
糖尿病の基準は、
*空腹時血糖値
早朝に(8時間以上の絶食後)採血したときの血糖値
*HbA1c(ヘモグロビンA1c)
過去1~2ヵ月間の血糖の状態を示す値
*75gの経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)
75gのブドウ糖水などを飲み、その2時間後に採血したときの血糖値
などの検査結果に基づいて判断されます。

これらの検査結果が
2回以上確認された場合に糖尿病と診断されます。
早朝空腹時血糖値は10時間の空腹時間を設けて検査した血糖値で、
随時血糖値は食事と採血時間に関係なく採血した血糖値です。
糖尿病の診断基準について、注意すべき点は次のとおりです。
- 血糖値のみでは1回の検査で確定診断できません。
- HbA1cは直近1〜2か月の血糖の平均レベルを反映した指標です。
- HbA1cが6.5%未満であってもそれに近い数値の場合、糖尿病の可能性が否定できません。HbA1cの結果のみの糖尿病型の場合は、血糖検査を含め再検査が必要です。
- HbA1cが8.4%を超えると糖尿病による各種の合併症を発症する危険性が高まります。
- 貧血など合併する疾患で値が変わると言われており、基準値を超えているからと言って一概に糖尿病とは言えない場合もあります。
- また、口渇(口の渇き)、多飲、多尿、体重減少などの典型的な糖尿病の症状が出たり、
- 糖尿病網膜症がある場合は、1回の検査で「糖尿病」と診断されます。
* 血糖値のみでは1回の検査で確定診断できません。
*自覚症状や網膜症が認められる場合
HbA1c(ヘモグロビンA1c)の値にかかわらず、糖尿病の典型的症状である
「喉の渇き」「多尿」「倦怠感」
などがある場合や確実に
糖尿病網膜症
が認められる場合は糖尿病と診断できます。
* 糖尿病以外(甲状腺機能亢進症、ヘモグロビン異常症など)でも、
ヘモグロビンA1cが高くなる場合がありますので確定診断には血糖検査が必要となります。
【 糖尿病の判定区分 】
【 糖尿病の診断 おもな流れ 】

75g経口ブドウ糖負荷試験での血糖値の変動

75g経口ブドウ糖負荷試験は10時間の空腹状態で病院へ行き採血を行い、
糖入りのソーダを飲んで再度採血し血糖値の変動をみていく検査です。
空腹時採血が終了後75gのブドウ糖入りソーダを5分以内に飲み、
30分後と1時間後、2時間後の合計3回採血を行い血糖値の変動をみていきます。
検査の基準は、75gブドウ糖入りのソーダを飲んで行う3回の採血で
血糖値が一度高くなっただけでは糖尿病と判断されず、
2回以上血糖値が異常値で表示されると糖尿病と判断されます。
75g経口ブドウ糖負荷試験は、
主に糖尿病予備群と呼ばれる糖尿病の確定診断がついていない人や
糖尿病の軽症な人に有効な検査です。
*血糖値の mg/dl と mmol/l の交換式
血糖値(mg/dl) ÷ 18 = 血糖値(mmol/l)

糖尿病の分類は大きく3つに分かれる

糖尿病は血糖値の数値に応じて正常型と境界型、糖尿病型の3つに分類されます。
正常型は検査結果で異常のない人をいう

正常型とは血糖値や75g経口ブドウ糖負荷試験の結果、異常値がない状態を指します。
健康な人の血糖値は、食前と食後を含め70〜140mg/dLという範囲で維持されます。
空腹時血糖値の基準は、110mg/dl未満です。
境界型とは糖尿病になるリスクが高い状態を指す

境界型とは、正常型にも糖尿病型にも属さない糖尿病予備群の人です。
境界型の分類の人はインスリンが出にくくなっていたり、効きにくくなっていたりする状態で、血糖のコントロールが不十分となっています。
空腹時血糖値の基準は、110mg/dl〜125mg/dlです。
糖負荷試験(75gOGTT)を含め、精査が望ましいと言えます。
あわせてHbA1c(正常値4.6~6.2%)が測定されている場合は、
糖尿病と診断できる場合もあります。
正常値よりも血糖値が高いため現段階で食習慣や運動習慣の改善に取り組み、
症状や数値の重症化を予防しない限り身体の状態は悪く重篤化してしまいます。
境界型の人は正常型の人に比べ糖尿病を発症する確率が高いため、
現状を受け入れて状態改善に努めていく必要があります。
専門医療機関の早期受診をおすすめします。
糖尿病の人は糖尿病型に分類される

糖尿病型は、3つの分類の中で唯一糖尿病と確定診断されている状態です。
インスリンが働いていないため、血糖値は高い状態が続いています。
*空腹時の血糖値が126mg/dL以上、もしくは食後の血糖値が200mg/dL以上
糖尿病が非常に疑わしいことになります。
HbA1c(1〜2カ月の血糖を反映する指標)が6.5%以上なら「糖尿病型」と診断できます。
長期にわたり高血糖状態を放置してしまうと、糖尿病性合併症の発生につながり、
インスリン注射を余儀なくされます。
また「食後高血糖」がある人は糖尿病になる危険性が高く、
また動脈硬化による合併症を起こしやすいことが分かってきています。
血糖値以外の検査
HbA1c | 血液中のヘモグロビンにブドウ糖が結合したもので、1~2ヶ月の血糖値の変動を反映します。糖尿病は6.5%以上、正常は4~5.5%。 |
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GA(グリコアルブミン) | 血液中のアルブミンとブドウ糖が結合したもので、1-2週間の血糖値の変動を反映します。糖尿病は16.5%以上、正常は12~16.5%。 |
1.5AG(1.5アンヒドログルシトール) | 過去数日間の血糖値の変動を反映します。血糖値が高くなり尿糖となりおしっこに排泄されると、1.5AGは低下します。糖尿病は15μg/mL以下、正常は15~45μg/mL。 |
尿検査 | 尿中の糖を確認します。血糖値が180mg/dLを超えると尿の中に糖がで始めます。ただ血糖値が180mg/dL超えるということは比較的重症な糖尿病の可能性が高く、軽症の糖尿病は見落とす可能性があります。 |
尿検査で小さな異変に気付く

尿検査では糖尿病の断定はできませんが、
身体の異変を察知して隠れた病気を見つけるきっかけになります。
糖尿病の場合は尿糖や尿蛋白などを調べますが、
尿から糖が検出される場合はすでに血糖値が160〜180mg/dl程度と高血糖の状態で、
糖尿病の診断に対する裏づけの役割となります。
糖尿病の合併症の一つである糖尿病腎症では尿蛋白陽性の反応がでますが、
この結果だけでは確定診断にはなりません。
尿蛋白が陽性になる原因はほかにも多く考えられるため、
その他に症状が出現していないか観察が必要になってきます。
尿検査の結果とその他の症状を総合的にみて、診断していきます。