★糖尿病をわかりやすくいうと
「血液の中の糖が多い状態」のこと
ご飯やパン、果物などの炭水化物を食べると胃や小腸で消化・吸収され、ブドウ糖となって血液中に入ります。ブドウ糖は、体のエネルギーになるものです。血液中のブドウ糖の量(血糖値)が高くなるとすい臓から分泌される血糖値を下げるインスリンの働きによって食後に血糖値が上がり過ぎないようにブドウ糖の量を調節したり、ブドウ糖を細胞に送り込んで活動エネルギーに変えるなどの重要な働きをしています。
血糖値はちょうど良い範囲(約70~120mg/dl)にコントロールされます。
インスリンは膵臓から出るホルモンであり、
血糖を一定の範囲におさめる働きを担っています。

糖尿病は、
インスリンの量が不足したり、
インスリンが十分に効果を発揮できなかったりして、
血糖値が高くなる病気です。

血糖の濃度(血糖値)が何年間も高いままで放置されると、
血管が傷つき、将来的に心臓病や、失明、腎不全、足の切断といった、
より重い病気(糖尿病の慢性合併症)につながります。
また、著しく高い血糖は、それだけで昏睡(こんすい)などをおこすことがあります
【診断基準】
- 空腹時で126mg/dl、食後で200mg/dl
を越えていれば糖尿病型と判定されます
★糖尿病ってどんな種類があるの?
糖尿病は、その成りたちによっていくつかの種類に分類されますが、大きく分けると
*「1型糖尿病」、
*「2型糖尿病」、
*「その他の特定の機序、疾患によるもの」、
そして
*「妊娠糖尿病」
があります。
★1型糖尿病
*1型糖尿病では膵臓のランゲルハンス島に炎症がおこり
インスリンを作る膵β細胞が壊されます。
![すい臓とランゲルハンス島のイラスト素材 [12426110] - PIXTA](https://yamashita-clinic-iwakuni.com/wp/wp-content/uploads/2025/04/image.jpeg)
その結果、インスリンの量が足りなくなり、ブドウ糖が細胞に取り込まれなくなる
ことで血糖値が上がります。
1型糖尿病の原因はまだはっきりしていませんが、
遺伝因子やウイルス感染などが誘因となり、“自己免疫”と呼ばれる機序(外から体に入ってき
た細菌やウイルスを攻撃して本来体を守る“免疫”という仕組みが、自分の膵β細胞を壊してし
まう)が関与していると考えられています。
多くの方で、外からインスリンを注射しないと生命の危機に瀕するような
インスリン欠乏状態となります。
子供の頃に発症することが多いタイプです。
(表1:1型糖尿病と2型糖尿病の特徴)。
★2型糖尿病
2型糖尿病のある方では、
インスリンが出にくくなったり(インスリン分泌低下)、
インスリンが効きにくくなったり(インスリン抵抗性)
することによってインスリンの相対的不足を伴い血糖値が高くなります
(表1:1型糖尿病と2型糖尿病の特徴)。
2型糖尿病の原因もはっきりしていませんが、
遺伝因子とともに生活習慣・外部要因などが関与して発症すると考えられています。
日本では糖尿病の約95%が2型糖尿病です。
★2型糖尿病となる原因は、
*遺伝
遺伝子として遺伝子異常が同定されたもの
膵β細胞機能にかかわる遺伝子異常
インスリン作用の伝達機構にかかわる遺伝子異常
*食べ過ぎ

*運動不足
![運動不足のイラストのイラスト素材 [116411878] - PIXTA](https://t.pimg.jp/116/411/878/5/116411878.jpg)
*肥満

などの環境的な影響があるといわれています。
糖尿病は肥満の方がなるものというイメージが強いかもしれませんが、
必ずしもそうとはいえません。
ただし、
糖尿病の9割を占める2型糖尿病は
肥満や運動不足によって引き起こされる
ことがほとんどなので、生活習慣を整えることが予防として有効です。
表1:1型糖尿病と2型糖尿病の特徴
1型糖尿病 | 2型糖尿病 | |
---|---|---|
若年に多い (ただし何歳でも発症する) | 発症 年齢 | 中高年に多い |
急激に症状が現れて、糖尿病になることが多い | 症状 | 症状が現れないこともあり、気が付かないうちに進行する |
やせ型の方が多い | 体型 | 肥満の方が多いが、やせ型の方もいる |
膵臓でインスリンを作るβ細胞という細胞が壊れてしまうため、インスリンが膵臓からほとんど出なくなり、血糖値が高くなる | 原因 | 生活習慣や遺伝的な影響により、インスリンが出にくくなったり、インスリンが効きにくくなったりして血糖値が高くなる |
インスリンの注射 | 治療 | 食事療法・運動療法、飲み薬、場合によってはインスリンなどの注射を使う |
その他の特定の機序、疾患によるもの
膵外分泌疾患
内分泌疾患
肝疾患
薬剤や化学物質によるもの
感染症
免疫機序によるまれな病態
★妊娠糖尿病

妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めてわかった、
まだ糖尿病には至っていない血糖の上昇をいいます。
糖は赤ちゃんの栄養となるので、多すぎても少なすぎても
成長に影響を及ぼすことがあります。
そのため、お腹の赤ちゃんに十分な栄養を与えながら、
細やかな血糖管理をすることが大切です。
妊娠中は絶えず赤ちゃんに栄養を与えているため、お腹が空いているときの血糖値は、
妊娠していないときと比べて低くなります。
一方で、胎盤からでるホルモンの影響でインスリンが効きにくくなり、
食後の血糖値は上がりやすくなります。
多くの場合、高い血糖値は出産のあとに戻りますが、
妊娠糖尿病を経験した方は将来糖尿病になりやすいといわれています。