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化膿性唾液腺炎(耳下腺炎・顎下腺炎)

唾液腺炎には、口腔常在菌(こうくうじょうざいきん)による感染、ウイルスによる感染、

または自己免疫性疾患などがあります。


化膿性(かのうせい)唾液腺炎

唾液分泌が低下すると口腔の常在菌(細菌)が導管(唾液腺の腺房から唾液を口腔内に導く管)より侵入し、

化膿性唾液腺炎となります。

唾液腺に炎症が生じると痛みを伴う腫脹(しゅちょう)(はれ)が現れ、さらに唾液腺周囲にも炎症が拡大します。

唾液腺炎の特徴は、導管の開口部に腫脹がみられ、圧迫によって開口部から排膿(はいのう)があることです。

唾液腺炎は耳下腺(じかせん)に多く現れ、次いで顎下腺(がくかせん)にみられます。

化膿性唾液腺炎では抗菌薬(抗生物質など)ならびに消炎鎮痛薬で治療します。

炎症部に膿瘍(のうよう)(うみのたまり)が形成された場合では、切開などの消炎手術を行います。

ウイルス性唾液腺炎では、対症療法が主であり、鎮痛と解熱に努め、

二次的な細菌感染の予防のために抗菌薬による治療が行われます。
 

(1)耳下腺炎

耳前部皮膚の腫脹および発赤(ほっせき)、側頭部から顔面部への痛みの放散が現れます。

耳下腺部の圧迫によって、導管開口部から排膿がみられます。
 

(2)顎下腺炎

唾液を口の中へ運ぶ唾液腺管の中に唾石(だせき)と呼ばれる石が作られて詰まってしまい、

唾液の出が悪くなった時などに起こります。

これに口中の細菌が感染して化膿することがあります。

舌と歯茎の間の舌下口底部の粘膜が赤く腫れ上がり、痛みや熱をともないます。

この場合、顎下腺のすぐ前にある舌下腺にも同時に舌下腺炎を併発して腫脹することが多く見られます。

また、流行性耳下腺炎でも、顎下腺が侵される場合もあります。

口底部または顎下部の圧迫によって舌下部の導管開口部から排膿がみられます。

唾石症

原因は不明ですが、唾液の排出管に入り込んだ異物や細菌などを核として、

そのまわりに唾液に含まれるカルシウムが沈着してできると考えられます。

治療のため摘出した結石を割ってみると、沈着したカルシウムが年輪のようにみえます。

結石のできはじめは当然小さいのですが、自然に排出されないと次第に大きくなっていきます。 

唾液は唾液腺を構成する無数の腺房(せんぼう)というところで作られます。

腺房で作られた唾液は管を通じて集まり、最終的には1本の管(排出管)に集まり、口のなかに出てきます。

多くの場合、結石はこの排出管のなかにできます。

1本しかない排出管に結石があると、唾液の通過障害が起こります。

食事をすると、唾液腺は唾液を作って口のなかに出そうとしますが、

途中の結石のために唾液が口のなかに出ることができず、

唾液腺内にたまり、腺そのものが痛みを伴ってはれてきます。

酸味の強いものを食べた時などはとくに症状が強く出ます。

ほとんどの唾石は顎下腺に生じますが、顎下腺の唾石では左右どちらかの(一度に両側にできることはほとんどない)

あごの下がはれます。

耳下腺では耳の前から下のほうが痛みを伴ってはれます。

はれは、食事後しばらくするとだんだん取れてきますが、次の食事をするとまたはれるということを繰り返します。

この症状は結石の大きさに比例しないことが多く、ごく小さなものでも管の出口をふさぐと強い症状が出ます。

また食事ごとの症状はある時期にひどく出ても、一時的に出なくなることもあります。

結石が次第に大きくなると、腺そのものの機能が低下し、唾液の分泌が少なくなってしまいます。

このようになると、口のなかから細菌が管を通じて入っていき、急性の唾液腺炎を生じることがあります。

唾液腺が痛みを伴ってはれ、排出管の存在部位の粘膜が赤くはれて、開口部からはうみが出ます。

石は自然に排出されることもありますが、多くの場合は手術が必要です。

排出管でも出口に近い部位にできたものでは、口のなかで排出管を切り開いて石だけを摘出することにより

容易に治療できます。

この手術では、まれに摘出部に粘液嚢胞(ねんえきのうほう)ができたり、結石が再発したりすることがあります。

腺に近い部位や腺内にできたものでは、腺ごと石を摘出する必要のある場合がありますが、

これを行えば再発することはありません。

 

(3)小唾液腺炎:

小唾液腺(口唇腺、口蓋腺、頬腺、舌腺など)に化膿性唾液腺炎が起こると、

小唾液腺が存在する部位の口腔粘膜の腫脹、発赤ならびに自発痛が現れます。

流行性耳下腺炎

過労や衰弱など全身の抵抗力が弱まった状態で多く発症します。

おたふくかぜ」と通称されます。

ムンプスウイルスによる伝染性疾患で、感染者の唾液の飛沫(ひまつ)で感染します。

小児、とくに2〜6歳児で感受性が高く、潜伏期間は2〜3週間です。

感染すると耳下腺をはじめ甲状腺(こうじょうせん)、睾丸(こうがん)、卵巣(らんそう)、膵臓(すいぞう)

などの腺性臓器に臓器障害を引き起こすことがあります。 

症状は発熱および頭痛、四肢の筋肉痛などの初期症状に続いて、耳下腺部の痛みと腫脹が現れます。

両側の耳下腺の腫れによって「おたふく」の顔になります。

発症から約7〜10日で軽快しますが、髄膜炎(ずいまくえん)や脳炎の合併には注意が必要です。 

成人では、小児に比べ症状が重くなる傾向があります。