腸上皮化生

ボコボコ、ゴツゴツとしたところが、腸上皮化生を来たした胃の粘膜です。

 
「腸上皮化生」とは何でしょうか?

胃の粘膜が、あたかも腸の粘膜のように、変化してしまうことです。

当初は、小腸に似たものとなり、後の段階では大腸に似たものとなります。

胃の粘膜は食事の消化のために、胃酸という強力な酸を出し、その酸から胃自身を守るために、

特殊な粘液を分泌しています。

従って、胃の粘膜が腸の粘膜に変化するということは、胃であるにも関わらず、酸を出さず、

身を守る粘液も出さない、ということになります。

仮に胃の粘膜の全てが、腸の粘膜に置き換わってしまったとしたら、

胃酸が出ないために、食事を消化することが出来ず、胃の動きも悪くなるために、

食物は胃の中に停滞し、発酵してガスを出します。

食物は腐敗し、有害な成分が発生し、胃の中はただれてしまい、状態は更に悪化します。

体調は悪くなり、胃はもたれ、下痢になり、臭いげっぷやガスが出ます。

傷んだ粘膜からは、高率に胃癌が発生しやすくなります。

それでは何故、胃の粘膜が、腸のように変化してしまうのでしょうか?

その原因として、現時点で一番有力視されている犯人が、ピロリ菌です。

ピロリ菌の胃の感染が長く続くことが、腸上皮化生の原因だと考えられているのです。

ピロリ菌という細菌が胃粘膜に存在する事で、慢性的、組織学的胃炎が生じ、

萎縮、腸上皮化生がさらに進行する機序です。
 
萎縮、腸上皮化生、ピロリ菌感染の3因子が、 

程度の差を持って複雑に絡み合って形作られるのが慢性胃炎とされています。

さらにピロリ菌という細菌が胃の中にいると胃癌発生の遠因になる事も解明されつつあります。 

慢性胃炎の治療もこれまでは、

制酸剤、粘膜保護剤、胃腸異能改善剤等で症状を緩和する治療に重点がおかれましたが、

最近は、ピロリ菌が多く存在する時は、胃癌のリスクを減らすために

ピロリ菌を除菌する療法も検討されることがあります。

 

ペプシノゲン

検査は簡単

胃ペプシノゲンは胃の粘膜で生成される消化酵素のペプシンを作る物質で、

その99%が胃内に出て1%が血液中に入ります。

ペプシノゲンは、胃酸の働きによってタンパク質を分解する酵素ペプシンになります。

血液中のペプシノゲンの産出量を測定することによって、高い確率で萎縮性胃炎を発見することができます。

胃癌は萎縮性胃炎を経て発生する可能性が高いので、胃癌の早期発見に有効な検査方法と言えます。

胃のどの辺りで分泌されるかにより、ペプシノーゲンⅠとⅡに分類されます。

ペプシノゲン1は胃の底にある胃底腺から発生するのに対し、ペプシノゲン2は胃の出口に近い幽門腺に存在します。


ペプシノーゲンを調べると何がわかるのか?

血液中のペプシノーゲンのⅡに対するⅠの割合を調べると、胃粘膜の萎縮の広がりとその程度、

胃液の分泌機能、胃粘膜の炎症の有無が分かるほか、

胃がんのスクリーニング検査として有用であることが明らかとなり、注目されています。

血液検査による胃がん検診」とも呼ばれています。

X線法よりも早期の胃癌の発見率は約2.7倍も高いとされており、検査コストも約半分に抑えられます。

胃癌が起こる前兆とも言われる萎縮性胃炎を発見するためには、このペプシノゲンの分泌量のチェックが一般的です。

正常粘膜、表層性胃炎、萎縮性胃炎と症状が重くなり、この状態で胃カメラを飲むと、

胃の内部の皮が変形していることを確認できます。

ペプシノゲンの値が不安定な人、数値が基準値外だった人は1度、胃カメラでの再検査をおすすめします。

また、ピロリ菌に感染していると高値を示し、除菌されると正常値(Ⅰ値70以上、かつⅠ/Ⅱ比3以上)になるので、

除菌治療の効果を判定するのに役立つと期待されています。

ただ、ペプシノーゲンⅠ/Ⅱ比にも欠点はあり、萎縮と関係なく発症する未分化型腺がんや、

間接X線法では容易に診断できる進行がんが逆に見逃されると言われています。

そこで近年では、ペプシノーゲンⅠ/Ⅱ比でスクリーニング(ふるいわけ)を行ない、

陽性になった人は上部消化管内視鏡検査(いわゆる胃カメラ)による精密検査を受け、

陰性者は従来の胃X線検査を受けるという方法が最適であると考えられています。

ペプシノーゲンはどのように検査するのか?

採血した血液を測定用キットで調べます。

血液を数cc採取するだけの非常に簡便な検査です。

検査を受けるときの注意

胃や十二指腸の疾患が強く疑われる症状(みぞおちの痛み、嘔吐、血便、体重減少など)では、

この検査を受けずに、最初から上部消化管内視鏡検査などの精密検査を受けた方がよいでしょう。

また、胃酸分泌抑制剤の中で、プロトンポンプ阻害剤を内服中の人は、

ペプシノゲンが高値になりますので、この検査は適していません。

陰性と陽性の判定基準

胃粘膜の萎縮が進むにつれ、胃底腺領域が縮小していくためペプシノゲンⅠの量や

ペプシノゲンⅠとペプシノゲンⅡの比率が減少します。

この度合いによって、胃全体の萎縮の進行度がわかるというわけです。

ペプシノゲンⅠ値70ng以上かつペプシノゲンⅠ/Ⅱ比3以上が基準値とされています。

ペプシノゲンⅡの基準値は公表されていませんが、それ単体では重要ではなく、ペプシノゲン比率が大切です。

 

陰性…Ⅰ値70以上かつⅠ/Ⅱ比が3以上。

陽性…Ⅰ値70未満かつⅠ/Ⅱ比が3未満。

中等度陽性…Ⅰ値50未満かつⅠ/Ⅱ比が3未満。

強陽性…Ⅰ値30未満かつⅠ/Ⅱ比が2未満。

 
検査結果の判定

陽性であれば胃粘膜に萎縮があると考えられ、萎縮性胃炎、胃がんが疑われます。

ただ、この検査だけで、胃がんと判定することはできないので、

胃X線検査上部消化管内視鏡検査などの画像診断との併用が基本になります。

一方、陰性でその数値が高い場合には、胃液の分泌が多いと考えられ、

胃炎や胃・十二指腸潰瘍、ピロリ菌の感染が疑われます。

異常な場合に疑われる病気

胃がん、萎縮性胃炎、ピロリ菌感染、胃・十二指腸潰瘍など

萎縮性胃炎

正常胃粘膜
萎縮縮性胃炎

正常胃粘膜           萎縮縮性胃炎

内視鏡検査やバリウム検査にて「慢性胃炎」や「萎縮性胃炎」と言われた方は多いと思います。

しかし、これが一体どういう状態なのか、なかなか患者さん向けに書かれたものがありませんので、

わかりやすくご説明させていただきたいと思います。

慢性胃炎」とは、胃の粘膜に白血球が集まって、常にじわじわとした慢性的な炎症を起こしている状態を言います。

炎症が長い間続き胃粘膜の障害が進むと、胃酸を出す胃腺というものがひどく縮小して、

胃の粘膜がうすくぺらぺらになってしまいます。

すなわち、慢性胃炎が長く続いた結果として、胃の粘膜が萎縮した状態を「萎縮性胃炎」というわけです。

内視鏡で観察すると、正常な胃はきれいなピンク色をしています。

しかし、慢性胃炎が長く続き、萎縮性胃炎になってくると、胃は色あせ(退色)、

粘膜の下にある血管が透けて見えるようになって来ます。

最近までの研究で、この原因のほとんどがヘリコバクター・ピロリ菌という細菌

によって引き起こされていることが分かって来ました。

五十歳以上の日本人は、大多数がこのピロリ菌に感染していますが、

感染時期は、5歳未満の幼少期と言われています。

幼少期にピロリ菌に感染した胃は、常にじわじわとした炎症があるために、次第に傷んでゆき、

30歳位から萎縮性胃炎に進行します。

このせいで、生まれたときはきれいなピンク色だった胃も、次第に粘膜が薄くなって、

色あせてしまうという訳です。

自然治癒は難しいのですが、ピロリ菌を除菌すると回復してきます。

ですから、ピロリ菌に感染しているかどうかの検査を受けて、陽性であれば除菌をおススメします。

大体が無症状であり、萎縮が高度で広い範囲に起こっている場合は

食欲不振や食後のもたれなどを訴える人もいます。

さらに、萎縮が進行した胃には、30歳後半から、

大腸や小腸の粘膜に似た「腸の粘膜」がデコボコと生えて来ます。

これを「腸上皮化生」と呼びます。

この腸上皮化生粘膜を背景に、胃癌が発生すると言われています。

慢性胃炎→萎縮性胃炎→腸上皮化生→胃癌」という道すじの中で、

慢性胃炎は「前癌病変」(癌になりやすい状態)として据えられており、

萎縮の進行度に応じて胃癌発生が高くなることが統計上わかっています。

したがって、慢性胃炎腸上皮化生がひどくなった方は胃癌が出てくる可能性が高いため、

早期の胃癌を診断する目を持った消化器専門医師による、年一回の胃カメラを欠かすべきではありません。

胃癌が出来ても、早期に見つかればお腹を切らなくても胃カメラで完全に治療が出来るため、

なるべく早く発見して完治することが大切なのです。

胃がんの約九割は慢性胃炎からゆっくりと時間をかけて萎縮性胃炎を経て起こる分化型(Intestinal type)です。

早期に発見されれば病巣を切除することによって治癒しえます。

一方、胃がんの約一割は慢性胃炎から萎縮性胃炎を経ずしておこる未分化型(Diffuse type)です。

若くして起こりえる進行の早いがんで、一般に予後はよくありません。

多数のピロリ菌感染者のうちには、健康的な生活習慣を送っていても

これら二つのタイプの胃がんが起こる可能性が僅かながらあるのです。

ピロリ菌による慢性胃炎は男女平等におこっていますが、

世界中どこの国をみても男性が胃がんになる率は女性の二倍近く高いのです。


タバコとアルコールの摂取は胃がんの発生との相関性があることが指摘されていますが、

タバコやアルコールが慢性胃炎を悪化させ、萎縮性胃炎への進行を促します。

生活面で注意することとしては、まずは、ストレスを避けることが大切と思われます。

ストレスにより胃の筋肉が収縮し血流も悪くなり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍ができやすくなります。

ひいては、胃がんの発生にも関係するのではとも推測されています。

萎縮した胃の粘膜が元どおりになることは難しいため、それ以上悪化をさせないように、

暴飲暴食や喫煙もよくありません。

規則正しい生活を心掛けることが肝要と思われます。

慢性胃炎の進行を抑える栄養素があります。

ビタミンCやカロチンを多く含む新鮮な野菜や果物の摂取量が多いほど胃がんになる危険が低くなります。

緑茶や微量元素のセレニウムも胃がんを抑制します。

アルコールとタバコを避け、塩分の少ない食事、生の野菜と果物を豊富に用いた食事を心がけることは

胃がん予防のみならず、他のがんや成人病予防のためにも好ましいライフスタイルです。

肛門皮垂

肛門の周囲にできた皮膚のたるみのことです。

多くは嵌頓痔核(かんとんじかく)、血栓性外痔核(けっせんせいがいじかく)、裂肛(れつこう)

などにより一時的に肛門部がはれ、その後、はれが萎縮したあとにしわとなって残ったものです。

なかでも肛門前方にできるものは女性に特有で、出産後や裂肛が長期間存在した時にできます。

症状の現れ方

裂肛や肛門周囲の湿疹などに併発することが多いので、

肛門部の違和感やべとつき、かゆみ、便が拭ききれないなどを訴えます。

徐々に大きくなるので本人は気がつかないのですが、

大きくはれたり、便秘でむくむと苦痛を伴います。

皮垂の対処法


皮垂であるとは限りません。

自己判断せず肛門科の専門医へ。

皮垂だと思っていたら実は痔核(イボ痔)であったり、皮膚の腫瘍であったりすることもありますので、    

一度は肛門科の専門医を受診して確認しましょう。


治療の方法

炎症性に肥大している場合は、皮膚の突起を少なくするために、

炎症をおさえるための坐薬、軟膏などの外用薬や、内服薬を使用します。

皮膚の清潔を保ち、便通を整え、併存病変の保存的治療を行うことにより、

多くは症状が改善します。

しかし、皮垂は消失しません。

完全になくしたいときは、手術で切除しなければなりません。(局所麻酔下での単純切除)

 

手術しなければならないの?

治るの?

皮垂は皮膚のたるみですから医学的には切除する必要はありません。

でも、薬をつけても小さくなったり消えてなくなったりしませんので、    

完全に無くしてしまいたいと思われるのであれば手術して切除するしかありません。

でも病気ではありませんので医学的に手術の必要はありません。

「見た目がカッコ悪い」という理由で手術を希望される患者さんはあります。
    
美容的な意味での手術となりますが、手術をしても傷が腫れればたるみが残ることもあり、    

完全にきれいに見た目を美しくするのは難しいです。

また「腫れやすい体質」や「いきむ癖」のある人はどうしても手術の傷が腫れやすいです。

また、肛門は神経・血管・筋肉が複雑にいりくんだデリケートな部位です。

いくら見た目がきれいでも「使い勝手」の悪い肛門では困ります。

大切なことは「肛門の見た目を美しくすること」ではなく「機能を損なわないように手術をすること」です。

肛門は排便の時に毎日使う部位です。    

肛門が伸びたり縮んだりするにはある程度の「たるみ」や「しわ」は必要です。    

残しておいた方が良い「しわ」や「たるみ」もあります。

その点を十分ふまえた上でよくお考えになってから手術をするかどうかお決めになって下さい

病気にきづいたらどうする

それ以上大きくしないために、肛門部を清潔にすることが大切です。

つまり排便後、紙でふくだけでなく、お湯で洗い、よく乾燥させておくようにします。

石けんで洗うときは注意が必要です。

石けん成分が残るとかえって刺激し、かゆみを増強してしまいます。

石けんで洗った後は、十分に洗い流しておくようにします。


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