★甲状腺機能低下症の治療
甲状腺機能低下症の治療には、
甲状腺ホルモンである
合成T4製剤(チラーヂン®S)
の服用による治療を行います。
鉄剤、亜鉛含有胃潰瘍薬、アルミニウム含有制酸剤などは
甲状腺ホルモン製剤の吸収を阻害するので、内服間隔をあけることが
必要です。
また抗痙攣薬や抗結核薬と併用時には増量が必要な場合もあります。
高齢者や、冠動脈疾患、不整脈のある患者さまでは
慎重に内服を開始します。
成人の合成T4製剤の内服維持量は甲状腺機能低下の程度によって
様々ですが、最大で100~150μg/日です。
内服治療は通常少量から開始し、維持量にまで徐々に増やします。
維持量に達するのには数か月かかります。
治療開始にあたって最も注意しなければならないのは、
狭心症などの虚血性心疾患を合併している場合です。
そういった患者さまは甲状腺機能低下症の治療開始時に
狭心症の頻発や心筋梗塞を生じる可能性
がありますので、
12.5μg/日程度の少量から治療を開始します。
妊娠中は、甲状腺機能低下症を急速に改善する必要があるので、
診断後は100~150μg/日で開始します。
甲状腺ホルモン値が正常範囲内で、
甲状腺刺激ホルモン(TSH)が高値
の場合は、
「潜在性甲状腺機能低下症」と言います。
我が国での調査では
健康な人の4~20%
にみとめられるといわれており、
特に女性に多く年齢が上がるにつれて増加します。
治療すべきかどうかについては、未だに議論が多いですが、
持続性にTSH値が高値の場合や、妊娠を前提とした場合や妊婦に対しては
合成T4製剤の内服を行います。
一過性甲状腺機能低下症で症状が軽度のものであれば特に治療の必要はありませんが、
甲状腺機能低下症の症状が強ければ
数か月間、
合成T3製剤(チロナミン®)を毎日15μg程度内服
していただきます。
患者さまの血清FT4が正常化すれば中止することができます。
またヨウ素の過剰摂取が原因と判断された場合は、ヨウ素の摂取制限を
することで甲状腺の機能が回復することもあります。
★予防/治療後の注意
食事、日常生活の注意
海藻や昆布のサプリメントなどヨウ素が含まれている食品を多く摂りすぎ
たり、イソジンのうがいを毎日のように使用したりすると
甲状腺機能が低下する可能性がありますので、
過剰にはとらないようにしましょう。
ただ、あまり神経質になる必要はありません。
ごく普通の食事の範囲で海藻類をとるのは問題ありませんし、
うがい薬も風邪の時に使用するのは全く問題ありません。
それ以外の日常生活での注意は特にありません。
★妊娠予定の女性
妊娠中に甲状腺機能が低下していると
流産
しやすくなることが分かっています。
妊娠が分かったら早期に甲状腺機能を再確認する必要があります。
甲状腺ホルモン薬による補充療法は長く継続する必要がある場合が多いため、定期的な検査と補充量の調整が重要です。