肛門掻痒症

肛門掻痒症とはどんな病気か

肛門周辺部を中心にかゆみ(掻痒)を伴う病気の総称で、

男女比はおよそ2対1と、男性に多くみられます。

肛門掻痒症は、近年増えてきている病気の一つです。

原因は何か

粘液、分泌物や便汁の付着

肛門掻痒症の原因には痔核(じかく)の脱出によるかぶれ、痔瘻(じろう)、肛門皮垂(こうもんひすい)、

肛門ポリープ直腸脱(ちょくちょうだつ)、寄生虫(ギョウ虫:明け方に痒くなるのが特徴です)  などがあり、

分泌物や便汁の付着のほか、下痢・便秘症でも皮膚刺激や皮膚炎が起こります。

肛門の中や直腸に「便」がたまったり、残ったりしていると、便の刺激で痒みが引き起こされます。

例え毎日「便」が出ていても、スッキリ出ずに中に残っていれば便秘です。

接触性の皮膚炎やアレルギー でも起こります。

(石鹸、市販の軟膏、あせも、消毒薬、ウェットティッシュ、ナプキン、化繊の下着、

痔(脱肛、痔ろうなど)による分泌物など。)

掻くことで、さらに肛門が傷つき、雑菌や真菌(しんきん)(カンジダ菌、糸状菌)の感染が生じてひどくなります。

カンジダという真菌(カビの一種)は、正常な皮膚にも少しだけ存在しますが、体の抵抗力が落ちると増殖します。

そのほか、糖尿病肝硬変(かんこうへん)、精神・神経的な要因によるものもあります。

最近は、肛門を紙で拭きすぎたり、温水トイレで肛門の奥まで洗いすぎることで発生する事例が増えてきました。


肛門を閉める筋肉が弛んでいる

加齢、出産、排便時のきばる習慣により、肛門を閉める筋肉(肛門括約筋)が弛むことがあります。

肛門のしまりが悪くなると、便汁が漏れてしまい、痒みの原因となります。   

 

接触皮膚炎

いわゆる「かぶれ」です。

肛門のかぶれの原因として多いのは、 市販の軟膏、ナプキン、肛門専用のスプレー、

消毒薬、ウエットティッシュなどがあります。      

これらのものは使用しないで下さい。

また、脱肛や痔瘻からの分泌物でかぶれる場合もあります。      

その場合は脱肛や痔瘻の治療をしなければ皮膚炎も治りません。

 

皮膚カンジダ症

いわゆる「カビ」です。

「水虫」のようなものです。      

もともとカンジダという真菌は正常な皮膚にも少しだけ存在するのですが、      

体の抵抗力が落ちると増殖します。

痒みはほとんどないか、あっても軽度のことが多いです。
 

ぎょう虫症

 

子供の時に肛門にセロハンを当てて検査したのを覚えていませんか?

最近は少なくなりましたが時々あります。

明け方にかゆくなるのが特徴です。      

湿疹などの皮膚変化は見られないことが多いです。

お近くの保健所かないかにお問合せいただき検査して下さい。      

ぎょう虫を駆除する薬を内服すれば治ります。

 

皮膚癌

 

肛門部ページェット病

ページェット病、ボーエン病など。
           

まれに肛門に発生した皮膚癌でかゆくなることがあります。      

長い間、湿疹だと思って治療していたら実は癌だった…というケースもあります。      

1ヶ月以上たっても肛門周囲の湿疹が治らず、痒みがおさまらなかったり、      

症状が悪化するようでしたら一度、肛門科の専門医か皮膚科専門医を受診しましょう。

 

尖圭コンジローマ

 

ヒトパピローマウイルスによる感染症で、主に性行為を介してうつる病気です。

 人にうつったり、他の場所にうつったり広がったりしますので早めに受診しましょう。

症状の現れ方

入浴や就寝後、体が温まるとかゆみが増強することが多く、無意識に局所をかきむしるようです。

急性期では肛門周囲のただれ、発赤やはれが強く、べとべとして出血することもあります。

慢性期では皮膚が厚く硬くなり、色素沈着で黒ずんできます。

検査と診断

まず肛門を診察し、痔核裂肛(れつこう)、痔瘻肛門ポリープ直腸脱

過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)など、大腸肛門病の有無を検査します。

真菌類の検索は治療の選択上重要で、肛門部から分泌物を取って、水野・高田培地などで培養します。

女性の場合、腟から肛門にかけて垂れたようにただれている時は腟炎が考えられます。

幼児、学童では蟯虫症(ぎょうちゅうしょう)を疑い、セロファンテープ法で検査します。

肛囲湿疹(こういしっしん)が難治性の場合、パジェット病(悪性化もある)との区別のため、

肛門組織の顕微鏡検査が必要です。

治療の方法

原因となる病気と局所病変を同時に治療します。

局所に対して、ステロイド軟膏、抗真菌薬軟膏、抗生剤入り軟膏、抗ヒスタミン軟膏、

亜鉛華(あえんか)軟膏などを用います。

真菌症に対しては、ステロイド薬は一般的に禁忌とされていますが、

実際の臨床では、抗真菌薬とステロイド薬を混ぜて外用すると80~90%に有効で、速効性があります。

排便コントロールのために、緩下剤、下剤を使用します。

残便がある場合は浣腸の使用も考慮します

肛門掻痒症に気づいたらどうする

香辛料やチョコレート、コーヒー、アルコールなどの刺激物を避け、安静を保ち、

睡眠を十分にとってください。

肛門部の清潔保持は重要ですが、排便後の過度な肛門洗浄、石鹸の使用はひかえてください

温水トイレを使用するときは、水流は最弱で、温度はぬるめで使用時間は短くしてください

皮膚が乾燥すると痒みを感じる神経が増殖して皮膚表面まで伸びてくると言われています。      

つまり「皮膚が乾燥するとかゆくなる、痒みを感じやすくなる」のです。      

温水便座の乾燥モードは使わないで下さい

化学繊維の下着はむれやすいので、できるだけ風通しの良い素材(木綿がよい)のものを使用し、

患部をこすらないものにしてください。
 

吐き気と嘔吐 をきたす疾患

(画像をクリックしてください。拡大されます。)

吐き気とは広い意味では、めまい、腹部全体の不快感、食欲不振、嘔吐感などの不快な感覚です。

吐き気と嘔吐には、延髄の網様体にある「嘔吐中枢」と嘔吐中枢の近くに存在する

化学受容体誘発帯(chemoreception trigger zone;CTZ)が関与していると言われている。

脳の嘔吐中枢
が刺激されると吐き気が起こります。

(画像をクリックしてください。拡大されます。)

一般的には、消化管の働きが乱れることで吐き気が起こります。

船、自動車、飛行機の揺れによっても吐き気が起こることがあります。

また、妊娠中(特に妊娠初期の早朝)にも吐き気が生じます。

モルヒネなどのオピオイド鎮痛薬や、癌の化学療法薬など、吐き気を引き起こす薬もたくさんあります。

嘔吐とは、胃の中の食べ物や胃液などを口から吐き出すことを言います。

嘔吐に先立って起こるむかつくような不快感を吐き気または悪心と言います。

その際に生つばが出たり、脈が速くなって顔色が蒼くなり、あるいは冷や汗、生あくびなどが出たりして、

上腹部の不快感などの症状を伴うことが多いのです。

しかし、嘔吐にはその吐き気を伴うものの他に吐き気を伴わずに突然吐くものがあります。

すなわち吐き気を伴う嘔吐は、胃や腸、肝臓などの消化器に原因があって起こることが多く、

吐き気を伴わない嘔吐は神経系に障害があって起こることが多いのです。

腹痛を伴って吐き気がしたり嘔吐する疾患では、発熱があって下痢をする場合は食中毒や赤痢などが多く

、ウイルス肝炎などもあります。

また急性虫垂炎や胆嚢炎、急性膵炎などの急性疾患があります。

熱がなく腹痛を伴う場合では急性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胆石症や腸閉塞などがあります。

また食道疾患や腹部のヘルニア、尿毒症や薬の副作用などでも起こります。

また婦人科疾患で起こることもあります。

頭痛を伴う吐き気や嘔吐を来す疾患では脳出血、脳梗塞偏頭痛などがあり、その他脳腫瘍のこともあります。

めまいを伴う疾患ではメニエール病などの耳鼻科的疾患があります。

小腸に閉塞があると、飲食物が閉塞部分から胃に戻るため、嘔吐が起こりますが、

また、胃、小腸、胆嚢の刺激や炎症でも嘔吐が起こります。

心理的な原因でも吐き気や嘔吐が起こります(機能性嘔吐あるいは心因性嘔吐といいます)。

心理的な原因による嘔吐には、意図的なものとそうでないものとがあります。

意図的でないものは、登校拒否でみられる嘔吐のように、心理的な困難に対処するために条件反射として生じます。 

 

1)急性虫垂炎

いわゆる盲腸です。

始めは、みぞおちあたりの不快感で始まり、しだいに右のへその横の場所、いわゆる盲腸の場所へ移動します。

この時ハッキリした痛みになることが多いようです。

吐き気はこれに前後しておこり、38度位の発熱も出ます。

診断は症状によって大体見当がつきますが、血液を採ってバイ菌を殺す白血球の数の上昇を見ます。

治療は手術で盲腸を取ってしまうのが原則です。

手術自体は簡単ですが、診断が遅れたりすると、盲腸が破れて腹膜炎になる場合があります。

 

 2)急性腹膜炎

腹膜とは、お腹と腹部の臓器とを被っている膜のことをいいます。

この膜の炎症を腹膜炎といいますが、その原因の多くは腹部臓器が何らかの原因で破れて、

その内容物が出て、腹膜に細菌感染を起こすことによって急性腹膜炎がおこります。

その原因で最も多いのが先ほど述べた急性虫垂炎(盲腸)で、次が胃・十二指腸潰瘍のせん孔(破れること)です。

吐き気とともに突然の激しい腹痛、発熱があり、進行すると冷汗や顔面蒼白などのショック状態になります。

お腹は板のように固くなります。

治療は手術で、速やかな対応が望まれます。

抗生物賢や輸血、補液管理も重要です。

お年寄りの場合、症状が軽い場合もあり注意を要します。

一刻を争う病気です。

 

3)腸閉塞(イレウス)

腸が通過障害を起こし、便や食物が出なくなってしまう病気です。

これには腸の炎症がひどくなったりして腸が動き難くなる、麻痺性イレウスと、

腸の通り道が塞がれてしまう、機械的イレウスがあります。

機械的イレウスの原因としては、大腸癌やお腹の手術の後、腸同士が癒着して通過障害を起こすものが多いのですが、

1歳未満の子供では、腸が前方の腸にめり込んで通過障害を起こす腸重積と言う病気があります。

この場合ゼリー状の血便が出ます。

イレウスの場合、嘔吐物はしばしば便の臭いがします。

症状が進むと通過障害を起こしているところが破れ、腹膜炎を起こし、ショック状態になります。

治療は原因によって違いますが、一般的にいって、機械的イレウスより重症のものが手術となります。

内科的治療では、絶食にして鼻からチューブを入れ、腸の内容物を取ったり、補液をします。

 

4)急性胃炎

胃の病気では最もありふれたものです。

原因として最も多いのは、アルコールによるものです。

他には、薬(痛み止め、解熱剤によることが多い)や刺激のある食べ物によることもあります。

また肺炎や肝臓病による随伴症状として出る場合もあります。

吐き気は急におこり、食欲が減退します。

一般的には臨床診断で決めますが、ひどい場合には内視鏡で観察します。

治療は抗潰瘍剤、制酸剤(胃酸を抑える)、鎮症剤(痛み止め)などの内服をします。

また食事は1日程度抜くことも必要となることがあります。

その場合消化の良いおかゆなどから徐々にあげていきます。

また食中毒の場合、発熱や下痢を伴う事が多く、吐き気、嘔吐も激しい事が多いです。

 

5)胃・十二指腸潰瘍

ストレスなどの心因性要因や酒、タバコも誘因となります。

春、秋の季節の変わり目に多い傾向があります。

吐き気、嘔吐は食後1~4時間位に出現します。(但し全体の30%)

それよりも特徴的なのは、空腹時の上腹部痛で全体の50%にみられます。

十二指腸潰瘍では寝ているときに痛みで起きることがあり、胃潰瘍では食後に痛みが起こることも多いです。

治療は現在は良い薬が開発され、ほとんど内服でかつ通院で治癒可能です。

但し、刺激物(辛いもの、コーヒーなど)や酒、タバコなどは控え、ストレスのない生活に心がけましょう。

 

6)慢性膵炎

吐き気は伴いますが、胃のあたりや背中の痛みが出現することが多く(全体の80%)、

特に酒を飲んだ後や脂肪分の多い食事の後に多い傾向があります。

その原因のほとんどがアルコールによるものです。

診断は採血でアミラーゼという酵素の上昇を見たり、CTや超音波で膵臓の形をみたりします。

さらに胃カメラで膵臓の管(膵管と言います)を造影し診断します。

治療はそれぞれの症状に対する内服薬と安静ですが、根本的に治すことは出来ません。

酒は1日1合以内を心がけましょう。

 

7)急性ウイルス性肝炎

A型は、冬から春にかけての生カキを食べる時期に多く発生します。

つまり、生蛎などを食べることから移ります。

感染して約3週間後、発熱、関節痛など風邪症状で始まり、

その後全身倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐がでてきます。

B型は、性行為、輸血から感染し、A型よりも発熱や吐き気が軽いですが、

大人の場合、黄疸がほぼ100%みられます。

C型はさらに症状が軽く、無症状の場合も多くあります。

C型は輸血により発症することが多いです。

A型、B型の急性肝炎は大人の場合、慢性肝炎に移行するのは稀ですが、

C型急性肝炎は、60%以上が慢性化してしまいます。

一度慢性化すると20年で肝硬変、30年で肝臓癌になるので、注意を要します。

診断は血液検査で肝機能やウイルス抗体価を測定して決定します。

治療は安静にして寝ていることが一番です。

食べられないときは、ブドウ糖を中心とした点滴をします。

C型肝炎が慢性化したらば、抗ウイルス剤であるインターフェロンの治療があります。

予防としては、A型、B型の場合、ワクチンがありますので、

A型の場合は、例えばアジアの流行蔓延地域に出かける場合、

B型では血液を扱う医療従事者などはワクチン接種をしておいた方が良いでしょう。

 

眼科領域では

 8)緑内障

眼の奥の痛みや視力障害などを伴います。

 

神経内科、脳外科領域では

 9)脳腫瘍

良性から悪性まで様々あります。

どちらかというと吐き気は弱く、いきなりたくさん吐く「噴射状嘔吐」とよばれる状態になります。

ほかに頭痛や神経症状が出現します。

診断はCTスキャンやMRI検査をします。

 

10)慢性硬膜下血腫

顕蓋骨と脳の間に硬膜という膜がありますが、

頭をぶつけ血管が切れ、血の塊が硬膜と脳との間にたまり脳を圧迫し、様々な症状が出てきます。

頭に外傷を負ってから数週間から数カ月後に吐き気、頭痛、嘔吐、手足の麻痺などがでてきます。

さらに尿失禁やぼけ症状などお年寄りに発症すると、家族は「ぼけ」と思って放置する場合があり要注意です。

診断はCTスキャンやMRl検査でわかります。

治療は頭蓋骨に小さな穴を開けて血腫を吸引除去すると治ります。

 

11)

脳出血、くも膜下出血

これらでも吐き気、嘔吐はおこりますが、

それよりもくも腹下出血では、突然におこる後頭部を「ハンマーで叩かれたような頭痛」が特徴的ですし、

脳出血では手足の麻痺や言語障害がでてきます。

 

12)くすりによる副作用

強心剤ではジギタリスという薬、喘息治療薬のテオドール、テオロングなどの血中濃度が上がりすぎると

吐き気、嘔吐がおこります。

他に抗癌剤では必ずと言っていいほど吐き気が出ますが、最近では吐き気を抑制する良い薬がでてきており、

化学療法を受ける患者さんも以前より大分楽になってきました。

 

 

 

LST(側方発育型腫瘍)



大腸のポリープのうちで、LST(;laterally spreading tumor)と呼ばれるものがあります。

側方発育型ポリープと訳すのですが、その名の通り、大腸の壁にへばりつくように、

べったりと平坦に広がっているポリープのことで、

モコモコしたポリープが平らに集合したような感じです。

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で発見できます。

一般的に大腸のポリープは放置しておくと癌に変わっていく可能性があるので、切除することが必要です。

しかし、LSTは通常の隆起しているポリープと比較すると、ポリープの高さがなく、

周囲との明暗が目立たず発見が遅れるため、

発見時に既に、2~3割の割合で癌を合併しているといわれています。 

インジゴカルミンやメチレンブルーといった青い色素を周囲に散布することで、

ようやく目立たせることができるのです。

但し、基本的には癌であっても、深くめり込んでいない状態でさえあれば、

「発見したその場で内視鏡で切除して終わり」にできます。

但し、完全切除が必要です。

取り残しがあれば必ず再発します。

つまり、深くめり込んでいれば、大腸を切除してつなぐ手術が必要になります。

「深くめり込んでいるのか、どうか」

これは肉眼では難しい判断です。

内視鏡で切除した標本を病理検査(顕微鏡検査のことです)に提出しますが、

深くめり込んでいたという病理結果の報告が来たら、

追加で大腸を切除してつなぐ手術が必要になりますので、

「内視鏡切除」と「手術」という二度手間になってしまいます。

・・・そこで、大腸内視鏡医はポリープ表面の模様を詳しく観察します。

模様によって、ポリープのめり込み具合がある程度正確に判断できるのです。

表面模様を詳しく観察するためには、「拡大内視鏡」が大いに役立ちます。

現時点では、「拡大内視鏡」+「色素散布」+「NBI」が最前線、最強の組み合わせですが、

最先端だけあって、これらを完備している施設はごくわずかです・・・。

LST(側方発育型腫瘍)約2cmのLST(側方発育型腫瘍)です。



上記の症例は生理食塩水を注入しEMR(内視鏡的粘膜切除術)を行いました。



病理組織学的には腺種で内視鏡的に治療を終了しました。

EMR(内視鏡的粘膜切除術)

色素散布
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ワイヤー切除
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矢印は切除面

0c1234f3.jpg 0c1234f4.jpg 0c1234fa.jpg電気メスで止血

 

 

切れ痔

女性と切れ痔

の中で男女とも最も多いのはいぼ痔ですが、女性の場合、次に続くのは切れ痔です。

特に20~40歳代と、比較的若い年代に多いといわれています。
 
切れ痔の主な原因は、便秘や下痢などの便通異常です。

便秘で硬くなった便を無理に押し出すと、肛門の内側の皮膚が切れたり裂けたりしてしまいます。

また、下痢便が勢いよく肛門を通過するときも切れ痔が起こりやすくなります。
 
女性に切れ痔が多いのは、便秘になりやすいからです。

女性が便秘になりやすい理由には、「黄体ホルモンの影響」で腸の動きが鈍くなること、

「妊娠・出産の影響」、無理なダイエットなど「食生活の影響」があげられます。

切れ痔の悪循環

切れ痔の主な症状は、排便時の痛み出血です。

出血量は比較的少なめで、多くの場合、少量の血がトイレットペーパーにつく程度です。

しかし、傷は肛門の内側の痛みを感じる皮膚の部分にできているので、

排便のたびにその部分が裂けて激しい痛みが生じます。

また、炎症が肛門周囲にまで及ぶと、排便後もしばらくジーンとした痛みが続くことがあります。

一般に、軽い切れ痔は治りやすいといえますが、傷が治らず慢性化することも少なくありません。

すると、「排便のたびに痛む → 痛みのために排便を我慢 → ますます便秘が悪化

→ 硬くなった便が傷をえぐる」という悪循環に陥ります。

また、傷が深くなり炎症が広がると、見張りいぼや肛門ポリープと呼ばれる皮膚の突起ができたり、

肛門狭さくが起きてしまうこともあります。

薬物療法と生活習慣改善が基本

切れ痔の治療では、座薬、軟膏、軟便剤の3つの薬を使った薬物療法が基本です。

座薬・軟膏は、患部に直接働きかけ、炎症を抑えたり止血したりする効果があります。

軟便剤は、便をほどよい硬さにして排便時の痛みを軽減します。

切れ痔が進んで肛門狭さくが起きたときは、肛門を広げる手術を行います。

再発を防ぐには、食生活では「しっかり朝食をとる」

「食物繊維をとる」

食物繊維の多い食材

「刺激物やアルコール飲料をとりすぎない」などを心がけます。

また、便意を我慢せずトイレに行く排便習慣を身につけましょう。

そのほか、「同じ姿勢をとり続けない」、湯船につかって体を温め「お尻の血行をよくする」なども大切です。

食道裂孔ヘルニアとは

ヘルニア」(hernia)の意味は その一部もしくは全部が本来あるべきところになく、逸脱している状態をいいます。

 ヒトには胸部と腹部の間に横隔膜(おうかくまく)という隔壁(かくへき)があって、胸腔と腹腔を分けています。

胸腔と腹腔に連続している大動脈、大静脈、食道は、それぞれ横隔膜にある裂孔を通っています。

食道は、頸部から始まり胸部(正確には後縦隔〈こうじゅうかく〉)を通り、

腹腔(ふくくう)内に出たところで胃につながります。

したがって、食道・胃接合部は腹腔内に位置するのが本来の姿です。

その後縦隔から腹腔内への通じる孔(あな)を食道裂孔といいます。

つまり食道裂孔ヘルニアとは食道裂孔より胃の一部あるいは全部が後縦隔内へ脱出した状態をいいます。

重症例では胃の半分以上、時には全体が縦隔(じゅうかく)内に脱出することもあります。

胃の脱出の状況により次の3型に大別されます。

[1]滑脱(かつだつ)型(sliding type)

腹部食道、胃噴門(ふんもん)部、胃体上部が食道裂孔を通って後縦隔に脱出したもの。

食道・胃接合部は横隔膜(おうかくまく)より上方に移行している。

[2]傍(ぼう)食道型(paraesophageal type)

胃底部(いていぶ)のみが全周性に、食道裂孔から後縦隔へ脱出したもの。

食道・胃接合部は腹腔内にとどまっています。

[3]混合型

[1]と[2]の混合型。

原因としては、  横隔食道靱帯(じんたい)、横隔膜食道裂孔右脚(うきゃく)などの胃 噴門部固定機構

(胃から食道への逆流を防止する役目を担っている)の異常によることが主です。

生まれつき食道裂孔が緩く胃が脱出している先天性の食道裂孔ヘルニアの症例もあります。

成人に発生する大部分の成因は後天性であり、加齢による横隔食道靱帯の脆弱(ぜいじゃく)化、

横隔膜下脂肪組織の退行 変性、肥満、脊柱後彎(せきちゅうこうわん)などに加え、

喘息(ぜんそく)や慢性気管支炎などの慢性の咳嗽性(がいそうせい)疾患、老人性肺気腫(きしゅ)、

嘔吐など腹圧上昇の機転が加わることが誘因となって発生すると考えられます。

症状

本症の約20%は無症状との報告があるようです。

食道裂孔ヘルニアがあるだけで自覚症状がなければ、単にヘルニア状態にあるだけで問題となりません。

自覚症状や逆流性食道炎を合併して初めて、“ヘルニア症”ともいうべき病態を呈します。

また、 重篤(じゅうとく)な合併症を起こすまで自覚されないこともあります。

主な症状としては、げっぷ、胸やけ、上腹部の腹満感、逆流感、胸部でのつっかえ感、

嚥下(えんげ)時のしみる感じ、 嚥下障害、胸骨後部の圧迫感・疼痛(とうつう)・

灼熱(しゃくねつ)感などがあります。

時に狭心症の発作との鑑別が必要になるほど胸痛が強いこともあります。

症状をとくに強く自覚するのは夜間就眠時(とくに明けがた)、かがんで草取りなどしている時、

食後しばらくした時、酒・たばこ・コーヒー・ココア・チョコレート・油ものなどを摂った時などです。

診断

1)胸部単純X線検査

胃のガス像の位置、心陰影に重なるガス像の有無などをみます。こういった所見を認めた場合は、

診断は比較的容易につきます。

2)上部消化管造影検査

通常はバリウムを使います。

食道の長さ・胃の位置などを確認します。

同時にバリウムの通過の状態もチェックします。

また体位変換によって、胃から食道への逆流の有無も確認できます。

3)内視鏡検査

本症の診断には必要不可欠な検査といっていいでしょう。

食道胃接合部の位置の直接的な確認、食道裂孔の弛緩(しかん)の有無の確認

(典型的な内視鏡像を示します)ができます。

診断のみならず、合併することの多い食道炎(逆流性食道炎)の程度の診断や

潰瘍(食道や脱出胃にみられる)・ バレット(Barrett)食道・食道ガン・胃ガンなど他の疾患との

鑑別診断にも有用な検査といえます。

4)心電図

虚血性(きょけつせい)心疾患との鑑別および合併の有無の確認のため必要です。

5)この疾患には、胆石症や大腸 憩室(けいしつ)を合併することが多い

(これら3つをSaintの3 主徴〈さんしゅちょう〉という)ため、検査しておいてもいいと思います。

治療の方法
 

 形態的変化であるため、治療は外科的手術になります。

脱出している胃を腹腔内に引きもどし、開大している食道裂孔を縫縮し、逆流防止手術を追加します。

食道のまわりに胃底部を全周性に巻きつけるニッセン法、亜全周性のトペー法、ドール法、

噴門(ふんもん)部を正中弓状靭帯(じんたい)に縫合するヒル法などがあります。

最近では腹腔鏡下にニッセン法が行われています。



<逆流防止手術:胃の上部を襟巻き状に食道に縫い付ける> <襟巻き状の噴門形成術が終わったところ>

小さな手術創ゆえ患者さんへの負担が軽くて済みます。

食道裂孔ヘルニアに気づいたらどうする

 

つかえ感や胸やけ・胸痛があったら消化器科に受診して、上部消化管造影と内視鏡の検査を受けるとよいでしょう。

食道裂孔ヘルニアが軽ければ、とくに治療の必要はありません。

逆流性食道炎があればH2受容体拮抗(きっこう)薬やプロトンポンプ阻害薬を服用します。

傍食道型食道裂孔ヘルニアは原則的に手術を行う必要があります。

食道裂孔ヘルニアも、程度と逆流性食道炎の合併により手術の対象となります。

 

表層性胃炎(櫛状胃炎)とは

表層性胃炎は胃炎の初期症状とも言える状態で、胃の粘膜の表面だけに炎症が起こっている状態です。

病理学的にみると、リンパ球を中心とする炎症細胞浸潤(しんじゅん)がみられます。

この時、粘膜は赤く充血しています。

胃鏡(胃カメラ)の所見として、粘液の増量によって生じた付着粘液、発赤、浮腫がみられます。


胃の中央部分(胃体部)に典型的な「櫛状発赤」と呼ばれる線状の発赤を認めます。


急性胃炎。櫛状発赤(櫛でひっかいたような赤い筋)があります。


胃体下部にかけて数条の櫛の目状発赤があります。

飲酒やタバコ、香辛料の摂り過ぎなど強い刺激によって胃の粘膜に炎症を起こしてしまっています。

また、ヘリコバクターピロリが原因となることもあります。

症状は上腹部の不快感や胃もたれを感じますが、表層性胃炎の場合では軽い胃炎と言えますから、

それ程症状は強くなく自然と改善していく場合もあり、強い症状が見られないこともあります。

なんとなく胃が重いと感じられます。

症状が見られるようであれば、胃酸の分泌を抑える薬を使ったり、消化剤を利用する事もあります。

傷みを和らげる鎮痛剤も症状にあわせて使います。

ピロリ菌の除菌を行うこともあります。

規則正しい生活と食生活を送り、ストレスを改善する方法を見つけましょう。

表層性胃炎自体は心配する必要のない病気であり、症状があれば治療を受けるといったことで十分と思われます。

ただ、自覚症状だけでは診断できないため、他の病気、とくに胃がんを除外する意味で

1~2年に1回の内視鏡検査を受けておくことは必要と思われます。

 

 

 

異所性胃粘膜

異所性胃粘膜とは、胃粘膜が胃以外の臓器に見られたり増殖したりすることをいいます

先天的な「異所性胃粘膜」は、

通常、食道や十二指腸球部に分節状の小結節または茎のないポリープとして見られ、

あまり病的な意味がないものです。

胃液を分泌する主細胞や副細胞を持つ胃底腺粘膜から成っています。

後天的なものについては、再生性変化(キズの治癒)に関連しており

十二指腸潰瘍や十二指腸炎の治癒過程・炎症性腸疾患(たとえばクローン病などの瘢痕)によく見られます。

この場合の胃粘膜は主細胞や副細胞がない、またはあっても粗い幽門腺粘膜から成っています。


食道の異所性胃粘膜です。


十二指腸の異所性胃粘膜です。

青い色素を散布することで凹凸を強調しています。

十二指腸異所性胃粘膜とは一言で言えば、

胃酸が多く、十二指腸まで胃酸が下りて来るために十二指腸の一部に表面を守る為に

胃壁と同様の上皮質が形成されてしまう物です。

云わば十二指腸の自己防衛反応です。

がん化する事は極めて稀で、余り心配する必要は有りません。

先ずは胃酸が出過ぎる原因の一つとなるピロリ菌の検査を行い、陽性ならば除菌治療が必要です。

さて、異所性胃粘膜の何が問題かというと、

胃粘膜が腫瘍性変化を起こす、または潰瘍や消化管穿孔の可能性があるということです。

異所性胃粘膜それ自体は普段の症状は特にありません。

胃痛や胸焼けなどの症状があって、たまたま受けた内視鏡検査で偶然発見されるというケースがほとんどです。

しかし、胃ではない臓器に生息しているので、大きく育とうとして腫瘍のように変化してしまい

実際に組織を奥深くまで調べると悪性細胞が含まれている、

または周囲の組織が胃酸分泌に耐えられず潰瘍を作ったり

消化管穿孔(消化管に穴が空いてしまうこと)を起こし緊急手術になる場合もあります。

特に症状がなくても、内視鏡検査を定期的に受けられることをお勧め致します。


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