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若年性大腸がん( リンチ症候群 )

最近では若くて体も健康と思われる働き盛りの30・40代での

発症は少ないながらも5~10%の割合でがんが発生しています。
 

若い年代で発症する大腸がんを若年性大腸がん呼んでいますが

食生活などの乱れによる原因がある場合が多く

また遺伝によってがんになりやすい方もいます
 

がんの多くは、年齢を重ねて体力や免疫力が低下している年代に罹りやすくなり

50代を超えると発病のリスクが非常に高くなると言われています
 
 

病気に罹りやすい体内環境に陥るのでがんの発症する確率も上がってしまうのです。

50代になると10万人に対して50人から100人程度の発症が見られるとされており

60代を超えると患者数も急増の一途を辿ります。
 

大腸がんに罹る患者の年齢は60代がピークです。

次に多いのは70代、そして50代の順番で大腸がんになりやすくなるそうです

遺伝性大腸がんのひとつである

リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス性大腸がん:Hereditary Non-Polyposis Colorectal Cancer:HNPCC)は

大腸がんや子宮内膜、卵巣、胃、小腸、肝胆道系、腎盂・尿管がんなどの発症リスクが高まる疾患です。

全大腸がんの2-5%程度がリンチ症候群(HNPCC)と考えられ、

最も頻度が高い遺伝性腫瘍の一つとされています。

リンチ症候群(HNPCC)は、

大腸がんの
若年発症、異時性あるいは同時性の大腸多発がんおよび多臓器がんの発症が特徴です。

リンチ症候群(HNPCC)の平均発症年齢は43-45歳と考えられ、20歳未満での発症は比較的少数です。

リンチ症候群(HNPCC)の遺伝子変異を持つ人では、

約80%が生涯の間に大腸がんを発症すると報告されています。

また、女性では、20-60%が生涯に子宮内膜がん(子宮体がん)を発症する)とされています。

リンチ症候群(HNPCC)は必ずしも他の血縁者と同様の症状を示すわけではなく、

遺伝子変異を持っていても生涯発症しない場合もあります。

 

表1. リンチ症候群の診断基準

 
 アムステルダム基準I(1990年)

  家系内に少なくとも3名以上の大腸癌がおり、下記の基準を満たしていること
 

  1. そのうちの1名は他の2名に対して第一度近親者(親、子、兄弟)であること
  2. 少なくとも2世代にわたって発症していること
  3. 少なくとも大腸癌の1名は50歳未満で診断されていること
  4. 家族性大腸線種症が除外されていること
  5. 腫瘍の組織学的診断が確認されていること

 

 アムステルダム基準II(1999年)

 

  1. 家系内に少なくとも3名のHNPCCに関連した腫瘍(大腸がん、子宮がん、小腸がん、尿管あるいは腎盂のがん)が認められること
  2. そのうちの1名は他の2名に対して第一度近親者(親、子、兄弟)であること
  3. 少なくとも2世代にわたって発症していること
  4. 少なくとも1名は50歳未満で診断されていること
  5. 家族性大腸腺腫症が除外されていること
  6. 腫瘍の組織学的診断が確認されていること
                     

リンチ症候群(HNPCC)の原因は、

生殖細胞系列でのミスマッチ修復遺伝子(MSH2・MLH1・MSH6・PMS1・PMS2)の変異です。

リンチ症候群(HNPCC)は常染色体優性遺伝形式を示し、性別に関係なく、子供に50%の確率で遺伝します。

 

図1. 遺伝形式の説明

 
 

 

リンチ症候群(HNPCC)の遺伝                        

遺伝子は、両親から一つずつ受け継ぎ、2つ持っています。

DNAの修復に関わる遺伝子も同じです。

リンチ症候群の患者さんは、

この2つの遺伝子のうちどちらか1つにがんになりやすい変化を持っています。

患者さんのお子さんは、患者さんの遺伝子2つのうちのどちらかを受け継ぐので、

病気になりやすい遺伝子を受け継ぐ確率はそれぞれのお子さんで50%になります。

この確率は性別に関係ありません。

リンチ症候群は、生まれながらに持っている遺伝子の変化(「遺伝子変異」といいます)によって起こります。

遺伝子は、私たちの体を構成する細胞の中にあり、体を作るための設計図のような役割をしています。

私たちの体や体内で必要とされる物質は、約2万5千種類もある遺伝子の情報に基づいて作られます。

 現在知られているリンチ症候群の原因遺伝子は、hMSH2、hMLH1、hMSH6、hPMS2の4つです。

これら4つの遺伝子は、

細胞分裂の際に起こり得るDNAの複製誤りを修復する働きをする物質をつくる情報

ミスマッチ修復遺伝子)です。

リンチ症候群ではこの4つ遺伝子のどれかに変異が起こっているために、

DNAの複製誤りが修復できず細胞のがん化を引き起こすと考えられます。

リンチ症候群(HNPCC)の遺伝子診断では、MSH2・MLH1遺伝子の変異を最初に調べます

(これまでに変異が報告されている症例の90%以上はMSH2・MLH1遺伝子の変異です)。

その次に多く変異が報告されているのがMSH6遺伝子ですが、

全報告例の5%以下であり、比較的少ないものと考えられます。

           

ただし、この4つの遺伝子変異だけではリンチ症候群の原因を全て説明することはできません。

いまだ研究途上の疾患であり、今後さらに別の原因遺伝子やメカニズムが判明する可能性があります。

  ミスマッチ修復遺伝子の生殖細胞系列変異がリンチ症候群(HNPCC)診断の決め手となりますが、

家族歴から強くリンチ症候群(HNPCC)が疑われる場合でも必ず変異が見つかるわけではありません。

           

  リンチ症候群の女性患者は、子宮内膜がん(子宮体がん)や卵巣がんを発症するリスクが通常より高く、

 一般の人が卵巣がんになるリスクは1.6%だが、リンチ症候群だとリスクは7%に上昇します。

また子宮内膜がんになるリスクも40%と高く、いずれも平均値では40代半ばで発症します。

 
リンチ症候群の男性の場合、大腸がんを発症するリスクは74%と女性よりも高く(女性は40%)、

多くは40歳代で発症します。

また、大腸がん、婦人科がんの他にも、胃がん、泌尿器がん、乳がんなどのリスクも高まる。

                  

リンチ症候群では、大腸がんや子宮体がんを若い年齢で発症する可能性が高いため、

早い時期(20~30代)から大腸内視鏡検査や婦人科の受診による

定期的な検診を開始することが大切です。

リンチ症候群でなくとも家族の病歴等で大腸がんリスクが高い人は40歳で、

リスクが高くない人でも50歳で大腸の内視鏡検査を一回、その後は10年に一度は内視鏡検査を、

また5年に1度はS状結腸鏡検査を受けることが推奨されています。

また、胃がんや尿路系のがんの検診としては、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)や

尿中の細胞の検査が行われます。

           
大腸がんや子宮体がんを発症した場合の治療は、一般的な大腸がんや子宮体がんの場合と同じです。

           
また、一度がんを発症して治療した後も定期検診を行い、

新たに発症するかもしれないがんの早期発見に努める必要があります。

リンチ症候群(HNPCC)では、発症前の大腸全摘出術は一般に行われていませんが、

大腸がんを発症した際には多発がんの発症を視野に入れ、大腸亜全摘出術を検討することもあります。

しかし、日本を含め、手術術式に関しては統一された見解はありません。

           

リンチ症候群(HNPCC)の定期検査(サーベイランス)について、

リンチ症候群の国際共同研究グループである、ICG-HNPCCからガイドライン(表3)が示されています。

           

表3. リンチ症候群(HNPCC)の定期検査(サーベイランス)のためのガイドライン

  リンチ症候群(HNPCC)のサーベイランス

 
部位 方法 開始年齢 間隔
大腸 大腸内視鏡 20-25歳 2年ごと
子宮内膜・卵巣 婦人科検診
経膣超音波検査
CA-125測定
25-30歳 1年-2年ごと
胃内視鏡 30-35歳 1年-2年ごと
尿路 超音波検査
尿検査
30-35歳 1年-2年ごと

 

※ 家系内にそのがんが認められた場合に行う(http://www.insight-group.org/guidelines/hnpcc/より引用)

さらに家系に発症しているがんの種類や発症時の年齢等を参考にしながら

個別に対応することも必要と考えられます。

がんの場合早期発見が非常に大切だが、大腸がんの場合特に重要です。

発見が早ければ治癒や長期生存が大いに期待できます。
 

 食生活が欧米化し、大腸がんは日本人のがん罹患者数や死亡数の中でトップ3に入っています。

リンチ症候群でなくとも、食生活、喫煙、運動不足などの生活習慣で大腸がんのリスクは高まります。

           
実際、大腸がんのほとんどは生活習慣に起因しています。