山口県岩国市尾津町1-12-29
074_telephone 0827-34-0303
 
あなたは 3193610 番目の訪問者様です

« | »

膵癌

膵癌発見の難しさとは

肺がんや胃がんなどは早期発見に成功すれば術後の5年生存率も高くなり、

転移も起こらないまま余生を全うできる病気となっています。

しかし、すい臓癌の場合だと早期発見のきっかけになる初期症状がほとんど出ないため、

患者本人が気付くことなく病期が信仰していくことになりがちなのです。

また、CTスキャンなどの画像検査を行っても検査の種類によっては

判断材料として十分な信頼度を持たない場合があることも、膵臓がん発見の難しさに繋がっています。

 

すい臓ガンの種類

発生する臓器によって病名が変わるように、臓器内の癌が発生した部位ごとに種類分けが成されるものです。

 

膵管癌

発病したすい臓癌の大半を占めるといわれているのが膵管癌です。
           
膵管とは膵臓が分泌する消化酵素を含む膵液を胃と十二指腸

を繋ぐ消化管に流し込んでいる管のことです。
           

膵管癌は十二指腸側の膵頭部で発生し、肝臓に繋がる総胆管を巻き込みやすいため

症状が進行すると黄疸が出やすくなります。

膵内分泌腫瘍

膵臓内のランゲルハンス島で起こる膵内分泌腫瘍は膵臓ガン全体の2%程度を占めています。
           
症状として血糖値をコントロールするインシュリン・グルカゴンや消化促進作用のあるガストリン

などホルモンの異常分泌を起こします。

逆にホルモンの分泌が起こらない無機能性腫瘍もあり、血中のホルモン濃度の検査か画像検査で診断します。
           
膵内分泌腫瘍は進行が遅いため予後も期待できますが、化学療法が効きづらいため外科手術が適用されます。

腺房細胞癌

膵臓癌の中でも珍しい部類に入るのが腺房細胞癌です。
               
膵臓はブドウのように分泌物が通る導幹細胞の先に消化酵素を分泌する腺房細胞と、

浮かぶように存在するランゲルハンス島から構成されています。
               
腺房細胞癌は腺房細胞から発生する膵臓癌で、症例が少なく稀な部類に入っています。

粘液性嚢胞腫瘍

中年以上の女性に多く見られるすい臓癌が粘液性嚢胞腫瘍です。

嚢胞とは液状成分を含んで出来る膨らみのことで、脾臓側の膵尾部を中心に発生します。
               
良性腫瘍としても発症することがありますが、多くの場合悪性腫瘍として発症します。

特徴として嚢胞腫瘍の周囲に石灰化を認めることが出来ます。

 

膵臓の働き~すい臓の持つ役目

 

すい臓の主な働き

膵臓は消化器官であると同時に生理物質であるホルモンを生産する器官でもあります。

このように、消化液を分泌する外分泌機能とホルモンを分泌する内分泌機能を併せ持っている臓器は

膵臓だけなのです。

膵臓の外分泌機能

外分泌機能とは、血管ではなく臓器内や別の臓器に分泌物を送り込む働きのことです。
             
膵臓は「膵液」と呼ばれる各種消化酵素を含んだ消化液を分泌し、

膵管を通じて十二指腸へと送り込んでいます。
           
膵液は炭水化物・たんぱく質・脂肪の三種類を消化することが出来る消化液で、

炭水化物を分解する唾液やたんぱく質・脂肪を分解する胃液を合わせた性質を持っているといえます。

しかし、分泌先となる十二指腸の先は栄養を吸収する象徴となっているため、

膵液は最終的な消化液となります。
           
膵液が充分に分泌されていなければ消化不良を起こしやすくなってしまうのです。

膵臓の内分泌機能

膵臓は身体の働きを支える生理物質・ホルモンを分泌する役割も持っています。
           
膵臓の中には「ランゲルハンス島」と呼ばれる細胞組織があり、各種ホルモンを分泌しています。

ランゲルハンス島は分散する形で存在しており、約20万~200万個ほどが膵臓内にあるといわれています。

ランゲルハンス島からは、血液中のブドウ糖からグリコーゲンを合成して血糖値を引き下げるインシュリン、

グリコーゲンを分解してブドウ糖を生成して血糖値を高めるグルカゴン、

胃液の分泌を抑制する働きのあるソマトスタチンなどが分泌されます。

膵臓と糖尿病の関係

膵臓から分泌されるインシュリン・グルカゴンは、血液中のブドウ糖を増減させることで

血糖値をコントロールする役割を持っています。

ブドウ糖は脳や筋肉のエネルギー源として利用されていますが、

食事内容の偏りや間食による糖分の取りすぎで血糖値が上昇した状態を長期に渡って維持していると

糖尿病を引き起こす恐れが高まります。

また、糖分の過剰摂取を行なうとその分だけインシュリンの分泌が激しくなり、

膵臓に多大な負担を掛けてしまうことになります。

また、糖分の取りすぎはすい臓がんの発病因子ともなりうるため、

甘いものやご飯や芋などの炭水化物が好きな人は糖尿病と合わせて注意しなければなりません。

 

すい臓癌の主な症状について

ある程度病状が進行すると、すい臓癌の症状が見られるようになってきます。

症状はがん細胞が膵臓のどの位置で発達しているかによって異なるものですが、

多くの場合は腹痛・腰痛・背部痛・体重の減少・黄疸・吐き気・倦怠感などが見られます。

十二指腸寄りの膵頭部で発達していると胆管が巻き込まれ胆汁が十二指腸に送られなくなり

血中に放出されるため黄疸や尿の黄変が起こり、膵尾部で発達すると背部痛が見られます。

内分泌腺でがん細胞が発達しているとホルモンの過剰分泌または分泌不全が発生し、

血糖値のコントロールに異常が起こる「耐糖能異常」が症状として起こります。

耐糖能異常が起こると高血糖もしくは低血糖状態になりやすくなってしまいます。

また、すい臓癌の症状が出てきたということは、病期が相当に進行しているということでもあるため

症状を自覚し次第、適切な治療を受けなければなりません。

すい臓癌の転移先は?

がん細胞が増殖し病期が進行していくと、

がん細胞が血管などを通じて他の臓器や部位に移動する転移が起こります。

すい臓癌の場合、膵管で繋がっている胃・十二指腸、胆管を通じて繋がる肝臓、

血管を通じて肺・骨・リンパ節などが転移先となります。

進行の早いすい臓癌の場合、自覚症状で発見された時には既に転移が始まっているか、

最悪の場合は全身に転移していて手の施しようが無いということもしばしばです。

すい臓癌の判断材料は?

初期症状が出にくい膵臓ガンは、医者からの質問による問診では発見することが難しいものです。

そのため、血液検査でがん細胞の有無を計る腫瘍マーカーやホルモンの分泌量から腫瘍の有無を判断したり、

CTスキャン・MRIによる画像検査を駆使して得られた膵臓の画像から判断したりといった方法が取られます。

場合によっては内視鏡で十二指腸周辺の超音波検査や腫瘍細胞の採取を行います。

 

家族からの遺伝によるもの

最近の研究ではがんの発病に関わる「がん遺伝子」の存在が発見・証明されており、

あながち迷信ではないものとなっています。

しかし、がん遺伝子を有している家系でも癌を発症しないまま生涯を全うする人もいるため、

必ず発病するわけではないようです。

不摂生な生活

昼夜逆転・睡眠不足などの不規則な生活リズムや、飲酒・喫煙などの習慣、

栄養バランスの偏りや間食・夜食などの食生活の乱れなど、

生活内容は癌発病のリスク因子として大きな影響をもたらします。

飲酒は肝臓がん、喫煙は肺がんの直接の発病リスク因子で膵臓がんと関わらないように思われますが、

すい臓周辺の臓器で起こったガンは転移性膵癌の原因になるため楽観視は出来ません。

食生活の乱れは肥満や高血圧、動脈硬化の原因になり、

膵臓がんなどの重病に発展する危険性が高い為注意が必要です。

糖分の摂取過多

最近、膵臓がんの原因として挙げられているのが糖分を多量に含むジュースの飲みすぎです。

すい臓は糖分であるブドウ糖を使って

筋肉のエネルギー源となるグリコーゲンを合成する働きのあるインシュリンを分泌していますが、

糖分を多量に摂取するとすい臓はインシュリンの分泌量を増やして糖分を処理しようと働きます。

このようなインシュリンの過剰分泌はすい臓の細胞組織に悪影響を及ぼし、

がん細胞発生の原因になってしまいます。

糖尿病の膵癌への影響

糖分の過剰摂取によって血糖値が基準を超えて増量することで起こる糖尿病も、

膵臓がんの発病リスク因子であることが近年の研究で判ってきています。

ガンを引き起こすがん細胞は、本来の正常な細胞が何らかの原因によって変異して発生するものです。

がん細胞の変異の原因の一つには、臓器が必要以上に酷使されることが挙げられます。

酷使された臓器の細胞は、細胞分裂の際に設計図としての役割を果たす遺伝子が壊れてしまうことがあり、

がん細胞を作りだしてしまうのです。

ジュースの飲みすぎなどで糖尿病が発症した後でも、

すい臓は血液中の糖分を処理しようと全力でインシュリンの分泌を行おうとするので、

膵臓がんに発展しないよう糖分制限など治療に専念することが大事です。

 

すい臓癌の再発率は?

治療したガンの再発率は、発生した部位や患部切除や

抗がん剤投与・放射線照射などの治療の種類と治療を受けた病期に左右されるものです。

そのため再発率は一概には言えませんが、

膵臓ガンの再発率は70~90%と他のがんよりも非常に高いものとなっています。

すい臓がんの中心となる膵臓が全長15cmとそう大きくはないこと、

発見時には他臓器に転移していることが多いなどの条件が絡み合うことによって

高い再発率を誇っているものと考えられます。
           
切除手術に成功しても1年以内に再発する可能性が非常に高く、

まさに「ガンの王様」と呼ばれるにふさわしい性質を秘めているといえます。

すい臓がんの生存率は?

           
生存率は治療から何年後まで生きていられるかという形で表現され、

術後5年経過までの「5年生存率」が多用されます。

すい臓ガンの場合、ごく初期であるステージ1で約50%強、進行して腫瘍が2cm以上あるステージ2では50%弱、

すい臓周辺の動脈・組織に転移が始まったステージ3では25%前後、周辺の臓器に転移したステージ4aで10%、

下半身などの遠隔組織への転移が見られるステージ4bでは2~3%程度と変遷していきます。

転移が始まるステージ3以降は生存率が目に見えて低くなり、

再発の可能性も高い為予断を許さない状況となります。

すい臓癌の余命宣告は?

すい臓がんは他の癌と違って転移が始まるまで病期が進行してから発見されることがほとんどのため、

病名の告知と同時に余命宣告されるケースがほとんどです。

すい臓がんは多臓器や遠隔組織への転移が認められる場合、余命は6ヶ月以下となります。

仮に手術に成功したとしても1年以内に起こる可能性が高い再発、

すい臓組織の切除による血糖値の上昇と糖尿病など余命を縮める要素が多く、

患者にとっても家族にとっても希望が見えない病気となっているのです。

早期発見が難しく進行が早いがんである以上、

宣告を受けた場合は覚悟を決めて掛からなければならないのです。

 

全てのすい臓がん患者が外科手術を受けられるわけではない

外科手術はがん治療における三本柱の一つと称されているほど、基本にして王道の治療法です。

しかし転移が始まるほど病状が進行していれば、切除しなければならない範囲が大きくなりすぎてしまい、

外科手術だけで治すことはほぼ不可能になってしまうというデメリットがあります。

発見しにくく進行が早いすい臓がんでは、発見した時点で転移が始まっている場合が多く、

すい臓がん患者全体の約4割程度が外科手術の適応になるといわれています。

外科手術のメリット・デメリット

外科手術は病巣を身体の中から取り除くことが出来るため、

手術してしまえば病状の進行を食い止められるというメリットを受けられます。
           
他の臓器への転移が始まっていなければ確実に根治治療に繋げることができます。

しかし、外科手術は身体を切ることでもあるため、

患者の体力が手術に耐えられるだけ残っていることが前提となります。

そのため末期がんの患者に対しては外科手術が行なわれることは少なくなっています。

デメリットとしては「身体にメスを入れたことによる影響が大きい」ということが言えます。

綺麗に縫合されていても手術痕の治癒に栄養分やエネルギーを取られて体調を崩したり、

臓器摘出の影響を受けたりすることによって病気がちになったという報告例も少なくないものです。

すい臓がん治療で使用される手術法

 

膵頭十二指腸切除術

膵頭十二指腸切除術は、十二指腸側の膵頭部にがん細胞が発生している場合に行われる手術法で、

胃がんや十二指腸癌にも適応されます。

切除範囲は、膵頭部から膵体部までを含むすい臓の3分の1、

十二指腸・胃の出口である幽門部・十二指腸と小腸を繋ぐ空腸、胆嚢と胆管、周辺のリンパ節となっています。
             
切除範囲が大きい分、合併症が起こりやすいのが難点ですが、最近は胃を温存する方法が導入されています。

膵臓全摘術

膵臓全摘術は、その名の通り膵臓全体を摘出してしまう手術法です。

転移が見られず膵臓内だけでがん細胞が増殖している場合に用いられます。

デメリットとしてはインシュリンの生産が行われなくなるため糖尿病を発症しやすくなり、

インシュリン注射が欠かせなくなることです。

膵体尾部切除術

膵体尾部切除術は、膵管がある膵頭部とは反対側の膵体尾部でがん細胞が増殖している場合に行われます。

膵頭部が温存されるためインシュリンの分泌も行われますが、

脾臓も切除されるなど合併症は避けられないのが難点です。

 

化学療法のメリット

化学療法ががん治療における基本となっているのは、

「患者の身体に掛かる負担を抑えられる」というメリットが大きい為といえます。
           
外科手術は縫合や輸血をするといっても、患者の身体にメスを入れて多量に出血させることに他なりません。

そのため、手術後は体力の低下や合併症に悩まされることもしばしばです。

化学療法の場合、注射や点滴を用いて薬を投与するので身体を切開する必要が無いのです。

ただし、注射針や点滴の管を身体に通す際には細心の注意を払うことが医療側に求められます。

化学療法のデメリット

デメリットとしては「患者の体質によっては薬が合わないこと」が言えます。
           
薬が合わず副作用が出た場合は直ちに投薬を停止して別の薬剤に切り替えるのが化学療法の鉄則ですが、

患者の体質次第では効果のある新薬が使えず効果の薄い従来品で

治療していかなければならないこともあるのです。

また、薬の副作用自体もデメリットの一つです。
           
効果の強い抗がん剤ではどうしても何らかの副作用が出てくるため、慎重な施療が重要になっていきます。


すい臓がんに使用される抗がん剤について

すい臓がん治療においては、抗がん剤の役割は非常に大きなものになっています。

病気の進行が早く、運よく外科手術が適応できても膵臓は難易度が高い臓器であることなどがあって

外科手術が負う役割を肩代わりしている所があるからです。

どのような抗がん剤がすい臓がんへの化学療法に利用されているのでしょうか?

治療の基本はゲムシタビン投与

実際の治療の現場においては、すい臓がんに対して投与される抗がん剤はDNA合成阻害薬に分類される

「ゲムシタビン(商品名:ジェムザール)」が第一に選択されます。

がん細胞のDNAをバラバラにすることで

細胞の自己破壊現象であるアポトーシスを引き起こすのがDNA合成阻害薬の作用です。

脱毛や吐き気などの副作用も僅かながらあるものの、

癌特有の疼痛が抑えられ体重減少が収まったなどの高い効果が注目されています。

唯一の難点は「がん細胞の縮小効果が低い」ことで、

他の薬との併用による効果増強や放射線療法との併用が研究されています。

最新の抗がん剤TS-1

ゲムシタビンと共に注目されているのが、

胃がん治療に使われているTS-1(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)です。

TS-1は、DNA合成阻害作用を持つと同時に、効き目を腫瘍に集中させ、

消化器官への影響を軽減する三つの働きを併せ持っています。

効果も高く、胃がんだけでなくすい臓がんへも有効とされ膵癌治療の現場でも活躍しています。

 

放射線療法とはどのような治療法なのか?

放射線療法は、放射線を当てることで瞬間的に高熱を細胞組織に与えて破壊する治療法です。

がん細胞は42度以上の熱を加えられると破壊される性質があるため、

昔から身体を温める温熱療法ががん治療に有効と考えられてきました。

しかし、身体全体を42度以上に温めることは健康な細胞にも影響が及ぶことになってしまいます。

そのため、熱を一点に集中して与えることが出来る放射線を用いることで

健康な細胞に影響を与えないようにしているのです。

放射線療法は危険なのか?

放射線療法は外科手術・化学療法と並ぶ「がん治療の三本柱」の一つですが、

患者から忌避される傾向にあります。

これは放射線がガンの原因になる「放射能」とセットにされやすいことが原因にあるようです。

放射能とは「放射線を発する能力」のことで、

原子力発電の燃料となるウランなどは「放射性物質」と呼ばれていますが

科学的には放射能と同じ意味で扱われています。

つまり、「放射線治療は健康な細胞をがん細胞化させる」として患者から忌避されているのです。
           
実際には、放射線療法でがんが発生したケースはX線を使っていた初期に集中しています。

X線に変わりガンマ線が主要になった現在では、発癌の原因になったケースは確認できていません。

放射線療法の副作用としては、白血球・血小板の現象や浮腫み、

下痢・嘔吐・倦怠感などが挙げられますが、照射量と照射する部位によって変化します。

すい臓がんに対する放射線療法

すい臓がんに対して行われる放射線療法では、

膵臓の周辺にある臓器への影響を考え幹部を狙いやすい高エネルギー電子線を用いる方法が選択されます。

また、生存期間延長効果が高いとされている、

放射線と抗がん剤を併用する「化学放射線療法」形式で治療を行なうことが多く、

膵臓のがん細胞だけでなく転移がんも撃退する効果が期待できます。

化学放射線治療が適応されるすい臓がんとしては、

転移が無くすい臓だけで進行している「局所進行膵癌」がありますが、

日本国内ではコンセサンスが取れていないという厳しい現状があります。

そのため、放射線療法は根治治療よりも痛みを抑え生活の質を向上される

「緩和治療」を目的として施療されるケースが多くなっています。

 

新しい治療法として期待される免疫療法

免疫療法は、人体に元から備わっている免疫機構を強化して

がん細胞を攻撃させることを主眼に置いた治療法です。
           
身体が元から持っている免疫を利用するので、

外科手術・化学療法・放射線療法の「がん治療の三本柱」に見られた副作用がほとんど発生しない

というメリットが最大の特徴といえます。

また、手術や薬剤投与・放射線照射に耐えられるだけの体力が残っていない患者でも

実行できることもメリットの一つといえます。

しかし、医学的にはまだ未承認の段階にある治療法であるため、

保険適用がされておらず多額の治療費が掛かってしまうというデメリットも存在しています。


免疫療法の内容

免疫療法では、免疫機構に関わる細胞・リンパ球の増殖を行い免疫力の向上を図ります。
           
基本的には患者から少量の血液を採取し、

免疫細胞を人工的に増殖させて点滴で患者の体内に戻して行います。

また、がんの原因となるウィルスに効果のある癌ワクチンの投与を行って

発病予防・治療を行なう場合もあります。

また、免疫細胞の一つであるNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は

「笑うこと」によって活性化する性質を持っていることが判っており、

何かと気が沈みがちになる入院患者の生活の質の向上も兼ねて落語や漫談で患者を笑わせて

病気に打ち勝ってもらおうという試みを行う病院も増えています。

すい臓がんに対する免疫療法

前述の通り免疫療法は未承認の治療法であるため、

全ての病院で施療してもらえるわけではないという欠点があります。

それに加えて健康保険の適応外治療に当たるため、

高額の治療費請求を受ける可能性が高いことも欠点といえます。

それでも、一縷の望みを託す最後の希望として免疫療法を選択する人は少なくありません。

ガンに対する免疫療法としては、リンパ球を採取して増殖してから身体に戻す

「活性化自己リンパ球移入療法」に代表される受動免疫療法、

免疫細胞が分泌するたんぱく質・サイトカインを投与する「サイトカイン療法」や

食事療法による能動免疫療法があります。

免疫療法の効果は個人差が大きく、がん細胞が消滅して完治したという人もいれば

数ヶ月生存期間を延ばすに留まった人もいます。

そのためあくまでも外科手術・化学療法・放射線療法を治療の基本とした上で、

免疫療法を選択肢に入れておくべきであるといえます。

 

末期がんに対する治療について

すい臓がんは発見が難しく進行が早い為、他の癌に比べて発見時に手遅れだったケースが多く見られます。

そのため、医者は根治治療を諦めて患者に人間らしい生活を全うさせる為の治療に踏み切るという

苦渋の決断をしなければならないことがあるのです。

このような病気の完治ではなく、QOL(クォリティ・オブ・ライフ、生活の質)を高めて

充足した余生を過ごすことを目的とした治療を「終末医療」といいます。
           
終末医療に伴って、病状の進行ではなく症状の軽減を目的として行う治療を「姑息的治療」といいます。


終末医療・姑息的治療の意味とは?

終末医療や姑息的治療は、根治治療の対極にあるとも言える治療法であるため

敬遠する患者やその家族も少なくないものです。

しかし、病状が末期に達し根治が望めないという状況に置かれた患者にしてみれば、

「治らないのであればせめて最後の時まで充実した生活を送りたい」と考えることは自然なことと言えます。

このような患者の希望に応えて痛みを和らげ充足した余生を遅らせることが

終末医療や姑息的治療の基本方針であり治療法としての意味といえます。


膵癌に対する姑息的治療について

すい臓がんに対して行われる姑息的治療は症状の軽減と、

癌に付き物の疼痛を緩和することを目的として行われます。

すい臓がんの場合、十二指腸に胆汁を送り込む胆管が圧迫されて黄疸を起こすことがあるため、

胆管の開放を目的とする手術や小腸に胆汁を送り込む為のバイパス設置術などの

外科手術が姑息的治療として行なわれます。

また、放射線をがん細胞に照射して増殖を抑制し症状の緩和を図る手法も用いられます。
             
姑息的治療はあくまでも一時しのぎの治療の為病状の改善は望めないものの、

痛みや症状を緩和することができます。


すい臓がんでの終末医療とは

末期に進行した癌患者に対して行われる終末医療は「ホスピス」と呼ばれる専門病棟で行われます。

ホスピスでは余生を有意義に過ごすために、

痛みを押さえQOLの向上を目的とした緩和治療が行われます。

緩和治療は鎮痛剤の投与で末期がんの症状である疼痛を抑制していきます。
             
治療以外の面では病棟内で音楽やレクリエーションを行うなどの心のケアで

患者自身と家族のサポートに勤めます。

患者の逝去後にも遺族の相談に乗るなどのサービスを図るホスピスもあり、

心の整理が付けにくい喪失感の緩和にも役立ってくれるのがホスピスなのです。

 

すい臓がん再発の怖さ

ガンの中でも進行が早く発見しにくいすい臓がんは、

転移だけでなく再発の可能性も非常に高いことが知られています。
           
膵臓は各種ホルモンを分泌する内分泌系を持っているため、

血管を通してがん細胞が拡散しやすい性質があります。

そのため、手術で膵臓を除去しても別の臓器に辿り着いたがん細胞が増殖して

再発を起こす可能性が大きく残ってしまいます。

すい臓がんの再発率は約9割と言われ再発後の余命は短くて3ヶ月、長くても1年前後となっています。

そのため、すい臓癌を治療しても治療後の経過を見るために度々通院する必要があるのです。


再発を防ぐ為には?

すい臓がんの再発は、多くの場合他臓器への転移を伴う形で発生します。

そのため外科手術・化学療法・放射線療法の三本柱を二つ以上組み合わせた治療法を行なって、

がん細胞転移をできるだけ防止することが重要になります。

効果が期待される治療法としては肝臓を通る肝動脈と門脈に抗がん剤を投与する

「術後2-チャンネル化学療法」があります。

すい臓がんからの肝臓転移を予防することで再発率を低くしようというのが狙いです。

また、食事や生活内容の見直しも再発予防の一助となります。

すい臓がんでは膵臓の除去を伴うことが多いため、

インシュリン不足による糖尿病の発病リスクも非常に高くなってしまいます。
             
肝臓に負担を掛け肝硬変・肝臓がんの原因になりうる暴飲暴食などは控え、

適度な運動で体脂肪のコントロールを行うことが大事です。