山口県岩国市尾津町1-12-29
074_telephone 0827-34-0303
 
あなたは 3294210 番目の訪問者様です

« | »

急性腎盂腎炎

腎臓の主な働きは尿をつくって排泄することです。

体内で作られた、たんぱく質の老廃物や有害物質などが血液に含まれて腎臓に運ばれてきます。

その血液は「腎動脈」という太い血管によって腎臓に集まり、

腎臓の組織の「糸球体」で濾過されて尿細管を通る間に必要な成分を再吸収したり、

不必要な成分を排泄しながら濃縮されていきます。その尿は腎杯から腎盂に集められ、

尿管、膀胱を経て尿道から体外に排泄されます。

「腎盂腎炎」は、腎盂や腎杯、さらに腎臓の髄質が細菌によって炎症を起こしている状態をいいます。

通常私たちの尿と尿路は無菌状態に保たれています。

尿路は尿道口から体の外と交通していますが、

通常は少々細菌などの微生物が進入しても、新たな尿で洗い流されるため、微生物が繁殖することはありません。

しかし、大量の微生物が進入したり、洗い流す尿が足りなかったり、体が疲れて弱っていたりといった原因があると、

尿路に感染を起こすことがあります。

尿路に感染を起こすことにより、いろいろな症状が出現することを尿路感染症といいます。

尿路感染症のほとんどは、尿道口から尿道→膀胱→尿管→ 腎盂と尿の流れと逆(上行性)に感染が進みます。

腎盂に感染が及んだ場合、感染による 炎症は腎実質にも波及するので、 腎盂腎炎という病名となります。

単に 腎盂炎と呼ぶこともあります。

尿路上行性感染とは、膀胱炎などの感染を起こしている細菌が何らかの原因で尿管を上行して腎盂に達するもので、

その原因として腎盂・尿管の形態異常、尿路結石、腎盂・尿管の悪性腫瘍、膀胱尿管逆流現象

神経因性膀胱(しんけいいんせいぼうこう)、前立腺肥大症などがあります。

「腎盂腎炎」は圧倒的に女性が多く、20~40歳代では、男女比は1対30といわれます。

女性に多い理由としては、女性は男性より尿道が短いことと、尿道口と肛門が接近しているために、

上行性感染による細菌感染が起こりやすいこともあります。

男性の場合は感染が膀胱まで及ぶのはまれです。

また、原因となる病原微生物は主に大腸菌、緑膿菌などグラム陰性桿菌と腸球菌です。

なかでも大腸菌による感染が約90パーセントにも達します。

肛門やその周囲についている大腸菌が侵入することによって起こります。

また、尿の流れが悪くなると細菌が上へのぼりやすくなり感染を起こしますが、

とくに高年齢になると男性の前立腺肥大が増えるため、50歳以後の男女比は小さくなります。

(画像をクリックしてください)

前立腺肥大による腎盂腎炎の起こりやすい理由は、前立腺は膀胱のすぐ下に位置し、

尿道を取り囲むように存在しています。

そのため、前立腺が肥大することで尿道が圧迫され、尿の流れが悪くなり、細菌に感染しやすくなると考えられています。

尿の流れが悪くなる原因としては、他に尿道炎、尿路結石、糖尿病痛風、妊娠、

膀胱尿管逆流現象(尿が下から上へ流れる)などがあります。

また、細菌に対する抵抗力が落ちる糖尿病その他の病気や、

ステロイド剤・抗がん剤などにより免疫力の低下している人も腎盂腎炎を起こしやすくなります。

 

症状

悪寒やふるえを伴うようなひどい発熱、腰背部痛、側腹部痛  倦怠感 腎盂腎炎の主症状です。

ときには、短時間のうちに40度を超える高熱になることがあります。

腎盂腎炎には、膀胱炎などの下部の尿路感染を合併することもあるので、

その場合は症状として、排尿痛、頻尿(ひんにょう)、 残尿感を伴います。

また、頻繁に尿意をもよおしてトイレの回数が多くなりますが、量が少なく、

排尿時の痛みや残尿感などの膀胱炎のような症状もあらわれ、白血球が混じるために白く濁ります。

診断

前記の症状に加えて、

病巣のある側の背中を叩いた時に痛み(脊柱肋骨(せきちゅうろっこつ)角部叩打(こうだ)痛)があったり、

尿検査で白血球や細菌が認められたり、また血液検査で白血球の増加、赤沈(せきちん)の亢進、

CRP(C反応性蛋白)の陽性が認められれば、急性腎盂腎炎と診断されます。

尿路の異常や通過障害を調べるため、静脈性腎盂造影や膀胱造影などの検査を行います。

区別すべき疾患としては急性膀胱炎慢性腎盂腎炎

急性炎症を認める腎炎(ANCA関連腎炎)などがあげられます。

治療
 

原因となる微生物に効く抗生物質の 投与を行うことが基本です。

通常は大腸菌なので、培養検査を提出したらすぐに、大腸菌に効果のある抗生物質の 投与を開始します。

症状が重い場合は入院して抗生物質の点滴注射を受ける必要がありますが、

比較的軽い場合は、飲み薬の抗生物質を内服します。

飲み薬の中では、キノロン系合成抗菌剤と呼ばれる種類のものが最も多く使われます。

それは体内で変化を受けずに腎臓から尿路に薬が行きわたるため、

尿路感染には効果が高いとされているからです。

その他、発熱や腰背部痛を症状に応じて抑えるために、解熱消炎鎮痛剤の坐薬ないしは内服薬を使用したり、

尿量を確保したり発熱による衰弱・脱水を改善するために、 輸液(水分と 電解質の点滴)を行うこともあります。

およそ1週間くらいで治りますが、完全に治すことが大切で、自己判断で抗生物質の服用を途中でやめたりすると、

慢性化する可能性もありますので医師の診断をあおぎましょう。

さらに安静・保温・水分補給を心がけましょう。

安静
・・・腎臓への血流量は身体を横にしているとき、つまり寝ている姿勢のときに一番おおくなります。

血流量を増やすことで、腎臓の機能の回復を早めることができます。
 

保温・・・身体を冷やすと腎臓への血流量が少なくなります。

冬場の防寒はもちろんのこと、夏場にはクーラーで身体を冷やさないように注意しましょう。
 

水分補給・・・尿量ガ少なく濃くなると細菌が繁殖しやすくなり、感染に対する抵抗力も弱くなります。

たくさん水分をとって、たくさん尿をだして細菌を流してしまいましょう。

白湯や番茶などの刺激の少ないものを1日1500ml以上はとるようにしましょう。

予防

この病気の予防としては、膀胱炎も含めた尿路感染全体の注意点と同様です。

女性の場合、外出先で排尿するのがどうしても男性に比べて面倒なために、

ついつい尿を我慢したり、排尿回数を減らすために水分をとるのを控えることがありますが、

尿路感染の予防という観点ではよくないことは明白です。

尿路感染を起こしやすい人は、なるべく水分を多くとるように心がけましょう。

それから、いわゆる冷え性の体質の女性の場合、尿路感染を起こしやすいようです。

例えば冷房の効いたオフィスで長時間座るような場合は、

なるべく体を冷やさないような着衣や膝掛けなどの工夫をすることも大切です。

もう1つ大切なことは、 急性 腎盂腎炎は性交の際に感染が起こる場合が多いことです。

男性が不潔な手で女性器に触れたりするのは避けるべきです。

理想的には性交前には風呂かシャワーに入り、女性は性交後も、

性器泌尿器周囲を清潔にするためにシャワーかビデを使用するのが 腎盂腎炎の予防にはよいでしょう。

予後

合併疾患のない 急性 腎盂腎炎の場合、安静と抗生物質の 投与により、1週間程度で 自覚症状は消失し、

治癒後の腎機能への影響もありません。

抗生物質の 投与は場合によっては2週間程度続ける必要があります。

ごくまれに、慢性 腎盂腎炎の中には治療への反応が悪い場合もあり、

慢性腎機能障害から腎不全、 透析に至ることもあります。

尿路感染だからといって甘くみないで、しっかり専門医を受診する必要があります。