診療所における
診療用放射線の安全利用のための指針
X線 診断装置 1台保有
2023年 8月2日
診療所 やましたクリニック
医療放射線安全管理者:院長 山下博士
診療用放射線の安全利用のための指針
趣旨
この指針は、
の放射線診療において医療被ばくの正当化、最適化を
実施するため、診療用放射線による被ばくに係る安全管理のために必要な方策を下記
事項について定めるものである。
1)診療用放射線の安全管理に関する基本的考え方
2)診療用放射線の安全利用を目的とした改善のための方策に関する基本方針
3)放射線の過剰被ばく、その他の放射線診療に関する有害事例等の事例発生時の対応に
関する基本方針
4)医療従事者と放射線診療を受ける者との間の情報共有に関する基本方針
1.診療用放射線の安全管理に関する基本的考え方
(1) 放射線防護の原則
放射線被ばくには、その対象者及び被ばくの状況に応じて「職業被ばく」「医療被ばく」
「公衆被ばく」の3区分に分類され、それぞれの被ばくに対する防護を検討する必要が
あり、原則として「正当化」「防護の最適化」及び「線量限度の適用」が必要である。
(2) 医療被ばくに関する放射線防護の原則について
本指針において対象とするのは医療被ばくである。放射線診療を受ける者については、
線量限度を設定すると当該診療を受ける者にとって必要な放射線診療が受けられなく
なる恐れがあるため、本指針では線量限度は設定しない。代わりに医学的手法選択の
「正当化」「放射線防護の最適化」が重要と考える。
(3) 医療被ばくに関する医学的手法の正当化及び放射線防護の最適化について
医師、歯科医師は放射線診療の有益性が被ばくによる有害性を上回るかを判断し、放射
線診療を適正に選択(正当化)する。その実施の際は、患者の被ばく線量を「合理的に
達成可能な限り低く(as low as reasonable achievable ,ALARA)出来るよう、線量を
適正に管理(最適化)する必要がある。
3.診療用放射線の安全利用を目的とした改善のための方策に関する基本方針
(1) 線量管理
関連学会等の医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME)が示した診断参考レベル
(DRL)を活用して線量を評価し、診断目的や画質等に関しても十分考慮した上で定
期的に最適化を行う。撮影条件の変更、ガイドライン等の改定や装置更新をした際は見
直し を行う。
線量管理の実施に係る記録は、日付、方法、結果、実施者を記録する。
(2) 線量記録
放射線診療を受けた者の受けた線量の記録は次の通りに行う。
(3) その他の放射線診療機器における線量管理及び線量記録
上記以外の放射線機器についても、必要に応じて、医療被ばくの線量管理及び線量記録
を行う。
4.放射線の過剰被ばくその他の放射線診療に関する有害事例等の事例発生時
の対応に関する基本方針
(1) 主治医及び医療放射線安全管理責任者への報告
医療被ばくに関連して放射線診療を受ける者に何らかの不利益が発生した場合又は
発生が疑われる場合に、これを認識した従事者は当該診療を受ける者の主治医及び診
療放射線安全管理責任者にその旨を報告する。必要に応じて、医療過誤に当たる場合は
医療安全の枠組みにおいても対応する。又、他の法律の枠組みにおける対応が必要な場
合もその対応をする。
(2) 有害事例と医療被ばくの関連性の検証
1)医療被ばくに起因する組織反応(確定的影響)を生じた可能性のある有害事例等の報
告を受けた主治医及び医療放射線安全管理責任者は、放射線診療を受ける者の症状、被
ばくの状況、推定被ばく線量等を踏まえ、当該診療を受ける者の有害事例等が医療被ば
くに起因するかどうかを判断する。
2)医療放射線安全管理責任者は、医療被ばくに起因すると判断された有害事例等につい
て下記の観点から検証を行う。又、必要に応じて、検証に当たっては当該放射線診療に
携わった主治医、放射線科医師、診療放射線技師等と共に対応すること。
①医療被ばくの正当化(リスク・ベネフィットを考慮して必要な検査であったか否か)
及び最適化(ALARAの原則に基づき必要最小限の被ばく線量となるように努めたか否
か)が適切に実施されたか。
②組織反応(確定的影響)が生じるしきい値を超えて放射線を照射していた場合は、放
射線量を受ける者の救命等診療上の必要性によるものであったか。
3)改善・再発防止のための方策の実施
医療放射線安全管理責任者は、(2)の検証を踏まえ、同様の医療被ばくによる有害事
例等が生じないよう、改善・再発防止のための方策を立案し実施する。
5.医療従事者と放射線診療を受ける者との間の情報の共有に関する基本方針
(1) 放射線診療を受ける者に対する説明の対応者
放射線診療を受ける者に対する説明行為は、当該診療を受ける者に対する診療の実
施を指示した主治医が責任を持つ。
(2) 放射線診療を受ける者に対する診療実施前の説明方針
放射線診療を受ける者に対する診療実施前の説明は、放射線診療を受ける者にとっ
て分かりやすい説明となるよう、平易な言葉を使った資料を準備するなど工夫しつ
つ行うこと。その際、次に掲げる点を踏まえた説明とすること。
1)当該検査・治療により想定される被ばく線量とその影響(組織反応「確定的影響」
及び確率的影響)を説明する。
2)リスク・ベネフィットを考慮した検査・治療の必要性を説明する。(正当化)
3)当院で実施している医療被ばく低減に関する取り組みを説明する。(最適化)
(3) 放射線診療を受ける者から放射線診療実施後に説明を求められた際の対応方針
放射線診療を受ける者から診療実施後に説明を求められた場合及び有害事例等が確
認できた場合の説明は、「(1)放射線診療を受ける者に対する説明の対応者」及び
「(2)放射線診療を受ける者に対する説明方針」に沿って対応するとともに、救命
のために放射線診療を実施し、被ばく線量がしきい線量を超えていた場合は、当該診
療を継続したことによるベネフィット及び当該診療を中止した場合のリスクを含め
て説明する。
5.その他留意事項等について
(1) 指針の閲覧
放射線診療を受ける者及びその家族等から指針の内容について閲覧の求めがあった
場合は、「5.医療従事者と放射線診療を受ける者との間の情報の共有に関する基本
方針」に沿って提供する。
(2) 指針の見直し
関連学会等の策定したガイドライン等に変更があったとき、放射線診療機器等の新
規導入又は更新のとき、その他必要に応じて指針の見直しを行う。
(3) 用語
1)被ばくの3区分
① 医療被ばく
次に掲げる3つに分類される。ア)については、特に放射線診療を受ける者の「医
療被ばく」に当たる。
ア)放射線診断、放射線治療等の医学的理由により放射線診療を受ける者が受ける被ば
くであり、妊娠又は授乳中の放射線診療を受ける者の医療被ばくに伴う胎児又は
乳児が受ける被ばくを含む。
イ)ア)を受けている者の家族、親しい友人等が、病院、家庭等における当該診療を
受ける者の支援、介助等を行うに際し受ける了解済みの被ばく。
ウ)生物医学的研究等における志願者の被ばく。
②職業被ばく
放射線作業従事者等が自らの職業における仕事の結果として受けるすべての被ばく。
③公衆被ばく
職業被ばく及び通常の局地的な自然バックグラウンド放射線による被ばくのいずれ
も除いた放射線源から公衆が受ける被ばく。
2)被ばくの防護の原則について
① 正当化
放射線被ばくの状況を変化させるようなあらゆる決定について、ベネフィットがリ
スクを上回るようにすること。医療被ばくにおいては、放射線診療を受ける者に対する
放射線診療がもたらすベネフィットがリスクを上回るようにすること。
② 防護の最適化
被ばくが生じる可能性、被ばくする者の個人線量の大きさを、全ての経済的及び社会
的要因を考慮に入れながら、合理的に達成できる限り低くすること(ALARA)。医療被
ばくにおいては、これを行う具体的手法として診断参考レベルの使用が勧告されてい
る。
③ 線量限度
計画被ばく状況から個人が受ける、超えてはならない実効線量又は等価線量の値。医
療被ばくにおいては、放射線診療を受ける者の被ばくは意図的であり、医学的必要性か
ら線量が設定されるべきであるため、線量限度を一意に定めることは不適切である。
3)放射線の生物学的影響について
放射線の生物学的影響については組織反応(確定的影響)及び確率的影響がある。
① 組織反応(確定的影響)
しきい線量と線量の増加に伴う反応の重篤度によって特徴づけられる、細胞の障害。
被ばくした線量がしきい値を超えると、発生する恐れが高くなり、線量が高くなると重
篤度が増す。
② 確率的影響
発生のしきい値がなく、線量の増加に伴って直線的に発生率が増加するような放射
線による影響。悪性疾患及び遺伝的影響があげられる。
この指針は
年 月 日 から施行する。
線 量 管 理 簿
測 定 日 実測部位
方 法
結 果 測 定 者 確認印 実測値 DRL値
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