脂質異常症とは?
血液中には脂質として、
*コレステロール、
*中性脂肪、
*リン脂質、
*遊離脂肪酸
の4種類があります。
通常、血中脂質は一定の量に保たれるよう調節されています。
![正常な状態の血管と、脂質異常症の血管 コレステロールのイラスト素材 [103641066] - PIXTA](https://t.pimg.jp/103/641/066/5/103641066.jpg)
コレステロールは
人の細胞膜や、消化吸収に必要な胆汁酸、ホルモンのもととなる重要な物質です。
また、中性脂肪は脂肪組織に蓄えられてエネルギー貯蔵庫としての役目や、
皮下脂肪となって体温の保持、衝撃から体を守るクッションの役目を果たしたり
内臓を固定したりして、体内で重要な役割を果たしています。
脂質異常症とは、
体の中で脂質がうまく処理されなくなったり、食事からとる脂質が多すぎたりして、
血中脂質が基準値から外れる病気です。
動脈硬化の主要な危険因子であり、放置すれば脳梗塞や心筋梗塞などの
動脈硬化性疾患をまねく原因となります。

脂質異常症には、次の3つのタイプがあります。
- 高LDLコレステロール血症:LDL-コレステロールが多いタイプ
- 低HDLコレステロール血症:HDL-コレステロールが少ないタイプ
- 高中性脂肪血症 :中性脂肪が多いタイプ
悪玉(LDL)コレステロールは、肝臓に蓄えられた余分なコレステロールを
全身の血管の壁に沈着させ、動脈硬化を起こしますが、
善玉(HDL)コレステロールは逆にその血管内にたまったコレステロールを
肝臓へ戻すように働きます。
![LDLとHDLの仕組み 脂質異常症 血管 コレステロールのイラスト素材 [103647229] - PIXTA](https://t.pimg.jp/103/647/229/1/103647229.jpg)
悪玉が多いということはコレステロールがたまりやすく、
また善玉が少なくても回収されるコレステロールが少ないので、
コレステロールがたまりやすくなります。
最近の研究から、悪玉コレステロールが小型化(超悪玉ともいわれます)すると
血管壁に入り込みやすくなり、
血管壁に入ると酸化されて、動脈硬化を進行させる一因となるとされています。
そのため、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなるのです。
脂質異常症の診断基準
LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライドのうち、
メタボリックシンドロームの
診断基準に用いられる脂質の指標は、
*HDLコレステロールとトリグリセライド
です。しかし、
*LDLコレステロールは単独でも強力に動脈硬化
を進行させるため、
メタボリックシンドロームの有無に関係なく、
LDLコレステロールの値にも注意する必要があります。
脂質異常症の診断基準[は図表のとおりですが、この基準に当てはまる場合でも、
すぐに治療が必要というわけではありません。
図. 脂質異常症の診断基準

*基本的に10時間以上の絶食を「空腹時」とする。
ただし水やお茶などカロリーのない水分の摂取は可とする。
空腹時であることが確認できない場合を「随時」とする。
**スクリーニングで
*境界域高LDL-C血症、
*境界域高non-HDL-C血症
を示した場合は、
高リスク病態がないか検討し、
治療の必要性を考慮する。
●LDL-CはFriedewald式(TC-HDL-C-TG/5)(ただし空腹時採血の場合のみ)。
または直接法で求める。
●TGが400mg/dL以上や随時採血の場合は
non-HDL-C(TC-HDL-C)かLDL-C直接法を使用する。
ただしスクリーニングでnon-HDL-Cを用いる時は、高TG血症を伴わない場合はLDL-Cとの
差が+30mg/dLより小さくなる可能性を念頭においてリスクを評価する。
●TGの基準値は空腹時採血と随時採血により異なる。
●HDL-Cは単独では薬物介入の対象とはならない。