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C型慢性肝炎

C型慢性肝炎とは、肝炎を起こすウイルス(C型肝炎ウイルス)の感染により、

6ヵ月以上にわたって肝臓の炎症が続き、細胞が壊れて肝臓の働きが悪くなる病気です。

初期にはほとんど症状はありませんが、放置しておくと、

長い経過のうちに肝硬変や肝がんに進行しやすいことが知られています。

現在わが国には100人に1~2人の割合で、C型慢性肝炎の患者さん、

あるいは本人も気づいていないC型肝炎ウイルスの持続感染者(キャリア)

がいると推測され、“21世紀の国民病”とまでいわれています。

C型慢性肝炎―放置すると肝硬変、肝がんに

C型肝炎ウイルスの正体

日本人では1b型のC型肝炎ウイルスが多い

ウイルスはナノレベル(1ナノメートルは100万分の1ミリメートル)の大きさで、

自分を複製する遺伝子を蛋白質で覆っただけの少し奇異な微生物です。

C型肝炎ウイルスはそれが持っている遺伝子の違いにより主に1a、1b、2a、2bなどのタイプに分類されています

(これを遺伝子型=ジェノタイプといいます)。

日本人に多いのは1b型で約70%、2a型、2b型がそれぞれ20%、10%程度で、1a型はほとんどみられません。

1a、1b型はインターフェロンが効きにくいタイプとされています。

C型肝炎ウイルスの形とタイプ


 

C型肝炎ウイルスの感染経路

C型肝炎ウイルスは血液を介して感染します。

感染している人の血液が他の人の血液の中に入ることで感染しますが、空気感染や経口感染はありません。

現在わが国の感染者の多くは、C型肝炎ウイルスが発見される前の輸血や血液製剤、

あるいは注射針が使い捨てになる前の注射針の使い回しなどで感染したものと考えられています。

現在ではこのような原因で新たに感染することはほとんどありません。

問題になるのは、ピアスや入れ墨、覚せい剤などの回し打ち、あるいは不衛生な状態での鍼治療などです。

また、性交渉による感染や母から子への感染(母子感染)はごくまれとされています。

C型肝炎ウイルスの感染の可能性が一般より高いと考えられる方

  1. 1992(平成4)年以前に輸血を受けた方
  2. 大きな手術を受けた方
  3. 血液凝固因子製剤を投与された方
  4. 長期に血液透析を受けている方
  5. 臓器移植を受けた方
  6. 薬物濫用者、入れ墨をしている方
  7. ボディピアスを施している方
  8. その他(過去に健康診断等で肝機能検査の異常を指摘されているにもかかわらず、
  9. その後肝炎の検査を実施していない方等)

厚生労働省による検査受診の呼びかけの対象の方

<フィブリノゲン製剤(フィブリン糊としての使用を含む)を1994(平成6)年以前に使用された可能性のある方>
▼1994(平成6)年以前に公表医療機関で治療を受け、下記(1)~(5)に該当された方

  • (1)妊娠中又は出産時に大量の出血をされた方。
  • (2)大量に出血するような手術を受けた方。
  • (3)食道静脈瘤の破裂、消化器系疾患、外傷などにより大量の出血をされた方。
  • (4)がん、白血病、肝疾患などの病気で「血が止まりにくい」と指摘を受けた方。
  • (5)特殊な腎結石・胆石除去(結石をフィブリン塊に包埋して取り除く方法)、
  • 気胸での胸膜接着、腱・骨折片などの接着、血が止まりにくい部分の止血などの治療を受けた方
  • (これらの治療は、フィブリノゲン製剤を生体接着剤のフィブリン糊として使用した例で、
  • 製薬会社から厚生労働省へ報告されたものです。詳しくは治療を受けた医療機関に直接お尋ねください。)  

C型慢性肝炎の自然経過

10~30年で約4分の1が肝硬変、肝がんに

C型慢性肝炎は軽い肝炎のまま経過するケースもありますが、約7割は徐々に病気が進行し、

治療しないと10~30年でその3~4割が肝硬変、さらに肝がんに移行するといわれています。

長期間の炎症で肝臓の細胞が壊れ、それを埋める形で線維成分が増加し、

肝臓が硬くなってしまう状態が肝硬変です。

肝硬変になると肝がんが発生しやすくなるだけでなく、食道静脈瘤※1の破裂や肝性脳症※2など、

生命に関わる重大な合併症が起こりやすくなります。

  • ※1食道静脈瘤
       
  • 肝硬変になると肝臓に血液を運ぶ門脈の流れが悪くなり、
  •  
  • 血液は肝臓を迂回して食道の静脈を通るようになり、瘤を作ります。
  •  
  • ひどくなると破裂して下血、吐血を起こします。
  •  
  • ※2肝性脳症
       
  • 肝臓で処理されるべきアンモニアが脳にたまり、異常な行動や昏睡などの症状が起こります。

C型慢性肝炎の自然経過

治療しないと10~30年後に肝硬変、肝臓がんに移行しやすい 

 日本人の患者数とその特徴

わが国でのC型慢性肝炎の患者さんは、

肝炎症状のない持続感染者(キャリア)を含めると150万~200万人いると推測されています。

年齢は40歳代以上に多く、

C型肝炎ウイルス対策が講じられる以前の輸血などの医療行為による感染が背景にあることを示しています。

しかし医療機関で何らかの治療を受けている人は50万人にすぎず、

残りの100万~150万人の中には自分がC型肝炎ウイルスに感染していることに気づいていない人

もいる可能性があります。

厚生労働省が2002年から市町村の住民健診に肝炎ウイルス検診を加えたところ、

1年間で新たに3万人のC型肝炎ウイルス感染者が発見されています。

年齢別C型肝炎ウイルス抗体陽性率


30歳以上の100人に1~3人がC型肝炎ウイルスに感染

 

わが国の肝がんによる死亡者数は1975年以降急増しており、2004年には約3万2,000人が死亡し、

肺がん、胃がんに次いでがん死亡の第3位を占めるに至っています(女性では第4位)。

そして肝がんの原因の約80%はC型肝炎ウイルス由来であることがわかっています

(国立がんセンター がん対策情報センターによる「最新がん統計(2004年)」より)。

肝がん死亡率の推移

 
 

肝がんの原因

 

C型肝炎ウイルス感染の有無は、まずC型肝炎ウイルス抗体※1を測定して調べます。

抗体陽性は過去にC型肝炎ウイルスに感染したことを意味しますが、

既にウイルスが排除されている場合もあります。

そこでウイルス遺伝子(HCV RNA)定性検査を行い、感染が持続しているかどうかを確認します。

HCV RNA定性検査が陽性でAST(GOT)とALT(GPT)※2に異常があれば、

C型慢性肝炎と診断されて治療することになります。

HCV RNAが陽性でも肝機能の異常がみられない場合は、経過をみるのが一般的です。

しかし、最近では肝機能が正常でも患者さんの年齢などを考慮して、治療を開始することもあります。

  • ※1抗体
       
  • 細菌やウイルスに感染した際に、身体にとって異物と認識する免疫反応により作られる蛋白質。
  •  
  • ※2 AST(GOT)とALT(GPT)
       
  • 肝臓の細胞に含まれる酵素で、肝炎があると肝臓の細胞が壊れて血液中に流れ出し、
  •  
  • 血液中の値が高くなります。
       
  • AST:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ。
  •  
  • GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)ともいう。
       
  • ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ。
  •  
  • GPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)ともいう。

C型慢性肝炎の検査・診断の流れ


 

「肝機能異常」というとき、一般的にAST(GOT)、ALT(GPT)が高値であることをいいます。

これらは肝臓の細胞が壊れたときに血液中に出てくる酵素だからです。

2つの酵素のそれぞれの値とともに、どちらがより高いか(AST/ALT比)も大切です。

AST、ALTの異常が指摘された場合は、放置せず、最寄りの医療機関で詳しい検査を受けましょう。

そして、肝機能異常の原因がC型肝炎ウイルスによるものか、

それとも他の原因によるものかを確認しましょう。

C型肝炎ウイルスの感染を確かめるためには、

C型肝炎ウイルスの抗体あるいはウイルス遺伝子を調べる血液検査が行われます。

AST、ALT異常のみられる疾患

項目 正常値 検査結果と疑われる疾患
AST
(GOT)
40IU/L以下                    ともに高度の高値(2,000~3,000IU)→急性肝炎

                     AST<ALT→慢性肝炎(AST/ALT比 0.6前後)

                        AST>ALT→肝硬変(AST/ALT比 2.0以上)
                     →肝がん(AST/ALT比 3.0以上)

                    ASTのみ高値→心筋梗塞など肝臓以外の疾患

ALT
(GPT)
35IU/L以下

※正常値は施設により多少異なります。IU:国際単位

抗体は細菌やウイルスに感染したときに体の中で作られる物質で、

陽性だからといって現在感染しているとはいえません。

現在も感染しているかどうかを知るためにはC型肝炎ウイルス遺伝子検査が必要です。

ウイルス遺伝子検査が陰性であれば、

過去に感染したけれども現在はウイルスが排除され治っていることを示します。

仮にウイルス遺伝子検査が陽性で、感染が確認された場合でも、肝機能異常がなければ

無症候性キャリア(持続感染者)として、

通常は定期的な検査(2~4ヵ月に1回)で経過をみることになります。

C型肝炎ウイルス遺伝子検査が陽性で、肝機能異常が6ヵ月以上続いている場合、

はじめてC型慢性肝炎と診断され、治療の相談をすることになります。

肝炎の程度などによってはすぐに治療が必要な場合もあります。

 

健康診断などで肝機能異常あるいはC型肝炎ウイルス抗体陽性が指摘されたら、

早めに最寄りの医療機関で詳しい検査を受けましょう。
 
初診では受診に至った経緯を話し、医師の診察を受けます。

当日あるいは別の日に、採血による血液検査が行われるはずです。

この血液検査には、C型肝炎ウイルス感染の有無を調べるC型肝炎ウイルス遺伝子検査、

肝炎の有無と程度〔AST(GOT)、ALT(GPT)〕、肝硬変への進行度(血小板数など)、

肝臓の働きの程度(血清アルブミンなど)、またC型肝炎以外の病気の可能性を調べる検査が含まれています。

C型肝炎ウイルス(HCV)の感染の有無や状態を調べる検査

検査 HCV抗体検査 HCVコア
抗原検査
HCV遺伝子検査
定性検査 定量検査 遺伝子型検査
方法 血液検査(採血による検査)
HCVに対する抗体の有無と量を調べる ウイルス中心部の蛋白質(抗原)を調べる HCVの遺伝子(RNA)の有無または量を調べる HCVの遺伝子型(ジェノタイプ)を調べる
目的

特徴
現在および過去のHCV感染の有無
スクリーニング(感染の可能性のある人を見つける)
現在の感染の
有無を確定
治療法の選択
現在の感染の有無 治療法の選択
インターフェロン治療の効果予測
経過観察
治療効果の判定
治療法の選択
インターフェロン治療の効果予測

血液検査で、C型肝炎ウイルスの感染と肝炎〔AST(GOT)、ALT(GPT)の異常〕が確認されれば、

C型慢性肝炎が強く疑われます。

肝炎の状態が続いているかどうか血液検査を定期的に行って経過観察しながら、

病気の進行の程度をより詳しく知るため、並行して超音波(エコー)検査などの画像診断が行われるでしょう。

超音波(エコー)検査

おなかに超音波の探子(プローブ)を当てて、肝臓の様子をモニターに映し出して観察する検査です。

痛みもなく、10分前後で終わる簡単な検査です。

CT/MRI

検査台の上に横になり、X線(CT)や磁気(MRI)を出すドーム状の機械の中に入ります。

肝臓を数ミリきざみで輪切りにした画像が得られます。

こちらも痛みはなく、15~20分程度で検査は終わります。

肝機能検査

肝炎の診断のための血液検査

AST(GOT) 肝臓の細胞に含まれる酵素。肝炎があると細胞の破壊により血液中に流れ出て血液中の値が高くなる。 正常値:40IU/L以下
ALT(GPT) 正常値:40IU/L以下

(正常値は施設によって多少異なります)

病気の進行の程度をみる血液検査

検査項目 検査の意義 肝硬変の疑い
AST/ALT比
(GOT/GPT比)
肝硬変では上昇することが多い。
肝炎では低下。
2.0以上
(肝炎0.6前後)
血小板 肝炎や肝硬変の進行とともに数が減少。 10万/mm3以下
肝予備能 血清アルブミン 肝臓で作られる蛋白質で
肝障害の進行とともに低下。
3.5g/dL以下
プロトロンビン試験
ヘパプラスチン試験
プロトロンビンもヘパプラスチンも肝臓で作られる血液凝固因子で、肝障害の進行とともに低下。 50%以下
ICG試験 肝臓で処理されるICG(インドシアニングリーン)という色素を注射。肝機能が低下すると処理が遅れ、色素が血中に滞る。 30%以上

 

2~3回の診察と検査で、C型慢性肝炎の診断がほぼ確定し、その病状の概略もわかれば、

受診している医療機関によっては肝臓専門医のいる病院を紹介してくれるかもしれません。

また患者さん自身が現在受診している医療機関の診断に不安を感じたら、

肝臓専門医にセカンドオピニオンを求めるのも1つの方法です

(肝臓専門医は日本肝臓病学会のホームページで一覧を参照することができます)。

これまで受けてきた血液検査や画像診断で、病気の進行の程度はほぼわかりますが、

さらに詳しく知る必要があるときは、肝生検が行われることがあります。

肝生検は直径2~3ミリの針を直接肝臓に刺し、肝臓の組織のごく一部を採って、顕微鏡で観察する検査です。

局所麻酔をして行いますので痛みはなく、数分で済みますが、終了後数時間は安静が必要で、

通常1泊入院して経過を観察します。

また治療法を選ぶ際の参考に、

C型肝炎ウイルスの量や遺伝子型(ジェノタイプまたはセログループ)を調べる血液検査が行われます。

肝生検でわかる慢性肝炎の進行の程度

炎症・壊死
A0 壊死・炎症なし
A1 軽度の壊死・炎症
A2 中等度の壊死・炎症
A3 高度の壊死・炎症
線維化
F0 線維化なし
F1 少し線維化がある
F2 線維化が中程度まで進んでいる
F3 肝硬変の一歩手前の状態
F4 肝硬変

[犬山シンポジウム、1996]
 

C型慢性肝炎の診断が確定し、病気の進行の程度とC型肝炎ウイルス量と

遺伝子型(ジェノタイプまたはセログループ)が明らかになれば、

医師からあなたへ病状と今後の治療方針について説明されるでしょう。

C型慢性肝炎治療の目標は将来の肝硬変への進行あるいは肝がんの発生予防にあり、

そのために原因であるC型肝炎ウイルスの排除を目的としたインターフェロン療法が第一に考慮されます。

インターフェロン療法の効果は、

主にウイルス量と遺伝子型(ジェノタイプまたはセログループ)によって変わります。

以下は推奨される治療法ですが、絶対的なものではありません。

医師の話をよく聞き、わからないところは質問して、

病状と治療をよく理解した上で医師と共に治療法を選んでください。

[初回治療]

[再治療(無効・再燃)]

初めてインターフェロン治療を受けたときの効かなかった原因をよく調べたうえで、

完全な治癒を目的とする治療を行うのか、肝硬変や肝がんに進行するのを抑えるために

ALT値とAFP値の正常化や安定化をはかる治療を行うのか、治療法が検討されます。

※AFP値:慢性肝炎や肝硬変、肝がんでは、この数値が高くなる。

肝細胞が再生するときに血中にあらわれる蛋白質の1つ。

ウイルスにより肝臓で炎症が起きて肝細胞が破壊されて、肝細胞が再生されるときや、

肝がんが増殖しているときに、この蛋白質の量が多くなる。

 

C型慢性肝炎の治療法には、C型肝炎ウイルスを体の中から排除して感染からの治癒を目指す原因療法と、

肝機能を改善して肝炎の悪化を防ぐ対症療法(肝庇護療法)があります。

原因療法

主役はウイルスの増殖を抑える働きを持つインターフェロンです。

C型肝炎ウイルスを体内から排除して完全治癒を目指します。

いくつかの種類がありますが、いずれも注射剤です。

最近では週1回の注射で優れた効果を示すペグインターフェロンという新しい製剤も登場しています。

リバビリンは単独で使用しても効果がありませんが、

インターフェロン、ペグインターフェロンとの併用でウイルス排除効果を飛躍的に高める内服薬です。

対症療法

ウイルスを体内から排除する効果はありません。

肝炎の沈静化を目的として肝機能〔AST(GOT)とALT(GPT)〕を改善します。

グリチルリチン配合剤(注射薬)またはウルソデオキシコール酸(内服薬)が主に使用されます。

C型慢性肝炎の治療法

治療法 主な薬剤
原因療法 C型肝炎ウイルスを排除して完全治癒を目指す ●インターフェロン(注射)
●ペグインターフェロン(注射)
●リバビリン(内服:インターフェロンと併用で用いる)
対症療法
(肝庇護療法)
肝機能を改善して肝炎の悪化を防ぐ ●グリチルリチン配合剤(注射など)
●ウルソデオキシコール酸(内服)

C型慢性肝炎と診断された患者さん(成人)には、原則としてまずC型肝炎ウイルスの排除を目指して

インターフェロンを中心とした原因療法が行われます。

インターフェロン療法の場合、

ウイルスの量や遺伝子のタイプ(ジェノタイプ)によって適した治療方法を決定します。

過去にインターフェロン療法を受けたことがない場合は初回治療、

インターフェロン療法を受けたがC型肝炎ウイルスを排除できなかった場合は再治療になりますが、

治療方法が異なる場合もあります。

また、患者さんの体調や合併した病気の状態によってはリバビリンとの併用療法を受けられない場合もあり、

そのような場合にはインターフェロン単独の長期治療を考慮します。

C型慢性肝炎の主な治療方法

初めてインターフェロン治療を受ける場合(初回治療)

  ジェノタイプ 1 ジェノタイプ 2
ウイルス量 多い ペグインターフェロン
アルファ-2bまたは2a
+リバビリン併用療法(48~72週間)

インターフェロンベータ
+リバビリン併用療法(48~72週間)

ペグインターフェロンアルファ-2b
+リバビリン併用療法(24週間)

インターフェロンベータ
+リバビリン併用療法(24週間)

少ない インターフェロンまたはペグインターフェロンアルファ-2a単独療法(8~48週間)

過去にインターフェロン治療を受けたことがある場合(再治療)

初めてインターフェロン治療を受けたときの効かなかった原因をよく調べたうえで、

完全な治癒を目的とする治療を行うのか、肝硬変や肝がんに進行するのを抑えるために

ALT値とAFP値の正常化や安定化をはかる治療を行うのか、治療法が検討されます。

※AFP値:慢性肝炎や肝硬変、肝がんでは、この数値が高くなる。

肝細胞が再生するときに血中にあらわれる蛋白質の1つ。

ウイルスにより肝臓で炎症が起きて肝細胞が破壊されて、肝細胞が再生されるときや、

肝がんが増殖しているときに、この蛋白質の量が多くなる。

 

ペグインターフェロンは、インターフェロンにポリエチレングリコール(ペグ)という物質を結合させ、

インターフェロンの血中濃度を長時間安定に維持し、週1回の注射(皮下注射)で

優れた効果が得られるように作られた新しいインターフェロン製剤です。

リバビリンは単独使用ではウイルスを排除する力はほとんどありませんが、

インターフェロンと併用することによりそのウイルス排除効果を増強します。

インターフェロン療法の開始と同時に服用を始め、1日2回朝夕食後、24~72週間服用します。

ペグインターフェロン製剤には、ペグインターフェロンアルファ-2bと

ペグインターフェロンアルファ-2aの2剤があります。

ペグインターフェロン・リバビリン併用療法はウイルス遺伝子型(ジェノタイプ)1型(セログループ1)で

ウイルス量の多い患者さんに用いられます。

しかしながら、リバビリンとの併用療法は、

妊婦または妊娠している可能性のある女性の患者さんには使用できません。

インターフェロン単独療法が効きにくいウイルス遺伝子型(ジェノタイプ)1型(セログループ1)で、

ウイルス量の多い患者さんにペグインターフェロン・リバビリン併用療法を48週間続けたところ、

50~60%の患者さんでウイルスが排除できました。

従来のインターフェロン単独療法(2~5%)やインターフェロン・リバビリン併用療法(20~30%)に比べて

はるかに高い効果が期待できます。

また、1型でウイルス量の低い患者さんや2型の患者さんでは約90%と

ウイルス排除効果が高まっています。

※ペグ(PEG)とはポリエチレングリコールという体に無害な高分子の物質で、

これをインターフェロンに結合させることで、インターフェロンの体内での持続時間が延長します。

 

インターフェロンの副作用の中で最も多いものは、投与初期にみられる「インフルエンザ様症状」です。

インフルエンザにかかったときのように、発熱や全身のだるさ、悪寒、頭痛、関節痛などがみられます。

治療を始めて数日間が最も強く、次第に軽くなってきます。

この副作用への対処を含め、検査や経過観察のために最初の1~2週間は入院治療がすすめられています。

2週目以降も全身のだるさや食欲不振が続くこともありますが、注意が必要なのは抑うつ状態です。

不眠やいらいら感が抑うつ状態の徴候である可能性があります。

その他、糖尿病の悪化や甲状腺機能異常(動悸・発汗・むくみ)、またまれにですが、

間質性肺炎※1(咳・呼吸困難・微熱)がみられることがあり、

こうした症状がみられたらすぐに主治医に連絡して適切な処置を受ける必要があります。

また貧血、白血球減少、血小板※2減少などの血液の異常がみられることがありますが、

多くの場合その程度は軽く、そのまま治療が継続できます。

インターフェロン療法では必ず何らかの副作用を経験することになりますが、

医師の指示どおり定期的に検査を受けて、何らかの異常に気づいた場合は必ず医師に相談することが大切です。

リバビリンでよくみられる副作用には貧血があります。

投与期間中は定期的な採血によってヘモグロビン値※3の推移を観察します。

その他、発疹あるいは食欲不振、吐き気などの消化器症状、

めまい、ふらつきなどの自律神経症状があらわれます。

また、リバビリンを服用すると精子や卵子に異常が出現する危険性がありますので、

治療中と治療後6ヵ月間は必ず避妊するようにしてください。

なお、65歳以上で糖尿病や高血圧の治療を受けている場合は、脳血管障害を併発する危険がありますので、

治療を行うかどうか主治医とよくご相談ください。

  • ※1 間質性肺炎
     
  • 呼吸を司る肺組織(肺胞)と毛細血管との間の間質という部分に起こる肺炎。
  •  
  • ※2 血小板
     
  • 血液の一成分で、止血に重要な役割を果たし、過剰に減少すると出血しやすくなります。
  •  
  • 主に肝臓で作られるため肝臓の線維化の指標にもなっています。
  •  
  • ※3 ヘモグロビン値
     
  • 血液中の赤血球に含まれる色素の量で、リバビリンは10g/dL以下に低下したら減量し、
  •  
  • 8.5g/dL以下の場合は中止します。

インターフェロンの副作用

発現時期 よくみられる副作用 注意が必要な副作用
初期
(1週間以内)
インフルエンザ様症状
(発熱・悪寒・全身倦怠感・頭痛・関節痛など)
食欲不振
発疹・かゆみ
 
中期
(2~12週)
全身倦怠感
食欲不振
不眠
不安・イライラ感
抑うつ状態
間質性肺炎
(咳・呼吸困難・息切れなど)
糖尿病悪化
後期
(3ヵ月以降)
脱毛 甲状腺機能異常
(動悸・発汗・むくみなど)
検査値異常
(治療期間中)
  貧血
白血球減少
血小板減少

患者さんの体調や合併した病気の状態によってはリバビリンとの併用療法を受けられない場合もあり、

そのような場合にはインターフェロン単独の長期治療を考慮します。

C型慢性肝炎に使用されるインターフェロン製剤には

インターフェロンアルファ(遺伝子組み換え型・天然型)とインターフェロンベータ(天然型)があり、

前者の遺伝子組み換え型製剤には、アルファ-2a、アルファ-2b、アルファコン-1の3製剤があります。

投与方法は製剤によって異なりますが、インターフェロンアルファ製剤では

最初の2~4週は毎日、その後は週3回のペースで筋肉内もしくは皮下注射します。

ウイルスの完全消失と肝機能の改善が得られた人では未治療の人に比べて明らかに肝がんの発生率が低く、

またウイルスの完全消失が得られなくても治療中肝機能が改善された場合は、

肝硬変や肝がんへの進行が抑えられることがわかっています。

インターフェロン療法の効果

インターフェロン治療で著効(ウィルス消失・肝機能正常化)を示した人は無効の人より肝がん発生率が低い。

治療後再燃した人(治療中は肝機能正常化)でも無効の人より肝がん発生率は低い

[笠原彰紀、林紀夫:第60回日本癌学会総会発表、2001]

 

グリチルリチン配合剤

最初は毎日、その後週に2~3回注射します。

肝臓の細胞膜を強化し、肝細胞の破壊を防ぐ作用があります。

肝機能を正常に近い状態で保つことにより肝がんの発生を減少させる可能性が報告されています。

副作用として、まれに高血圧、浮腫(むくみ)、血清カリウム値の低下がみられることがあります。

ウルソデオキシコール酸

1回1~2錠を1日3回服用します。

肝臓の血液の流れをよくし、または肝臓にエネルギーを蓄積することによって肝機能を改善します。

重い副作用はほとんどみられません。

漢方薬

小柴胡湯(しょうさいことう)が用いられることがあります。

間質性肺炎を起こすおそれがあるのでインターフェロンと併用できません。

 

慢性肝炎から肝硬変、肝がんへの進行を阻止するには、

インターフェロンを中心とした原因療法で肝炎を完治させてしまうことが第一選択ですが、

それが困難であれば、次に肝機能〔AST(GOT)、ALT(GPT)〕を

できるだけ正常に近づけることを目指します。

ウイルスが排除できなくても、AST(GOT)、 ALT(GPT)を長期間できるだけ低い値に保つことができれば

肝がんの発生リスクを軽減できることが報告されているからです。

これは、インターフェロン療法でウイルスが完全に排除できない場合や

インターフェロンが使えないで対症療法(肝庇護療法)で治療する場合にもあてはまります。

ALT値別累積肝がん発生率

ウイルスが消失しなくてもALT(GPT)を低く保つことで肝がんの発生率は低くなる

[笠原彰紀、林紀夫:臨床消化器内科2000:15;1511-1516]

ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法

ペグインターフェロンは、インターフェロンにペグという物質を結合させ、

安定したインターフェロンの血中濃度を維持し、

週1回の注射で優れた効果が得られるように作られた新しいインターフェロン製剤です。

ペグインターフェロンとリバビリンとの併用療法により、

従来のインターフェロン療法では効果の低かったウイルス遺伝子型(ジェノタイプ)1型(セログループ1)

かつウイルス量の多い患者さんにも高い治療効果が期待できます。

このペグインターフェロン・リバビリン併用療法では体重別に薬の用量を設定することにより、

患者さんの体格によって生じる効果や副作用発現の程度の差をできるだけなくすことを目指しています。

※ペグ(PEG)とはポリエチレングリコールという体に無害な高分子の物質で、

これをインターフェロンに結合させることで、インターフェロンの体内での持続時間が延長します。

C型慢性肝炎の治療に用いられている従来のインターフェロン製剤は、

少なくとも週3回の注射が必要でした。

ペグインターフェロンは、インターフェロンにペグという物質を結合させて

インターフェロンを長く血液中にとどまらせることにより、長時間安定した血中濃度を維持できるため、

週1回の投与でよくなりました。

したがって通院も週1回で済むようになりました。

 

ペグインターフェロン・リバビリン併用療法の適応となる患者さんは、

C型肝炎ウイルスの遺伝子型に関係なくウイルス量の多い患者さんや、

インターフェロン単独の治療で効果のみられなかった患者さんおよび治療後に肝炎が再燃した患者さんです。

 

妊婦または妊娠している可能性のある女性はこの併用療法を受けることができません。

また重い心臓病、ヘモグロビンの異常がある人、重い腎臓病、

重いうつ病のある人もこの治療を受けることができません。

※ヘモグロビン 赤血球に含まれる赤い色素で酸素を運搬する役割を果たしています。

 

リバビリンは、動物実験で胎児の奇形を引き起こすことなどが報告されています。

このため、この薬は妊婦または妊娠している可能性のある女性には使用できません。

妊娠する可能性のある女性の患者さん、

あるいはパートナーの方が妊娠する可能性のある男性の患者さんは、

服用期間中および服用終了(中止)後6ヵ月間は

確実な避妊法を用いるなどして妊娠を避ける手段を必ずとってください。

妊娠している可能性がある女性の患者さんは、この治療を開始する前に、

妊娠検査により妊娠していないことが確認できるまで治療は行われません。

また、妊娠する可能性のある女性の患者さんおよび男性の患者さんのパートナーの方は、

この薬の服用期間中および服用終了後6ヵ月間は毎月1回妊娠検査で確認してください。

また、リバビリンは動物実験で精液への移行が否定できません。

このため、男性の患者さんのパートナーの方が妊娠している場合、

この薬の服用期間中および服用終了後6ヵ月間は、精液が子宮内へ移行しないようにコンドームを使用してください。

リバビリン服用中または服用終了後6ヵ月以内に妊娠した可能性があると考えられる場合は、

速やかに主治医に相談してください。

リバビリンは、動物実験で母乳に移行することがわかっています。

このため、この薬は授乳中の女性には使用できません。

治療を受ける場合は授乳をやめてください。

妊娠・授乳について

*市販の妊娠検査薬を使って検査をする場合は、

妊娠検査薬に添付されている使用上の注意をよく読んで正しく使用してください。

正しい時期に正しい方法で検査しないと、妊娠していても誤って陰性になることがあります。

たとえ1回目の検査で結果が陰性であっても、

予定される時期に生理が始まらない(妊娠の可能性が否定できない)場合には、

再検査をするか医師に相談してください。

 

ペグインターフェロンは週1回、皮下に注射します。

投与期間は、ウイルス遺伝子型(ジェノタイプ)1型(セログループ1)でウイルス量が多い患者さんの場合は

通常48~72週間で、それ以外の患者さんは24週間です。

高齢の方や女性あるいは副作用発現のおそれがある方、

血中のヘモグロビン濃度・好中球数・血小板数の数値が基準値より低い方では、

ペグインターフェロンおよびリバビリン投与量の調節が必要であり、

最初の2週間は入院治療がすすめられる場合があります。

リバビリンはペグインターフェロンの注射開始と同時に服用を始め、

ペグインターフェロンの投与中は毎日朝夕食後に服用します。

治療終了後も、少なくとも24週間(6ヵ月間)は定期的な検査が必要となりますので、

主治医の指示にしたがって通院してください。

ペグインターフェロン・リバビリン併用療法のスケジュール

※ 投与期間は、ウイルス遺伝子型(ジェノタイプ)1型(セログループ1)でウイルス量が多い患者さんの場合は

通常48~72週間、それ以外の患者さんは24週間です。

 

ペグインターフェロン・リバビリン併用療法の実施に際しては、治療前、治療中および治療後の検査が必要です。

治療前

治療法の適応を確かめるために、(1)肝機能(肝炎の程度)、(2)C型肝炎ウイルスの有無、

(3)C型肝炎ウイルスの量、(4)ウイルスの遺伝子タイプを調べる血液検査が行われます。

同時に、(5)治療に影響する他の病気がないかどうかの血液検査を行います。

治療中

上記(1)と(2)の検査で治療効果を確かめる一方、

(5)の検査で治療による悪影響がないかどうかチェックします。

治療後

(1)と(2)で効果の確認と再発の有無を確認します。

治療前、治療中、治療後の主な血液検査

検査項目 検査の目的 正常値の目安 血液検査の頻度
(1)肝機能検査(血液検査)
ALT(GPT)
(治療前・中・後)
肝細胞が壊れている程度をみます。この数値が高いと炎症が強いことを示しますが、肝臓の障害程度とは無関係です。
治療効果の判定に不可欠です。
ALT 35IU/L以下 少なくとも
4週間に1度
ウイルス検査(血液検査)
(2)ウイルス定性検査
[PCR法]
(治療前・中・後)
血液中のC型肝炎ウイルスの有無を調べます。   適宜
(3)ウイルス定量検査
[b-DNAプローブ法、アンプリコア法またはコア抗原法]
(治療前・中・後)
血液中のC型肝炎ウイルスの量を調べます。
治療効果の予測、治療効果の判定に使います。
(4)ウイルス遺伝子型検査
(治療前)
感染しているウイルスの遺伝子タイプを知り、治療効果の予測の参考にします。
(5)血液学的検査(血液検査)
ヘモグロビン(Hb)
(治療前・中・後)
治療に伴う貧血の有無、程度を調べます。 13~18g/dL(男)
11~16g/dL(女)
投与開始8週間は
毎週、その後は
4週間に1~2度
白血球数(WBC)
(治療前・中・後)
治療に伴う白血球減少の程度を調べます。 3,100~
9,000/mm3
好中球数
(治療前・中・後)
治療に伴う好中球減少の程度を調べます。 1,200~
5,800/mm3
血小板数(PLT)
(治療前・中・後)
肝炎の程度と、治療に伴う血小板減少の程度を調べます。 14万~38万/mm3
遊離トリヨードサイロニン(FT3
(治療中)
治療による甲状腺機能への影響の有無を調べます。 2.5~5.5pg/mL 投与開始後は
12週間に1度
遊離サイロキシン(FT4
(治療中)
治療による甲状腺機能への影響の有無を調べます。 0.8~1.8ng/dL
甲状腺刺激ホルモン(TSH)
(治療中)
治療による甲状腺機能への影響の有無を調べます。 0.3~4μU/mL

肝機能検査には、この他にも血液中の蛋白質などをみる種々の血液生化学検査、超音波検査、CT、

肝生検(針を刺して肝臓の組織を調べる)などが行われることがあります。

治療に影響する他の病気の検査には血液検査のほか、X線や心電図などが行われることがあります。

なお、正常値の目安は医療機関によって異なる場合があります。

※ FT3、FT4は甲状腺ホルモン、TSHは甲状腺ホルモンの分泌を促進するホルモンです。

FT3とFT4が高値でTSHが低値の場合は甲状腺機能亢進が疑われ、

FT3とFT4が低値でTSHが高値の場合は甲状腺機能低下が疑われます。

 

ペグインターフェロン・リバビリン併用療法の副作用には、治療初期(1週間以内)にみられるもの、

治療中期(2~12週間)にみられるもの、治療後期(3ヵ月以降)にみられるものがあります。

よくみられる副作用には以下のようなものがあります。

注射部位の反応

注射部位が赤くはれたり、痛みやかゆみを感じることがありますが、

通常早くて1~2日、長くても3週間で治まります。

インフルエンザ様症状

ペグインターフェロンの注射を開始した数時間後から、発熱、悪寒、全身がだるい、

頭痛、関節痛などインフルエンザにかかったときのような症状がみられます。

ほとんどの患者さんでみられ、通常3~4日で治まりますが、

症状の強いときは鎮痛解熱薬などを使用します。

少量の塩分を含んだ水分の補給につとめましょう。

なお、これらの症状があらわれても2回目以降は症状が軽くなります。

食欲不振、吐き気など

インフルエンザ様症状があるときは誰でも食欲がなくなりますが、

熱が下がった後も食欲不振、吐き気、腹痛、下痢、便秘などが続くことがあります。

通常2~3週間でよくなります。

食欲不振が強いときは、自分の好物を中心にした食事や間食などを上手に利用して、

できるだけ栄養をとるようにしましょう。

発疹、かゆみなど

治療開始初期からみられることがあります。

症状が出た場合は抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬やステロイド軟膏などを

使用して治療される場合があります。

アトピーなどのアレルギー体質の方は主治医に相談してください。

脱毛

治療開始2ヵ月目くらいから頭髪の抜けが目立ちはじめ、数ヵ月続くことがあります。

しかし多くの場合、いつもより抜け毛が気になる程度で、ヘアピースを必要とするほどではありません。

通常治療終了後6ヵ月以内には元にもどります。

 

ペグインターフェロン・リバビリン併用療法の副作用には、頻度は高くありませんが、

早めの適切な処置が必要なものがあります。

不眠が続く、イライラ、気分が落ち込む

治療開始から数週間過ぎた頃にみられやすく、もっとも注意が必要な副作用の一つです。

とくに不眠は比較的多くの患者さんが経験しますが、なかにはうつ病の前兆である場合がありますので、

不眠や不安感、イライラ、何となく落ち着かない、気分が落ち込むといった症状がみられた場合は

早めに主治医に相談しましょう。

咳、息切れ、微熱

治療開始から2ヵ月目以降にみられることがあり、非常にまれですが、

間質性肺炎の徴候である場合があります。

このような症状がみられたらすぐに主治医に連絡し、適切な処置を受ける必要があります。

動悸、汗をかきやすい、むくみ

治療開始から2ヵ月目以降にみられることがあり、甲状腺機能異常の疑いがあります。

すぐに主治医に連絡し、適切な処置を受ける必要があります。

心臓の症状、糖尿病の悪化

治療開始から数週間でみられることがあります。

まれですが、脈の乱れ(不整脈)や心臓の働きが悪くなること(心不全)があり、

とくに心臓病のある人では注意が必要です。

また糖尿病のある人では病気が悪化することがあります。

このような症状がみられたらすぐに医師に連絡し、適切な処置を受ける必要があります。

ものが見えにくい、目がチカチカする、目が痛い

治療開始から2~3ヵ月過ぎにみられることがあり、網膜の血行障害による網膜症の疑いがあります。

多くは治療を続けるうちに自然に治りますが、高血圧や糖尿病のある人は特に注意が必要で、

定期的な目の検査が大切です。

このような症状に気づいたらすぐに主治医に連絡し、適切な処置を受ける必要があります。



 

  • ※甲状腺機能異常
    甲状腺はのどぼとけのすぐ下にある内分泌器官で、2種のホルモンを出して新陳代謝を司っています。
  •  
  • 機能が亢進すると、頻脈、冷や汗、精神的な不安定、機能が低下すると、むくみ、徐脈、
  •  
  • ぼんやりするなどの症状がみられます。

副作用には自覚できる症状の他に、検査値の異常として現れるものがあります。

検査値の異常についてもその程度が大きければ、やがてからだの異常も現れてきますので、

薬の量の変更や治療の中止を考えなくてはならない場合があります。

ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法中および治療終了後6ヵ月間は、

必ず主治医の指示通りに定期的に検査を受けてください。

貧血(ヘモグロビン減少)

ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法を受けた多くの患者さんで、

ヘモグロビンの減少がみられます。

治療開始1~2ヵ月目頃までは減少していきますが、それ以降は安定し、

ほとんどの人は治療を続けることができます。

治療が終わると約1~2ヵ月で元に戻ります。

疲れやすい、息切れがする、めまいなどの症状がみられる場合もありますが、

一般的にはあまり自覚症状はありません。

ヘモグロビン減少の程度が大きい人ではリバビリンの量の変更や治療の中止が必要な場合もあります。

白血球減少、好中球減少

治療開始から1週間程は減少していきますが、

治療を続けてもそれ以上減少することはあまりありません。

白血球減少、好中球減少の程度が大きくなるとペグインターフェロンの減量や治療の中止が

必要になる場合もあります。

治療が終われば、約1~2ヵ月で元に戻ります。

血小板減少

治療開始直後から減少することがありますが、大部分の人は治療を継続できます。

血小板は止血に重要な役割を果たしていて、大きく減少すると出血しやすく血が止まりにくい

などの危険が出てきますので、血小板数の減少の程度が大きくなると

ペグインターフェロンの減量や治療の中止が必要になる場合もあります。

治療が終われば、約1~2ヵ月で元に戻ります。

* ヘモグロビンは赤血球に含まれる赤い色素で、体に酸素を運搬する役割を果たしています。

ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法の主な副作用

発現時期 よくみられる副作用 注意が必要な副作用
初期症状
(1週間以内)
インフルエンザ様症状
(発熱、悪寒、全身倦怠感、頭痛、関節痛など)
食欲不振
皮膚(発疹、かゆみなど)
 
中期症状
(2~12週間)
全身症状(微熱、倦怠感)
消化器症状(腹痛、吐き気、便秘、口内炎など)
精神神経症状(不眠、不安、躁うつ病)
間質性肺炎(乾咳、呼吸困難、運動時息切れ、微熱など)
目の症状(目の痛み、網膜症)
循環器症状(不整脈、心不全など)
糖尿病悪化
後期症状
(3ヵ月以降)
脱毛 甲状腺機能異常(動悸、汗をかきやすい、むくみなど)
検査値異常(治療期間中)   貧血(ヘモグロビン減少)
血小板減少
白血球減少
肝機能障害(AST、ALTの異常)

ペグインターフェロン・リバビリン併用療法を受けられる患者さんは、治療の始まる前、治療中、

治療終了後それぞれに、次の事に注意するようにしてください。

 

 
  • ○ 現在の体調について、主治医に十分伝えてください。
  •  
  • ○ これまでに薬の投与を受けて体調が悪くなったことがある場合は主治医に申し出てください。
  •  
  • ○ 現在服用中の薬がある場合は主治医に申し出てください。

 

 
  • ○ 自分の判断で薬(リバビリン)の量を減らしたり中止してはいけません。
  •  
  • ○ 妊娠する可能性のある女性の患者さん、パートナーが妊娠する可能性のある男性の患者さんは、
  •  
  • 治療中1年間および治療終了後6ヵ月間の1年半の間必ず避妊してください。
  •  
  • ○ 男性患者さんのパートナーが妊娠または妊娠している可能性のある場合は、
  •  
  • 必ずコンドームを使用してください(リバビリンが精液中に移行する可能性が否定できないため)。
  •  
  • ○ 万一妊娠した疑いのあるときはすぐに主治医に相談してください。
  •  
  • ○ 多くの副作用は一時的なものですが、症状によっては薬の量を変更しなくてはならない場合があります。
  •  
  • ○ 特に注意が必要な副作用の症状に気づいたら、できるだけ早く主治医に連絡してください。
  •  
  • ○ 自覚症状のない副作用が現れることがありますので、
  •  
  • 主治医の指示どおり定期的に検査を受けるようにしてください。
  •  
  • ○ 体力保持のために適度な運動やバランスのよい食事を心がけましょう。
  •  
  • 献血やカミソリ、ハブラシの共用など他の人への感染防止にも注意してください。

 

 
  • ○ 治療終了後も肝臓の状態をチェックするため、
  •  
  • 6ヵ月間は主治医の指示どおり定期的な検査を受けてください。
  •  
  • ○ 妊娠する可能性のある女性の患者さん、パートナーが妊娠する可能性のある男性患者さんは、
  •  
  • 治療終了後も6ヵ月間は必ず避妊をしてください。
  •  
  • ○ 男性患者さんのパートナーが妊娠または妊娠している可能性がある場合は、
  •  
  • 治療終了後も6ヵ月間は必ずコンドームを使用してください。

       
  • 昔から肝臓病は安静が大切とされてきました。

    しかし、慢性肝炎では安静にしすぎるとかえって体力が落ちてしまうため、

    最近ではできるだけふつうの生活をした方がよいと考えられるようになりました。

    体力保持のためには、むしろ適度な運動が勧められます。

    食事はバランスよく

    偏った食事や暴飲暴食は肝臓に負担をかけるため、

    バランスのとれた規則正しい食生活を心がけます。

    特に蛋白質は肉や魚だけでなく、大豆など植物性のものを含め、いろいろな食品からとるようにします。

    食欲がないときは、1回の食事量を減らして回数を多くする、

    あるいは好きなものを中心にした献立にするなど、カロリー不足にならないよう気をつけます。

    ただし、アルコールは避けてください。

    他の人にうつさないための注意

    C型肝炎ウイルスは血液を介して感染します。

    しかし、血液中のウイルスの量は非常に少なく、

    日常生活の中で他の人に感染することはほとんどありませんが、

    念のために下記のようなことに注意しましょう。

     
    • ○ 血液や分泌物がついたものは、しっかりくるんで捨てるか、流水でよく洗ってください。
    •  
    • ○ 外傷、鼻血などはできるだけ自分で手当てし、手当てを受ける場合は、
    •  
    • 手当てする人に血液や分泌物がつかないよう注意してください。
    •  
    • ただし、血液がついても洗い流せば問題ありません。
    •  
    • ○ カミソリ、歯ブラシなど血液がつく可能性のあるものは他の人と共用にしないでください。
    •  
    • ○ 乳幼児に口うつしでものを食べさせないでください。
    •  
    • ○ 献血はしないでください。

    ペグインターフェロン・リバビリン併用療法で48週間治療すると、

    従来のインターフェロン単独療法が効きにくいウイルス遺伝子型(ジェノタイプ)1型(セログループ1)

    でウイルス量の多い患者さんでも、治療終了後6ヵ月の時点で、約半数にウイルスが排除でき、

    従来のインターフェロン・リバビリン24週間併用療法(20~30%)に比較して高い効果が得られました。

    過去にインターフェロン単独治療後に肝炎が再燃した患者さんにおいては、

    さらに高い約60%のウイルス排除効果が得られています。

    一方、ウイルス遺伝子型(ジェノタイプ)1型(セログループ1)でウイルス量の多い患者さん

    以外の患者さんでは、ペグインターフェロン・リバビリン併用療法で24週間治療すると、

    約90%のウイルス排除効果が得られました。
     

     

    ペグインターフェロン・リバビリン併用療法で48週間治療すると、

    従来のインターフェロン単独療法が効きにくいウイルス遺伝子型(ジェノタイプ)1型

    (セログループ1)でウイルス量の多い患者さんでも、治療終了後6ヵ月の時点で、

    約50~60%の患者さんで肝機能〔ALT(GPT)〕の正常化が得られました。

    ALTが正常化に至らない場合でも、正常範囲上限値の2倍以下の値に低下すれば、

    肝がんの発生が阻止できる可能性が高くなることがわかっています。

    ペグインターフェロン・リバビリン併用療法でウイルスが排除できた患者さんや

    ALTが正常化した患者さんに、正常範囲上限値の2倍以下の値に低下した人を加えると、

    約90%の患者さんで肝機能改善効果が認められたことになります。

     

    ペグインターフェロン・リバビリン併用療法を含め、インターフェロン療法が有効であったか

    無効であったかを判定するためには、治療終了後6ヵ月の時点で、

    C型肝炎ウイルス検査でウイルスが陰性になったかどうか(ウイルス学的効果)と、

    肝機能〔ALT(GPT)〕が正常を保っているかどうか(生化学的効果)を調べます。

    ウイルス検査でウイルスが陰性の場合を「著効」、陽性の場合を「無効」と判定します。

    肝機能検査で、治療終了時から6ヵ月以上ALTの正常化が保たれる場合を

    「生化学的著効」と判定します。

    ウイルス検査が陰性で、肝機能も正常な場合を「完全著効」、

    肝機能が正常でもウイルスが陽性の場合を「不完全著効」といいます。

    治療中にウイルスが陰性、ALTが正常化しても、治療終了6ヵ月後にウイルスが陽性になったり

    ALTが上昇したりした場合は「再燃」といいます。

     

    ペグインターフェロン・リバビリン併用療法で48週間治療すると、

    約半数の患者さんでウイルスの排除と肝機能の正常化が可能です。

    では残りの約半数の患者さんは治療効果がなかったのでしょうか? 

    そうではありません。

    C型慢性肝炎の治療目標は、まずはウイルスを排除することですが

    、排除できなかったとしても肝硬変や肝がんへの進行を抑制することができれば、

    大きな意味があります。

    たとえウイルスが完全に排除できなくても、肝機能(ALT)が正常化、あるいは正常化しないまでも、

    正常範囲の上限の2倍の値以下に抑えることができれば

    肝がんの発生が抑制される可能性が高まります。

    ペグインターフェロン・リバビリン併用療法でも約90%でウイルスの排除

    あるいは肝機能の改善効果が得られ、治療目標に近づいているといえます。

    ウイルスが排除できず、肝機能の改善も得られなかった患者さんも、あきらめるには早すぎます。

    肝庇護療法などの対症療法で肝機能を正常に近い状態に保てば

    肝臓の線維化や肝がんの発生リスクを軽減できるからです。
       
     

    C型肝炎ウイルス陽性の方の中には、慢性肝炎や肝がんで治療中の方のほかに、

    肝機能異常のない方、つまり肝機能の目安であるALT(GPT)値*1が基準値以下

    の方もいらっしゃいます。

    今まで、肝機能異常がない場合には、定期的な検査のみで積極的な治療は行われていません

    でしたが、最近、その多くの方において肝臓の線維化*2が認められたり、

    数年内にALT値が基準値を超えて高くなったりして、肝炎が進行することがわかってきました。

    C型慢性肝炎の場合、一般に病気が進行してしまうと、肝臓の線維化の程度が強くなり、

    肝硬変を経て肝がんが発生する可能性が高まります。

    日本では、この肝がんによる死亡者数が、1年間で4万人近くになっています。

    C型肝炎ウイルス陽性でALT値が基準値以下の方については、

    肝硬変や肝がんへの進行を食い止めるために、

    病態の経過および治療について理解を深めることが重要です。

    • *1 ALT(GPT)
       
    • 肝細胞に多く含まれる酵素で、血液中のALT値が肝機能障害の程度(肝細胞の壊れ具合)
    •  
    • の目安とされています。
    •  
    • C型肝炎ウイルスに感染すると肝臓で炎症が起きて肝細胞が壊され、
    •  
    • その結果肝細胞に多く含まれるALTという酵素が血液の中に流れだします。
    •  
    • 基準値(正常値)は医療機関によって異なりますが、およそ33~40IU/L以下と設定されています。
    •  
    • しかし、本当に正常の方は30IU/L以下です。
    •  
    •  
    • *2 肝臓の線維化
       
    • 肝臓で炎症などが起こって肝細胞が壊れると、そこを修復する細胞が増えますが、
    •  
    • その部分は線維化して硬くなります。
    •  
    • 肝炎が重症になればなるほど線維化が進展しますので、肝炎の重症度の目安となっています。
    •  
    • 線維化は、肝臓の生検によって判定されます。
    •  
    • 線維化がない状態をF0、軽度の線維化をF1、中等度の線維化をF2、
    •  
    • 高度の線維化をF3であらわし、肝硬変ではF4となります。

    C型慢性肝炎の自然経過

    C型肝炎ウイルス陽性で持続的にALT(GPT)値が基準値以下の方に、

    肝臓の状態を調べるために肝生検(針を刺して肝臓の組織を調べる)をした結果、
       
    その70%に軽度ではありますが肝臓の線維化が進行していることがわかりました。

    C型肝炎ウイルスに感染すると肝臓で炎症が起こって、肝細胞が壊れたり、

    新しくできたりといったことを繰り返しているうちに、だんだん線維化が進行します。

    肝臓で線維化が起きても、程度が軽ければ何の問題も起こりませんが、

    線維化が進行すると肝臓の働きに支障が出てきます。

    肝臓の線維化が進んだ状態が肝硬変で、その過程でがんが発生します。

    このように、肝臓の状態を調べることは、

    今後肝硬変や肝がんへ進行するかどうかを知るうえで非常に重要です。

    肝機能の目安となるALT値が持続的に基準値以下であっても

    C型肝炎ウイルスが陽性の方は、一度肝生検を受けて、

    肝硬変や肝がんへ進行する危険がどのくらいあるのかを理解しておくことが大切です。

    特に血小板数が15万/mm3以下の場合は、

    肝臓の線維化が進行している可能性が高いので、注意が必要です。    

     

    持続的にALT(GPT)値が30IU/L以下という値であっても、

    5年以上経過観察すると基準範囲を維持するのはわずか14%程度で、

    57%の方は一時的にALT値が30IU/Lを超え、

    29%の方はALT値が持続的に異常を示すようになりました。

    ALT値が異常な状態が続くと、肝臓の線維化が進行するスピードが速くなるため、

    治療の必要性が高まります。

    現在持続的にALT値が基準値以下であっても、定期的な経過観察を行い、

    肝機能の異常をいち早く知ることが必要です。

    ALT値が基準値以下の人の5年以上観察結果

     

    以前は、ALT(GPT)値が基準値以下の方にインターフェロン治療を行っても、

    ALT値が異常な方に比べてウイルスの排除率が低く、しかもALT値が悪化することもあると考え、

    定期検査のみで積極的には治療されませんでした。

    しかし最近、C型慢性肝炎に対する新しい治療法が登場しました。

    この治療法(ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法)では、ウイルスの排除効果が大きく高まり、

    ウイルスのタイプによっては、ほぼ完治できるようになりました。

    それとともに、ALT値が基準値以下の方に対しても同等の高いウイルス排除率が認められ、

    治療終了後もALT値が悪化しにくいことがわかってきました。

    ALT値異常のある方はもちろんですが、ALT値が基準値以下の方であっても、

    肝臓専門医を受診して、肝臓の状態やウイルスのタイプ、年齢を考慮し、

    適切な治療方法を選択することが、肝がんを予防するためにとても大切です。

    C型肝炎ウイルス陽性の方に対する治療指針

    インターフェロン治療の実施について、肝臓専門医に相談してください
    • ● ALT(GPT)値が31IU/L以上
    •  
    • ● ALT(GPT)値が30IU/L以下で、肝臓の線維化が中等度以上、65歳以下

    インターフェロンの治療効果や副作用を十分理解し、

    治療を考慮してください

    • ● ALT(GPT)値にかかわらず、ウイルスのタイプが2型
    •  
    • ● ウイルスから解放された健康な体を取り戻したい

    ALT(GPT)値を定期的に観察し、観察中にALT持続異常になった場合、

    肝臓専門医に相談してください

    • ● ALT(GPT)値が30IU/L以下で、肝臓の線維化が軽度