ピロリ菌の感染について
感染経路は水や食べ物と一緒の摂取が大半。
日本においてピロリ菌感染者数は、約3,500万人といわれています。
ピロリ菌の感染経路は現在も明らかになってはいませんが、
免疫力の低い幼児期(5~6歳以下)に、
生水(おもに井戸水)や食べ物と一緒に摂取してしまうことが大半です。
また、乳幼児期に親族から口を介して感染している場合もあります。
さらに幼児の場合、胃酸酸度や分泌量が低く、ピロリ菌が胃内で生き続けやすい環境
であることも感染要因のひとつです。
衛生環境が整備されていない時代や地域などの経口感染によると考えられています。
環境の整った現代では、感染している人の数が低下しています。

感染者でも自覚症状がない!?
ピロリ菌が胃に常在していたとしても、常に症状があらわれる訳ではありません。
何らかの病気を発症するのは感染者の約3割程度です。
特に、子どもの頃に感染した場合は症状がはっきりしません。
しかし、感染したほとんどの人に胃炎がおこります。
ピロリ菌に感染したからといって、潰瘍や胃癌が必ず発症するわけではありませんが、
除菌しない限り、ピロリ菌は胃の中にすみ続け慢性的炎症が続き、
胃の粘膜を防御する力が弱まり、
ストレスや塩分の多い食事、発癌物質などの攻撃を受けやすい無防備な状態となります。
たとえ症状がなくてもピロリ菌への感染は危険なのです。
日本ヘリコバクター学会のガイドラインによると、
ピロリ菌が原因となる疾患の治療と予防のため、
ピロリ菌に感染した場合は除菌療法を受けるよう推奨しています。
ピロリ菌に感染してしまうとどうなる?
ピロリ菌に感染しても、すぐに潰瘍や胃がんになるわけではありません。
ピロリ菌に感染すると、多くの方が胃炎を起こします。
ピロリ菌が胃粘膜に生息し続ける限り胃炎の状態が続き、
萎縮性胃炎(慢性胃炎)に進行します。
そして、萎縮性胃炎になると胃がんになる危険性が高まります。
ピロリ菌の存在が胃がんの原因になると言っても過言ではないでしょう。
胃の違和感や痛みがある場合で、長期間、同じ症状を繰り返しているのであれば、
一度専門医を受診するといいでしょう。
萎縮性胃炎(慢性胃炎)を軽減し胃がんリスクを下げるためにも、
ピロリ菌感染した場合にはピロリ菌除菌治療を受けることが推奨されています。
家庭内感染の可能性はあるの?
生活する中で、感染する可能性は身近に潜んでいるのでしょうか。
また、感染防止のためには何ができるでしょうか。
乳幼児期の経口感染に注意
免疫機能が十分に発達しておらず、胃酸分泌の少ない乳幼児の場合は、
親族から口を介して感染する場合があります。
ピロリ菌はそのまま胃粘膜にすみつき慢性胃炎を引き起こす恐れがあります。
そして、感染状態が長く続けば胃粘膜の感染範囲も広くなります。
乳幼児がいる家庭内で注意すべきこと
飲み水や食べ物自体にピロリ菌が含まれないように注意することが大切ですが、
現代の環境では井戸水を使うことも少ないため、水に過敏になる必要はないでしょう。
それよりピロリ菌に感染している大人から小さい子供への食べ物の口移し
などは感染させる危険があります。