切除する必要があります。   

甲状腺がんの手術による切除範囲が大きければ大きいほど、いろいろな合併症が起きてきます。

合併症としては、甲状腺機能低下(ホルモン分泌の不足)、

上皮小体機能低下(血液の中のカルシウムが不足する)、

反回神経麻痺(声のかすれ)、などがあります。

反回神経麻痺(はんかい しんけい まひ)は、

手術のときに甲状腺に接している反回神経を切除してしまうと起こるので、

できるだけ温存することを考えて手術をします。

症状は、声のかすれや水分を飲むとむせるなどです。
 

2.放射線療法

手術で摘出できなかったために、術後、放射線療法を行うことがあります。
   
放射線治療は、X線などの放射線をがんに照射して、がん細胞を攻撃・死滅させる治療のことです。

体の外から放射線を照射する「外部照射」と、体の中から放射線を照射する「内部照射」があります。

甲状腺がんの中でも、「ステージⅢ期とⅣ期の分化がん」と「未分化がん」には、

放射線を外部から照射する「外部照射」により治療します。

それ以外の甲状腺がんの場合は、がんに直接、放射性元素(放射線を出す物質)を入れる

「小線源治療(しょうせんげん ちりょう)」を行います。

【放射性ヨード内用療法】

甲状腺は昆布やのりなどに含まれるヨードを材料として取り込んで、甲状腺ホルモンを作ります。

乳頭がんや濾胞がんは正常な甲状腺細胞と似ており、ヨードを取り込む性質を持っています。

放射性ヨード内用療法はがん細胞のこの性質を利用しており、

放射性ヨードを飲むと放射性ヨードはがん細胞に取り込まれて甲状腺がん細胞を破壊します。

手術で取り切れなかったがん細胞や転移した部分も破壊することができます。

正常な甲状腺が残っていると放射性ヨードは正常な甲状腺にばかり取り込まれて、

がん細胞に取り込まれないため、

放射性ヨード内用療法は手術で甲状腺をすべてとってしまった方が対象となります。

放射能を発生する性質のある「放射線ヨード」を飲んで小線源治療を行う場合もあります。

ただ、放射線ヨードを飲んで行う小線源治療の効果が期待できるのは、

乳頭がんと濾胞がん(ろほうがん)に限られます。

3.化学療法(抗がん剤治療)

甲状腺がんでも、髄様がん(ずいようがん)、未分化がん、ステージⅣ期の乳頭がんには、

様々な種類の抗がん剤を使うことがあります。

4.内分泌療法

甲状腺がんの内分泌療法(ホルモン療法)では、

甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌を抑える「TSH抑制療法(TSH よくせい りょうほう)」があります。
   
「甲状腺刺激ホルモン」は、脳の「脳下垂体(のうかすいたい)」という場所から分泌され、

甲状腺に働きかけることで、甲状腺は、「甲状腺ホルモン」を分泌します。

甲状腺ホルモンは、全身の新陳代謝(しんちんたいしゃ)や

成長の促進(そくしん)に関わる大切なものですので良いのですが、

甲状腺刺激ホルモンは甲状腺のがん細胞の増殖にまでも働きかけてしまうのです。

つまり、甲状腺刺激ホルモンが多く存在すると、がんが活性化して増殖能力などが高くなってしまうので、

甲状腺がんの手術の後、甲状腺刺激ホルモンを抑制して再発を予防するために、

甲状腺ホルモンをより多めに服用することがあります。

ただ、TSH抑制療法の効果が期待できるのは、乳頭がんと濾胞がん(ろほうがん)に限られます。

よって、甲状腺ホルモンを服用することは、甲状腺刺激ホルモンを低下させ、

甲状腺がんが増えるのを防ぐ目的もあります。

手術の合併症としては声がかすれる、出血、

指先や口の周りがしびれる(血液中のカルシウムが下がる)などがあげられます。

 

甲状腺がんの治療後の生活            

手術が終わった後も定期的な検査を要します。

サイログロブリンの測定やエコー検査、CT検査や甲状腺シンチグラフィ検査を行います。

必要な方は甲状腺ホルモン剤の服用を続ける必要があります。

食事や運動の制限はありません。

出産も問題ありません。

           
甲状腺がんを早く見つけるために

甲状腺のしこりのうち、多くは良性腫瘍です。

しかし、一部にがんが含まれ、早期に治療すれば完全に治ってしまいます。

首のところにしこりを感じたり、健診で異常を指摘された場合は、病院を受診し詳しい検査を受けましょう。

 
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ただ、甲状腺機能低下と上皮小体機能低下(じょうひ しょうたい きのうていか)については、

飲み薬により治療することができます。