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ノロウイルスとロタウイルス

冬季にはウイルス性食中毒が頻発し、その大多数はノロウイルスというウイルスが原因です。

毎年10月頃から1 ~2月をピークに全国的に流行しています。

ノロウイルスはヒトの腸内でのみ増殖するため、患者や感染者の糞便や吐物には大量のウイルスが含まれています。

海水中のウイルスを二枚貝(アサリやカキ等)が溜め込む(=濃縮する)性質があります。

[ヒト→糞便・吐物→トイレ→下水処理場→河川→海→二枚貝→ヒト」と自然界を循環しています。

感染力が非常に強く、食中毒の他に糞便や吐物・手指を介してヒトからヒトへ感染します。

また、ノロウイルスは乾燥すると空中に漂い、これが口に入って感染することもあります。

保育所や幼稚園、小学校などの小児や、病院や老人ホーム、福祉施設などの成人でも集団発生が見られることがあり、

とにかく注意が必要です。

嘔気や嘔吐、下痢が主症状で、一般に症状は軽症です。

ただし、老人や免疫力の低下した乳児では重症化して死亡することもあります。

このノロウイルスの発症のピークを過ぎると、次に発症者数が増加するのがロタウイルス

ロタウィルス感染症とは、乳幼児の冬の急性下痢症の最も主要な原因がロタウイルスによる感染症です。

秋から年末にかけてはノロウイルスが、1~4月にかけてはロタウイルスが主に流行します。

特に生後6ヶ月~2歳の乳幼児に多く見られ、5歳までに殆どの小児が経験します。

通常1歳を中心に流行が見られますが、保育所や幼稚園、小学校などの小児や病院や老人ホーム、

福祉施設などの成人でも集団発生が見られることがあります。

米の磨ぎ汁のような白色の下痢便が特徴で、そのため白痢または仮性小児コレラとも言われていました。

主な症状は嘔吐と下痢ですが、ノロウイルスよりも発熱を伴う場合が多く、重症度が高いとされています。

ノロウイルスとロタウイルスの流行時期

ノロウイルス感染症・ロタウイルス感染症の潜伏期間

・ノロウイルスの潜伏期間:24~48時間

・ロタウイルスの潜伏期間:24~72時間

 

ノロウイルス感染症・ロタウイルス感染症の症状

 

・ノロウイルス感染症

主な症状は、嘔気・嘔吐・下痢で、軽い発熱を伴うこともあります。

嘔吐の回数は1日10回以上となる場合もありますが、高齢者などを除き重症化することはまれです。
 

・ロタウイルス感染症

主な症状は嘔吐・下痢・発熱で、熱は38度以上となる頻度が高いです。

激しい嘔吐・下痢による脱水で、入院となるケースも多くあります。

酸味の発酵臭がある白色水様便が特徴的で、便の色が診断基準のひとつになります。

ロタウイルスの症状は、ノロウイルスと同じく、嘔吐や下痢、腹痛などです。

症状は非常によく似ていますが、大きく異なるのは感染しやすい年齢です。

ノロウイルスは年齢に関係なく感染・発症しますが、

ロタウイルスが感染・発症しやすいのは生後6ヶ月~2歳の乳幼児。

5歳までにはほぼ100%の小児が感染するといわれています。

さらにロタウイルス胃腸炎に注意が必要なのは、

ノロウイルスよりも激しい嘔吐や下痢の症状、発熱もあり重症化する危険性があるため。

ロタウイルス胃腸炎によって毎年数名の死亡例も報告されているため、

周囲の大人は注意が必要だといえるでしょう。

 

乳幼児がロタウイルスに感染すると重症化する危険性があることから、

診断確定のため検査キットが開発されています。

病院によっては便に排出されたウイルスを検査することがあるため、

診察の際はオムツなどについた便を持参するとよいでしょう。

5歳までにほぼ100%の小児が感染・発症するロタウイルス胃腸炎ですが、

実は大人も感染するのですが、免疫があるために症状が出ないか、

もしくは発症したとしても軽い症状ですむことが多いといわれています。

しかし症状がでなくてもウイルスは体内にいて、便とともに排出されるため、

知らず知らずのうちにウイルスを子どもにうつしてしまう、ということもあります。

さらに大人でも免疫力が落ちていると、小児と同様に、嘔吐、下痢、発熱という症状がでることも。

子どもがロタウイルス胃腸炎にかかってしまったら、大人も十分に注意する必要があります。

 ノロウイルス感染症・ロタウイルス感染症のケアポイント

嘔吐がある場合は無理に食べさせず、水分を少しずつ与えましょう。

電解質濃度の高いイオン飲料(経口補水液OS-1など)をとることで脱水症を防ぐことができます。

有効な抗ウイルス薬はないため、吐気止めや整腸剤を使った対症療法となります。

 

ノロウイルス感染症・ロタウイルス感染症の予防方法

感染を防ぐためには手洗いや消毒などをしっかりと行うことが基本となります。

 
排泄物からの感染、接触感染、飛沫感染により感染するので、
 

(1)手洗い

②患者の隔離

③糞便・おむつ・吐物の適切な処理

(2)汚染された服や床などの塩素系薬剤による消毒

が予防方法となります。

消毒にあたっては、アルコールやエタノールでは殺菌効果はありません。

「85℃1分以上の加熱」「次亜塩素酸ナトリウム」による消毒が効果的です。

次亜塩素酸ナトリウムは、薬局やインターネットで購入できますが、

家庭にある「塩素系漂白剤」には次亜塩素酸ナトリウムを含むものが多いので代用できます。
 

≪手洗いはしっかりと≫

トイレの後や患者の下痢や嘔吐物を処理した後は、石けんでしっかりと手を洗うようにしましょう。

下痢症状がでる2日前から、症状がでて10日後までの間、便の中からウイルスが検出されることがあります。

症状が治まったからといって安心せず、食事前やトイレ後の石けんでの手洗いは必ず行うようにしましょう。
 

≪服やタオルに嘔吐物などがついた場合≫

衣類に嘔吐物が付着した場合は、他の衣類とは分けて洗濯します。

水洗いの後、うすめた塩素系漂白剤(5~10%次亜塩素酸ナトリウムなら50~100倍に薄めて使用)で消毒しましょう。

また下痢や嘔吐物が乾燥すると、含まれていたウイルスがホコリと一緒に舞ってしまいます。

乾燥する前に処理するようにしましょう。

 

≪日用品にウイルスがいることも≫

患者がさわったドアノブなどにもウイルスがいる場合があります。

とくに子どもの場合は、おもちゃにロタウイルスがいる可能性が。

うすめた塩素系漂白剤でできるだけふき取るようにしましょう。
 

 

ノロウイルスにもロタウイルスに効も果のある薬はありません。

 嘔吐、下痢、発熱が続くと脱水症状を起こすことがあるため、水分補給をすることが治療の中心となります。

特に小さな子どもは体全体における水分の割合が高く、脱水になりやすい傾向があり、入院しなければならないことも。

水分をとらせてもすぐに吐いてしまう、尿が出ていないなどの場合は、早めに病院を受診するようにしましょう。
 

ロタウイルス胃腸炎予防にはワクチンも

ロタウイルスには重症化を防ぐワクチンがあります。

アメリカ合衆国、ベルギー、ルクセンブルグ、オーストリア、ブラジル、オーストラリアなどの12 カ国では、

すでに乳幼児の定期予防接種になっており、WHO(世界保健機関)でもワクチンを推奨しています。

そして、日本でもロタウイルスワクチンが2011年から使えるようになりました。

任意接種で、生後6ヶ月までに2~3回接種する必要があります。

費用は1回1万2000~1万5000円ほど。このワクチンによって、

ロタウイルス胃腸炎の重症化を9割程度減らすことができると報告されています。

ノロウイルス感染症・ロタウイルス感染症の特徴まとめ

 
ノロウイルス感染症
ロタウイルス感染症
流行の時期 11月~1月ごろがピーク 2月~4月ごろがピーク
感染しやすい年齢 すべての年齢層 6か月~2歳を中心に、乳幼児に多く発症
症状 ・嘔気・嘔吐・下痢が主症状・発熱の頻度は低い・嘔吐の回数は1日10回以上となる場合もある ・嘔吐・下痢・発熱が主症状・酸味の発酵臭がある白色水様便・発熱(38度以上)の頻度が高い・嘔吐の回数は1日3~6回程度のことが多い
感染の経路 ヒトからヒトへの経口感染
ケアポイント ・嘔吐がある場合は無理に食べさせず、水分を少しずつ与える・電解質濃度の高いイオン飲料をとることで脱水症を防ぐことができる
予防 ・手洗い・次亜塩素酸系消毒液による消毒・ワクチンはない ・手洗い・次亜塩素酸系消毒液による消毒・ワクチンあり
(生後2か月から2回接種)※現状「任意接種」だが、定期接種化が検討されている