
花粉症とは、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となって起こるアレルギー性疾患の一種です。
花粉症は日本人の約4分の1にあたる約3000万人が罹患していると推定されています。
日本ではスギが一番多く、4人に1人がスギ花粉症であると言われています。
他にもイネ科植物やカモガヤなどの花粉が原因となることもあります。
花粉症症状は、花粉が鼻や目の粘膜に触れると、
免疫システムが過剰に反応して、ヒスタミンなどの物質を放出されることで、
くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、めやに、充血などの症状が現れます。
重症化すると、咳や喘息、頭痛、倦怠感なども引き起こすことがあります。
スギ花粉症なのか、ヒノキのアレルギーも持っているのか、
あるいは秋にもアレルギー性鼻炎の症状が出現する方は、
一度、血液検査によりアレルゲン検査を受けてみることをお勧めします。
花粉症は早めにアレルギー症状を抑えるとシーズンを通して軽く済みます。
2月頃より本格的にスギ・ヒノキ花粉の飛散がはじまり、3月下旬~4月上旬頃にピークを迎えるようです。
症状がひどくなると炎症を抑えるのが難しくなる傾向があるので、
できるだけ早期に(1月末頃から)内服を始めることが重要です。
症状

くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみが主なつらい症状です。
その他に耳のかゆみ、頭痛、だるさ、微熱、咳
肌がかゆい、赤く腫れている。
のどの違和感、咳が出る、口が渇く
なども起こします。
花粉症シーズンの生活の注意
★花粉飛散の要注意日
1.よく晴れて、風の強い日
2.湿度が低く、乾燥した日
3.雨上がりの翌日の晴れた日
4.最高気温が高い日
★花粉症対策のコツ
*室内の掃除はこまめにする
布団に掃除機を当てると効果的
(布団専用ノズルが便利です)
*絨毯は敷かない
じゅうたんは、室内に舞い込んだ花粉が付着しやすいだけでなく、
アレルギーを悪化させるダニの温床にもなります。
*外出をひかえめにする
花粉の飛散の多い日は特に注意が必要
1日のうち飛散の多い時間帯は午後1時~3時頃
*風の強い晴天の日は、窓を開けっぱなしにない
換気をするなら花粉の飛ぶ量の少ない早朝か夜間にしましょう
換気は短時間にとどめ、窓は小さく開けましょう。
室内では空気清浄機や加湿器を使って、空気中の花粉を除去する。
空気清浄機は花粉に効果的で、睡眠時の花粉症の症状を和らげられる可能性があります。
どうしても開ける必要があった場合に備えて
カーテンはレースなどの花粉が付着しづらい素材に変えるのも効果的です。

*外出したら、洗顔やうがい、目の洗浄、鼻をかみ、花粉を洗い流す。
花粉を流すことで症状を少しでも抑えることが出来ます。
*マスクや眼鏡(ゴーグル)の着用により、花粉の粘膜への付着を避けましょう。
原因となる花粉との接触を防ぐことです。

*玄関でシャットアウトする
室内に入る際は服についた花粉を落としたりする
外出時に着ていたアウターや帽子などは室内に入る前に必ず脱いで、付着した花粉を振り払ってください。
身に付けるものの素材については、ウール・フリースなど毛羽だった素材を避け、
レザーなどのツルツルした素材を選ぶと良いでしょう。
髪はまとめたほうが花粉は付きにくくなります。
*洗濯物・布団にも注意!
洗濯物は室内で干すか、乾燥機を使いましょう。
洗濯物や布団は外干しを避けましょう。
どうしても外干しする場合は、飛散の少ない日に干したり、
乾かした後は十分に叩いたうえで室内に入れたりといった工夫が必要です。
–
*髪や衣服に付着した花粉を落とすために、
シャワーや洗濯をこまめに行う。
*ストレスや睡眠不足
なども症状を悪化させる原因となりますので、普段の生活にも注意してみて下さい。

*食べ物・飲み物に気をつける
ことで症状を軽減することが可能とも言われています。
乳酸菌は腸内環境を改善して免疫力を上げる作用があり、花粉が腸から入りづらくなって発症を防ぐ他、
乳酸菌によって免疫の過剰反応を抑えることも可能となります。
ビタミンDや食物繊維を含んだ食べ物も同じく花粉症に効果的です。
飲み物では乳酸菌飲料や緑茶・甜茶・紅茶・ルイボスティー、コーヒーなどが効果的と言われています。
逆に避けた方がいいものとしては
トマト、メロン、スイカ、ジャンクフード、アルコール、タバコなどが挙げられます。
★治療
初期療法とは

本格的に花粉の飛散が始まる前(1月末頃)から薬物療法を始めることを指します。
症状の発現を遅らせたり、症状を軽減させる効果があります。
本格的な症状が出始める前に、花粉症の症状を感じない程度の軽い炎症が目の粘膜や鼻の粘膜では起こっています。
花粉が飛び始める少し前(2週間程度)から抗アレルギー薬を使用し始めておくと
シーズンを通して症状は軽くてすみます。
花粉症の症状が出る前から対策をとることが推奨されます。
*早目の治療が大切(薬物による治療)
花粉症の治療の基本は第二世代の抗ヒスタミン薬です。
最近では市販薬にもなっている薬剤(商品名だとアレジオン、アレグラ、クラリチン、タリオンなど)があります
が、これらの薬剤の内服のみでは効果に満足できない方はぜひ受診することを勧めます。
鼻詰まりに効く「抗ロイコトリエン薬」(シングレア・オノン)もあります。
眠気が少ない第二世代の抗ヒスタミン薬でも眠くなってしまう方には小青竜湯を試してみることを勧めます。
内服薬だけでは不十分な場合には「鼻噴霧用ステロイド薬を追加しますし、
目のかゆみが強い方には「点眼用抗ヒスタミン薬」「点眼用ステロイド薬」を追加します。


治療薬 | 特徴 |
抗ヒスタミン薬 | 主にくしゃみ、鼻水の症状に使用 鼻づまりにもある程度効果がある 眠気や口の渇きが少ないのが特徴 薬の効き目が長く、続けて使用することで 効果が長続きする |
抗ロイコトリエン薬 | 鼻の粘膜の腫れや炎症を改善するお薬で、 主に鼻詰まりの症状に使われる くしゃみ・鼻水にもある程度効果がある 効果が十分にあらわれるまで時間がかかる |
鼻噴霧用ステロイド薬 | 鼻粘膜に直接噴霧する薬で、くしゃみ・鼻水・ 鼻づまりの症状に使用 効果が現れるまでが早く、連日の使用で 効果が長持ちする。 噴霧した部分に軽い痛みを感じる場合がある |
点眼薬 | 目のかゆみや、角膜の傷(擦って損傷など)などに使用 抗ヒスタミン薬やステロイド薬の点眼薬を使用 かゆみが治まらない場合や、角膜の損傷がある場合にステロイド薬を使用 |
アレルゲン免疫療法
免疫療法は、花粉に対するアレルギー反応を減らすことを目的とした治療です。
免疫療法では、自分がアレルギーを持つ花粉の抽出液を皮下注射や舌下滴下などの方法で体内に入れていきます。
これにより、体が花粉に慣れてアレルギー反応が弱まるという仕組みです。
免疫療法は、長期間(数年)かけて行う必要がありますが、花粉症の根本的な改善が期待できます。