機能性ディスペプシア

1. 機能性ディスペプシア(FD :functional- dyspepsia)とは、

胃の痛みや胃もたれなどの症状が続いているにもかかわらず、

内視鏡検査を行っても、胃潰瘍・十二指腸潰瘍や胃がんなどのような

異常がみつからない病気です。

2.症状

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食後のもたれ感、早期飽満感、みぞおちの痛み、

みぞおちの焼ける感じ(心窩部灼熱感)の4つです。

その他にも吐き気やおう吐、げっぷなどの症状もあります

 

3. 機能性ディスペプシアの種類

食後愁訴症候群(PDS)

食後のもたれ感や「食事開始後すぐに食べ物で胃が一杯になる」

が週に数回以上起こるタイプです。

心窩部痛症候群(EPS)

みぞおちの痛みや、みぞおちの焼ける感じが起こりやすいタイプです。

4.原因

胃の運動機能障害、知覚過敏や心理的・社会的要因

などが考えられています。

(胃の運動機能障害)

食べ物が食道から胃へ入ってきても胃の上部がうまく広がらず、

入ってきた食べ物を胃の中に留めることができなくなってしまう状態を指します。

これにより、早期飽満感や痛みなどが引き起こされます。

(排出機能の障害) 

胃の中にある食べ物を、十二指腸へうまく送ること(排出)ができず、

胃の中に食べ物が長く

留まってしまう状態を指します。

これにより、胃もたれなどが引き起こされます。

胃 の知覚過敏

「知覚過敏」とは胃が刺激に対して痛みを感じやすくなっている状態を指します。

正常な胃酸分泌であっても、少量の食べ物が胃に入るだけで胃の内圧が上昇し、

早期飽満感が引き起こされたり、胃酸に対して過剰に痛みや灼熱感

などを感じることがあります。

胃酸分泌

十二指腸に胃酸が流れ込むことによって胃の運動機能が低下し、

胃もたれなどの症状が引き起こされることが知られています。

心理的・社会的要因

生活上のストレスなどの心理的・社会的要因と機能性ディスペプシアは

関係があると言われています。

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)

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ピロリ菌とは胃潰瘍や十二指腸潰瘍、慢性胃炎、胃がんなどにかかわる、

胃粘膜に生息する細菌です。

ピロリ菌に感染している機能性ディスペプシアの患者さんに除菌療法を行うと、

機能性ディスペプシアの症状が改善するという報告もあります。

5. 治療

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薬物療法

FDの治療薬として

アコチアミド(商品名:アコファイド)

消化管運動機能改善薬と酸分泌抑制薬

が第一選択薬として推奨され、

抗不安薬や抗うつ薬、漢方薬がその次に推奨されています。

 

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アコファイド:世界初の機能性ディスぺプシア治療薬

2013年3月25日、機能性ディスぺプシア治療薬アコチアミド塩酸塩水和物

(商品名:アコファイド錠100mg)が製造承認を取得しました。

適応は「機能性ディスペプシアにおける食後膨満感、上腹部膨満感、早期満腹感」、

用法・用量は「成人、1回100mgを1日3回食前投与」となっています。

但し、 本薬の投与に際しては、内視鏡検査など で悪性疾患(胃癌など)を

除外することが 必要です。

また、心窩部痛や心窩部灼熱感 には、有効性が確認されていない

ことにも 留意する必要があります。

消化管(胃や腸)の運動を活発にする物質としてア セチルコリンがあります。

私たちの体の中にはアセチ ルコリンを分解する酵素が存在しており、

この酵素を アセチルコリンエステラーゼと呼びます。

アコファイ ドはアセチルコリンエステラーゼの働きを抑えて

消 化管(胃や腸)の運動が活発になります。

 

消化管運動機能改善薬

消化管のはたらきを活発にする

消化管運動機能改善薬が使われることがあります。

ドパミンD2受容体拮抗薬やセロトニン5-HT4受容体作動薬、漢方薬など、

さまざまな種類があります。

 

酸分泌抑制薬

(ヒスタミンH2受容体拮抗薬;H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害薬;PPI)

十二指腸に胃酸が流れ込むことによって胃の運動機能が低下し、

機能性ディスペプシア症状が引き起こされることが知られています。

また、胃が知覚過敏状態が、正常な胃酸分泌であっても

みぞおちの焼けるような感じや痛みを引き起こすことがあります。

酸分泌抑制薬は、胃酸の分泌を抑え、みぞおちの焼けるような感じや痛みを改善させます。

酸分泌抑制薬には、ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)や、プロトンポンプ阻害薬

(PPI)といった種類があります。

 

抗うつ薬、抗不安薬

消化管運動機能改善薬や酸分泌抑制薬でも症状が良くならない場合は、

抗うつ薬や抗不安薬が使われることがあります。

 

ピロリ菌を除菌するための薬物療法

ピロリ菌に感染している機能性ディスペプシア患者さんに除菌療法を行うと、

機能性ディスペプシア症状が改善するという報告もあります。

ピロリ菌の除菌のために3種類の薬(主に抗菌薬2種類とプロトンポンプ阻害薬)を

7日間飲み続ける治療法があります。

しかし、現在我が国においてピロリ菌の除菌治療は

一部の疾患にしか保険適応が認められていないため、

機能性ディスペプシアの場合は保険適応が認められていません。

 漢方薬

六君子湯は胃運動機能の貯留・排出の両面に影響し,

機能性ディスペプシアなどの症状改善に有効な漢方薬である1

との意見もあります。

生活習慣の改善

生活習慣を改めることによって、機能性ディスペプシアの症状

が改善することは少なくありません。

機能性ディスペプシアに影響するような生活習慣は

できるだけ避けるような指導が行われます。

胃に負担をかけない生活習慣を身につけましょう。

できるだけ決まった時間に食事をとるようにしましょう

食事の時間が不規則であったり、夜遅い時間、

とくに就寝直前に食事をとったりすることは、

胃に過剰な負担をかけることになります。

 

よく噛んで、ゆっくり食べましょう

よく噛んで、ゆっくり食べましょう

口の中で食べ物をよく噛んで細かくすることによって、

胃で消化しやすくなり、胃の負担が少なくなります。

 

食事の量は腹八分目にしましょう

食事の量をとり過ぎることは、胃に大きな負担をかけ、

胃酸の過剰分泌を引き起こす原因となります。

 

胃に負担のかかる食事をとり過ぎないようにしましょう

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甘いものや、トウガラシなどの刺激の強い香辛料、脂肪分の多い食事をとり過ぎることは、

胃もたれや胃酸の過剰分泌を引き起こす原因となります。

 

食後には休息をとりましょう

食事のすぐ後に運動などをすると、胃のはたらきが弱まります。

 

睡眠を十分にとり、ストレスや疲れをためないようにしましょう

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胃腸は、精神的・肉体的なストレスの影響をとても受けやすい臓器です。

 

適度な運動をしましょう

適度な運動

適度な運動は、消化管のはたらきを活発にします。

また、運動することでストレス発散にもなります。

 

アルコールのとり過ぎに注意しましょう

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アルコールは、胃酸の分泌を増やすといわれています。

胃酸分泌は機能性ディスペプシアの主な原因のひとつですから、

アルコールのとり過ぎには注意が必要です。

 

禁煙を心がけましょう

禁煙

喫煙は、胃の血流量を低下し、胃のはたらきを悪くします。

 

 

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