①肥満体型の人
適性体重を維持しよう
カロリーオーバーに気をつけ、油脂や脂肪を含む食品の過剰摂取は控えて。毎日30分以上(1時間以上であれば週3回でも)は早歩きや軽いジョギングなどの軽めの有酸素運動をして、適性体重を維持しましょう。
食べ過ぎや運動不足などにより摂取カロリーが消費カロリーを上回ることが、
肥満を引き起こす原因となります。
過剰な体重は血圧を上昇させる要因となります。
肥満の人は高血圧のリスクが2~3倍高いとされています。
- BMI(Body Max Index)が25以上
- 男性でウエストが85cm以上ある
- 女性でウエストが90cm以上ある
内臓脂肪型肥満と指摘されたことがある
(女性よりも男性に多い)
肥満には二つのタイプがあります。
皮膚の内側(皮下組織)に脂肪が蓄積する「皮下脂肪型肥満」、
と主に腸の周りに脂肪が蓄積する「内臓脂肪型肥満」です。
特に内臓脂肪型肥満は血圧と深く関わっています。
内臓脂肪細胞からは「アディポサイトカイン」と呼ばれる、
体にとって様々な働きをする物質が分泌されています。
アディポサイトカインには善玉と悪玉が存在しますが、
内臓脂肪の過剰な蓄積は善玉の低下および悪玉の増加を招くことが知られています。
悪玉のアディポサイトカインの増加は膵臓から分泌される「インスリン」
というホルモンの働きを妨げ、血圧を上昇させるのです。
インスリンは血糖値を下げるはたらきをするホルモンですが、
過剰分泌は血圧に悪影響を及ぼします。
インスリンの働きが妨げられると、それを補うために多量のインスリンが分泌され
血液中のインスリン濃度が高まる「高インスリン血症」になると、腎臓で塩分がうまく調節で
きなくなり腎臓からのナトリウムの排泄が減少し、血液量が増えたり、血管の拡張不良
によって血圧が上昇します。
②食生活に問題がある
・塩分を摂りすぎている
日本人が高血圧になる最大の要因は食塩の摂り過ぎで、
体内のナトリウム濃度が高まるためです。
食塩として摂取しているナトリウムは体にとって不可欠な栄養素である
「必須ミネラル」の一種です。
ナトリウムは体内にある液体成分のうち細胞の外側にある「細胞外液」の量を
維持するなどの役割を担っています。
ナトリウムが体内に増え過ぎると、その濃度を薄めるために水分を蓄積するようになり
血液の量が増加し心臓や血管にかかる負荷が高まり血圧の上昇につながります。
塩辛いものを食べたときにのどが渇き、水をたくさん飲むことも
血液の量が増える原因となります。
人間にはもともと“鉱質コルチコイド受容体(MR)”といって、腎臓で塩分を再吸収し塩分の
少ない環境でも生き続けられる仕組みが備わっています。
しかし近年は、生活習慣の変化によって人々が塩分を取り過ぎるようになり、これによって
MRが過剰に活性化するようになってきています。
MRの過剰な活性は、血圧の上昇、心血管病、慢性腎臓病(CKD)など、さまざまな病気に
影響を与えていることが分かってきています。
漬物、梅干し、みそ汁、醤油など日本の家庭料理では食塩の含有量が必然的に多いです。
またラーメンなどの汁にも塩分がかなり含まれています。
- 濃い味付けが好き
- ご飯よりパンや麺類が多い
- 麺類の汁を全て飲むことが多い
- 漬物、塩蔵品が好き
- カロリーを摂りすぎている
- 甘いものや脂っこいものが好き
- 魚より肉を食べる機会が多い
コレステロールや中性脂肪が多いドロドロな血液の場合も動脈硬化を引き起こし、
高血圧を引き起こしますので、加工肉や脂身の多い肉、魚卵やレバーの
摂取も可能な限り控えた方がよいです。
- 野菜や果物が不足している
- 早食いである
食塩を摂り過ぎていたり、食事のバランスが悪い場合、
高血圧になりやすい傾向があります。
上記に当てはまる場合、高血圧のリスクが高まります。
③過度の飲酒をしている人
飲酒は適量を守って
飲酒から1〜8時間は血圧が下がりますが、その後に上昇します。
アルコールには利尿作用があるため、飲みすぎると体の水分量が減って
血液が濃くなり、血圧が上がります。
アルコールは1日の適量20gを守りましょう。
ビールなら中瓶1本、日本酒なら1合、ウイスキーならダブル1杯に相当します。
また、脱水を起こさないようお酒と一緒に水を飲むのも忘れずに。
週に2日以上は休肝日を設けてください。
- 飲酒量が多い
- 多量の飲酒を長期間続けている
- 塩気の多いおつまみが好き
過度の飲酒を長期間続けると動脈硬化になり、
高血圧につながるので注意が必要です。
お酒のつまみには塩分がたくさん含まれており、
お酒が進むと塩分の過剰摂取にもつながります。
塩分の摂りすぎは高血圧の大きな原因となります。
しかし飲酒が高血圧の原因であると考えられる場合、
飲酒量を減らすことで血圧が低下することが分かっています。
④運動不足の人
運動不足にはご用心
運動を十分に行わないと、血圧が高くなるリスクが高まります。
運動不足は、血流の悪化や肥満などにつながり高血圧になることがあります。
血管を拡張させて血流を促したり、血管の弾力性を保つ作用のある
NO(一酸化窒素)は血管の内側(血管内皮)で生成されていますが、
運動によってNO(一酸化窒素)の生成は増加します。
逆に、運動不足によってNOが生成されにくくなり、血液の流れが悪くなったり
血管の弾力性が失われて血圧が上昇します。
⑤喫煙している人
たばこを吸うと血圧が10〜20mmHg上昇し、その状態が15分以上続くといわれています。
たばこの葉に含まれる「ニコチン」には交感神経を刺激し血管を収縮させるため
血管の内腔が狭まり血圧が上昇します。
また、たばこの煙に含まれる「一酸化炭素(CO)」も高血圧の原因になります。
一酸化炭素(CO)は酸素不足の状態で燃焼したときに発生する有害な気体です。
一酸化炭素は「ヘモグロビン」と結びつく力が非常に強いのが特徴です。
ヘモグロビンは血液中の赤血球に含まれる、体の各組織に酸素を運搬するたんぱく質です。
本来酸素と結びつかなければいけないヘモグロビンが、一酸化炭素と結びつくことで
体は酸素不足に陥ってしまい、心臓が体の酸素不足を補おうとして心拍数を増加
させるため、血圧が高くなります。
- 1日15本以上喫煙している
- 受動喫煙の機会が多い
アメリカの調査では、1日15本以上喫煙していると、
高血圧発症の割合が明らかに高くなるという結果が出ています。
さらに、受動喫煙もリスクがあると考えられているので注意が必要です。
また喫煙している人は、心筋梗塞や脳卒中を起こす確率も高くなります。
その他に肺がんやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)のリスクも高めます。
⑥疲労・ストレスが多い人
ストレスを溜めない工夫を
「競争心が強く、攻撃的で、せっかちな性格」の血液型がA型の人は、
「仕事などのペースもゆっくりした、のんびりした性格」のB型の人と比べて
狭心症と心筋梗塞の発症率と死亡率が2倍以上になるとも言われております。
がんばりやで負けず嫌いな傾向の方は、無理をしがちでストレスをためやすく、
また時間に余裕のない生活状況や、マイナス思考、常に不安感が抜けきらない環境が
血圧の上昇や心拍数の増加、血流の乱れを招き、虚血性心疾患の発症につながりやすい
のではないかと考えられています。
下記に該当する方は、これらのリスクを抱えている場合がありますので気を付けましょう。
- 精神的ストレスが多い
- イライラしやすいタイプ
- 約束をきっちり守るタイプ
- 他人から指図されることが苦手である
- 人任せにできず、自分でやりたいタイプ
- 競争心が強く、負けず嫌いである
- ライバルだと思う人がいる
- 会社の仕事を自宅まで持ち込む
- 自己主張が強いタイプ
- 攻撃的な性格である
- せっかちである
- 打たれ弱いタイプ
- 多忙で疲れている
長期間のストレスは血圧に影響を与えることがあります。
疲労やストレスがたまっていると、自律神経(交感神経と副交感神経)のうちの
交感神経が活発になり、血管が収縮して血圧が上昇します。
また、交感神経が活発になると白血球の一種、好中球が増加し、血液の流れが悪くなって
血管が詰まる原因にもなります。
季節の変わり目など、気温や気圧の変動が大きい時も自律神経のバランスが乱れがちなので
要注意です。
精神的ストレスの他、オーバーワークなどによる肉体的な疲労も高血圧の原因になります。
普段の血圧は正常でも日中職場での血圧が高い「職場高血圧」は、仕事のストレスが原因
であり心筋梗塞や脳出血の発症リスクが高いことが分かっています。
家庭や職場など、診察時以外の血圧が高い「仮面性高血圧」も通常の高血圧と同等
もしくはそれ以上に心筋梗塞などの心臓病を発症するリスクが高い
といわれており注意が必要です。
イライラや、緊張を感じたらゆっくりと深呼吸してリラックスしましょう。
鼻から息を吸い、口から吐くだけで血圧が30〜40mmHgも下がることが分かっています。
⑦家族に高血圧の人が多い
高血圧は遺伝するとされています。
両親ともに血圧が高い場合、
その子どもが高血圧になる確率は約50%、
両親のうちどちらか一人が高い場合は約30%であるといわれています。
これは高血圧になりやすい「体質」の遺伝であることや、
生活習慣(食習慣および運動習慣)の影響が大きく、血圧の高い家族と同じ生活環境
で過ごせば自身も高血圧になりやすいと考えられます。
本態性高血圧症のおよそ60%に遺伝が、残りの40%に生活習慣が関与している
と考えられています。
⑧年齢が高い人
- 男性は40代で29.9% ⇒ 50代になると63.2%に高血圧が急増します。
- 女性は50代で38.4% ⇒ 60代になると62.3%に高血圧が急増します。
男女ともに 70代を過ぎると7割~8割の人が高血圧です。
加齢による血圧上昇の主な原因は血管が硬くなり弾力性が失われることで、
特に心臓が収縮して血液を全身に送り出すときの収縮期血圧(上の血圧)が高くなります。
近年、血圧調整に関わるホルモン「アンジオテンシンⅡ」の作用が加齢に伴い変化することで
血管の壁が厚くなり、弾力性が失われることが分かってきました。
男性では50歳以上、女性では60歳以上になると、半数以上が高血圧
と言われています。
⑨病気がある人
高血圧の90%は本態性高血圧(生活習慣病としての高血圧)ですが
病気によって血圧が高くなっている二次性高血圧の原因となる病気で
最も多いのが腎臓の病気です。
腎臓:腎動脈硬化症
腎血管性高血圧
腎動脈狭窄症:腎臓に酸素や栄養を送る血管〔腎動脈〕が細くなること
慢性糸球体腎炎:腎臓内の糸球体の慢性的炎症
甲状腺:甲状腺機能低下症:甲状腺機能亢進症:副甲状腺機能亢進症
副腎:クッシング症候群:
原発性アルドステロン症:アルドステロンというホルモンが過剰に分泌される
褐色細胞腫:副腎髄質から発生する腫瘍
レニン産生腫瘍
糖尿病:糖尿病性腎症
そのほか:睡眠時無呼吸症候群、大動脈縮窄症 など
⑩お薬を常用している人
以下のようなお薬を使っている場合も、高血圧につながることがあります。
- 非ステロイド性消炎鎮痛剤(風邪薬や頭痛薬の一種)
- ステロイド
- 交感神経刺激薬
- 抗がん剤
- 甘草が含まれる漢方薬
- サプリメント
- 健康食品
お薬の副作用で引き起こされた高血圧は、二次性高血圧に分類されます。
成分によっては、医薬品だけでなく、サプリメントや健康食品なども
高血圧につながる可能性があります。
⑪睡眠不足である
睡眠は健康の基本
睡眠不足が続くと血圧が上昇するリスクが高まります。
これは「交感神経」の作用時間が長くなるためです。
交感神経には心拍数や血圧を上昇させ、体を活発に動かす作用があります。
一方、体をリラックスさせる際に作用する神経を「副交感神経」といいます。
交感神経と副交感神経が互いにバランスを取りながら体の機能を調節しており、
この二つの神経を合わせて「自律神経」と呼んでいます。
起きている時間、つまり活動している時間には交感神経が優位に働いています。
交感神経は血圧を上昇させるため、起きている時間が長くなり睡眠時間が短い
と交感神経の作用が高まり高血圧になります。
⑪食べるのが早い人は高血圧になりやすい!
高血圧や糖尿病など生活習慣病の改善に行われているのが、
食べる順番と食べるスピードです。
食べるのが早い人は、食後の血糖値が急上昇し血管を傷つけることが分かっています。
傷ついた個所にコレステロールが付着してプラークができ動脈硬化を引き起こします。
この動脈硬化が高血圧の原因となります。
血糖値の上昇を緩やかにするために咀嚼回数を増やしてゆっくり食べることが大切です。
さらに食べる順番を食物繊維⇒タンパク質⇒炭水化物という順番に改善します。
血糖値を上昇させる栄養素は炭水化物(糖質)ですから、食事の最後に食べることで
急上昇を抑制することができます。