慢性下痢
1日に消化管に入ってくる水分の量は、経口摂取と分泌される消化液で約10lです。
そのほとんどが小腸で吸収され、糞便としては約0・1~0・2l排泄されます。
腸管に流入する単位時間あたりの水分量(大腸の1日あたりの最大水分吸収能は5~6l)が、その吸収能力を超えると下痢になります。
下痢とは、便の水分量が増えて、液状から泥状またはそれに近い状態になったものとされ、慢性下痢の人は約3%とされています。
症状が3週間以上続く時には慢性下痢といわれます。
下痢には様々な原因があります。
- 冷たい食品、飲料の過剰摂取
- 暴飲飽食による消化不良
- ストレス性
- 香辛料などの刺激物の過剰摂取
- 早食いでの消化不良
- 寝冷えや冷房などでの冷え
- 薬剤などによる副作用
- ウイルス性
浸透圧性下痢
腸管に吸収されない食べ物や薬剤により浸透圧が上昇し、水分と電解質が腸管内に移行することによって起こります。
分泌性下痢
細菌の毒素やウイルス、胆汁酸や脂肪酸、ホルモンなどによる腸管からの水分の分泌亢進により起こります。
腸管粘膜障害による下痢
炎症性腸疾患や細菌などにより腸管から滲出液(しんしゅつえき)や血液が排出されることによって起こります。
腸管運動異常による下痢
腸管運動の亢進や低下によって起こります。
過敏性腸症候群による下痢
最近増えているのが、自律神経の乱れが原因で起こる過敏性腸症候群による下痢です。
その病態は器質的疾患を伴わず、腹痛・腹部不快感と便通異常(下痢、便秘)を主体とし、それらの消化器症状が長期間持続もしくは悪化・改善を繰り返す疾患です。
下痢で消化器科や胃腸科を受診する人の4~7割を過敏性腸症候群が占めています。
緊張すると誰でも汗をかいたり、ひざが震えたりします。
下痢の原因はいくつかありますが、このような緊張や精神的な不安、ストレスが引き金となって下痢や腹痛を起こすのが「過敏性腸症候群」という現代病です。