LST(側方発育型腫瘍)
大腸のポリープのうちで、LST(;laterally spreading tumor)と呼ばれるものがあります。
側方発育型ポリープと訳すのですが、その名の通り、大腸の壁にへばりつくように、
べったりと平坦に広がっているポリープのことで、
モコモコしたポリープが平らに集合したような感じです。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で発見できます。
一般的に大腸のポリープは放置しておくと癌に変わっていく可能性があるので、切除することが必要です。
しかし、LSTは通常の隆起しているポリープと比較すると、ポリープの高さがなく、
周囲との明暗が目立たず発見が遅れるため、
発見時に既に、2~3割の割合で癌を合併しているといわれています。
インジゴカルミンやメチレンブルーといった青い色素を周囲に散布することで、
ようやく目立たせることができるのです。
但し、基本的には癌であっても、深くめり込んでいない状態でさえあれば、
「発見したその場で内視鏡で切除して終わり」にできます。
但し、完全切除が必要です。
取り残しがあれば必ず再発します。
つまり、深くめり込んでいれば、大腸を切除してつなぐ手術が必要になります。
「深くめり込んでいるのか、どうか」
これは肉眼では難しい判断です。
内視鏡で切除した標本を病理検査(顕微鏡検査のことです)に提出しますが、
深くめり込んでいたという病理結果の報告が来たら、
追加で大腸を切除してつなぐ手術が必要になりますので、
「内視鏡切除」と「手術」という二度手間になってしまいます。
・・・そこで、大腸内視鏡医はポリープ表面の模様を詳しく観察します。
模様によって、ポリープのめり込み具合がある程度正確に判断できるのです。
表面模様を詳しく観察するためには、「拡大内視鏡」が大いに役立ちます。
現時点では、「拡大内視鏡」+「色素散布」+「NBI」が最前線、最強の組み合わせですが、
最先端だけあって、これらを完備している施設はごくわずかです・・・。
LST(側方発育型腫瘍)約2cmのLST(側方発育型腫瘍)です。
上記の症例は生理食塩水を注入しEMR(内視鏡的粘膜切除術)を行いました。
EMR(内視鏡的粘膜切除術)
色素散布
ワイヤー切除
矢印は切除面