糖尿病に良い食材
★⽞⽶・全粒粉
通常の白米、小麦粉などの穀類製品は「精白」という工程を経てつくられています。
対して、精白を行わず丸ごとの穀類のことを「全粒穀物」と言い、精製された穀類と比較して
食物繊維等を多く含む傾向があり、糖尿病にいい食べ物のひとつといえます。
そこでお勧めなのが
⽞⽶や全粒粉です。

⽞⽶とは糠(ぬか)や胚芽が残った状態のお⽶の事をいい、
この糠や胚芽には⾷物繊維やビタミンが豊富に含まれています。
食物繊維は、消化吸収を遅らせ、糖質やコレステロールの吸収を抑える働きがあり
血糖値の急上昇を防ぐ効果があります。
玄米や胚芽米は白米と比較して血糖値が上がりにくいといわれています。
⾷後⾎糖値の上昇度を⽰す指数に、GI 値(Glycemic Index)があります。
GI 値が⾼い⾷品ほど⾎糖値が上昇しやすいと⾔われています。

ご飯でも、
白米はGI値が高く、血糖値を上げやすいです。
⽞⽶のGI 値は⽩⽶より低くなっています。
(⽩⽶のGI 値が約80 に対して⽞⽶のGI 値は約55)
さらに食物繊維は血糖値の急上昇を防ぐため、
玄米や胚芽米は糖尿病の方の食事に向いているとわかります。
胚芽米は白色で消化吸収に良く、白米が好きな方でも食べやすいメリットがあります。

同じく全粒粉は⼩⻨の⽪も胚芽も丸ごと粉にしたものをいい、

⾷物繊維やミネラル、ビタミンが豊富に含まれています。
こちらも⼩⻨に⽐べてGI 値は低くなっています。
(⼩⻨の⾷パンのGI 値が約90 に対して全粒粉のパンのGI 値は約50)
つまり⽩⽶や⼩⻨を⾷べるより、⽞⽶や全粒粉を⾷べる⽅が⾎糖値が上がりにくく、
さらには⾷物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素も摂取する
ことができるという事になります。
- 玄米
- 雑穀(ひえ、あわ、キヌア、アマランサスなど)
- 大麦(押し麦、もち麦)
- 全粒粉
- オートミール
食物繊維を多く含む一方、糖質量やカロリーは精製された穀類とさほど変わらないため、
摂りすぎを避け、適量範囲で「置き換える」かたちで取り入れるのがおすすめです。
★お肉は豚肉を取り入れよう

糖尿病患者さんには、ビタミンB1が含まれている豚肉の活用をおすすめいたします。
ビタミンB1は糖の代謝にかかわる栄養素です。
糖の代謝とは、食事から摂った糖質が分解され、
血液中でブドウ糖となってエネルギーとして利用される仕組みのことです。
ビタミンB1をたくさん摂ったからといって、血糖値の上昇が抑制されるわけではありません。
しかし、スムーズな糖代謝のためにビタミンB1を過不足なく摂るとよいでしょう。
ちなみにビタミンB1は、ヒレ肉やモモ肉の赤身といった脂身の少ない部分に含まれます。
ビタミンB1の働きを助ける栄養素は、にんにく・玉ねぎ・にらなどに含まれるアリシンです。
★魚

青魚も、血糖値を下げる食べ物としておすすめです。
魚に含まれるPA(EPA)やDHAなどの多価不飽和脂肪酸は、
インスリンの働きを改善し、血糖値の上昇を抑える効果があります。
反対に糖尿病や動脈硬化性疾患のリスクを高める「飽和脂肪酸」が多い肉類と
置き換えて取り入れることで、摂取脂肪酸の内容を改善することができます。
- イワシ
- サバ
- サンマ
★大豆製品

大豆製品は植物性食品でありながらたんぱく質を豊富に含むため、
主菜の食材として活用できるのが特徴です。
魚類と同様、肉類と置き換えることで、たんぱく質摂取量を維持しつつ、
飽和脂肪酸を減らすことができます。
また、納豆や蒸し大豆のような大豆丸ごとのものでは食物繊維も摂取できるため、
糖尿病にいい食べ物のひとつといえます。
- 豆腐
- 納豆
- 蒸し大豆
- 大豆ミート(ソイミート)
- 豆乳
大豆製品は形態によってさまざまな使い方ができるのが魅力です。
たとえば、豆乳は牛乳の代替として摂取脂質の改善に役立ちます。
また、大豆ミートでは肉類と変わらない感覚で食べられるため、
肉類が好きな方にもおすすめです。
★納豆

植物性タンパク質の代表格、納豆は食後の血糖値の上昇を抑えるという研究報告もあり、
さらに発酵食品であるため腸内環境を改善します。
また、タンパク質と血糖値には、密接な関係があり、筋肉が減少すると血糖値が高くなる傾向にありますので、
筋肉を作るタンパク質の摂取が重要です。
★高野豆腐
原料に豆腐が使われている、高野豆腐がおすすめです。
高野豆腐には私たちの腸内では消化できないたんぱく質である、
レジスタントプロテインが含まれます。
レジスタントプロテインは食物繊維に似た働きをもつ栄養素です。
糖質の吸収を緩やかにし血糖値の急上昇を防ぐため、
糖尿病の合併症を発症させるリスクを減らします。
ご飯のような糖質の多い食品を食べる前に高野豆腐を食べると、
血糖値の上昇を緩やかにしてくれるでしょう。
★ 野菜
野菜類はおおむねカロリーが低く、食事のボリュームを維持しつつ、
摂取カロリーを抑えるのに役立つ食品です。
また、食物繊維の摂取源でもあるため、たっぷり食べることを心がけることで、
食物繊維の摂取量を増やすことにも役立ちます。
⾷物繊維が豊富な野菜を⾷べることも⾎糖値を下げることに繋がります。
⾷物繊維が豊富な野菜を⾷べると糖の吸収を穏やかにし、⾎糖値の上昇を抑えてくれます。
ビタミンやミネラルの摂取も併せて考えると、
1日あたり350gの野菜を摂取できると理想的です。
小鉢1皿分の野菜を70gとみて、1日を通して5皿程度が目安とされます。

- ブロッコリー
- スルフォラファンという成分が含まれており、血糖値を下げるインスリンの働きを助ける効果や、脂肪細胞のエネルギー消費を増やし糖尿病や肥満を抑制する効果が期待できます。

- オクラ
- 食物繊維が豊富で、糖の吸収を穏やかにし、血糖値の上昇を抑える効果があります。

- モロヘイヤ
- 食物繊維やβ-カロテン、ビタミンB群、カルシウム、鉄分など、様々な栄養素が豊富に含まれています。

- ほうれん草
- 食物繊維、ビタミンC、鉄分、β-カロテンなどが豊富で、血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。



- 小松菜、ゴーヤ、春菊、ニンジン、チンゲンサイなども、
- 食物繊維やその他の栄養素が豊富で、血糖値の管理に役立つとされています。
★ごぼう

食物繊維が多く、糖質の吸収を穏やかにする効果が期待される
「クロロゲン酸」というポリフェノールも豊富に含まれます。
★玉ねぎ

ポリフェノールの一種である「ケルセチン」が豊富です。
ケルセチンには、血液をサラサラにし、血糖値を下げる効果が期待されています。
これらの野菜は糖質量が少なく特におすすめです。
ただし、
★レンコン、カボチャ

![かぼちゃを洗う方法・調理前の下ごしらえ・カット方法 [毎日の野菜・フルーツレシピ] All About](https://imgcp.aacdn.jp/img-a/1200/900/aa/gm/article/4/8/0/9/1564003656/topimg_original.jpeg)
のような炭水化物(でんぷん質)が比較的多い野菜
ばかりをとることは避けましょう。
★トマト

トマトには『リコピン』と『食物繊維』が含まれています。
リコピンの抗酸化作用と食物繊維によって糖尿病の予防効果が期待できます。
★きのこ

きのこは不溶性食物繊維が豊富です。
不溶性食物繊維は、便のカサを増やし便秘を予防するほか、
糖や脂肪の排出を促し食後の血糖上昇を抑える働きがあります。
代謝を促進するビタミンB群も多く、糖質や脂質のスムーズな燃焼をたすけ
血中コレステロールの上昇を防ぎ、動脈硬化の進行を抑えます。
きのこ類は野菜類と並んで低カロリーであり、食物繊維の摂取に役立つ食品です。
食事管理の面では野菜とおおよそ同じといえるので、
1日350gの計算に入れてもよいと考えます。
きのこは繊維質なので噛み応えがあります。
よく噛んで食べることで、食べすぎを防ぎ、満足感を得やすくします。
- えのきたけ
- ぶなしめじ
- しいたけ
- エリンギ
舞茸

舞茸に含まれるMD-フラクションとMX-フラクションには、
食後血糖値の上昇を緩やかにし、インスリンの働きを助ける効果があるといわれます。
★海藻

海藻類は水溶性食物繊維が多く、血糖値の上昇を穏やかにします。
とくにわかめやこんぶ、もずく,ひじきなどには、
糖質の吸収を抑えるアルギン酸という食物繊維が豊富に含まれます。
海藻類は糖質が少なく低カロリーでもあるため、血糖値を下げるためには、
意識して食事に取り入れるとよいでしょう。
海藻類は調味済みの加工品が便利なほか、乾燥品が多く保存性に優れるのが魅力です。
それぞれ、自身の食事スタイルに合わせて、取り入れやすいものを活用する
のがおすすめです。
ただし、こんぶやわかめにはヨウ素も多く含まれます。
甲状腺機能が低下している場合は、摂りすぎないようにしてください。
★果物

果物は甘味があって糖類を含むため、糖尿病では避けるべきと思われがちですが、
食物繊維、ビタミン、ポリフェノールなどが豊富で、血糖値の急激な上昇を抑える効果や、
インスリン感受性を改善する効果が期待できます。
適量範囲であればむしろ糖尿病に関連するリスクを低減することが知られています。
砂糖類を多く含む菓子類の代わりに間食として取り入れることで、
摂取カロリーを低く抑えることにも役立ちます。
果物ジュースでは反対に糖尿病リスクを高めるとみられるため、
生の果物をとるのがおすすめです。
具体的な摂取量については病状に合わせて決定する必要がありますが、
1日100g程度までなら血糖値や血中中性脂肪値は改善し、
体重増加にもつながらないと報告されています。
ただし、過剰摂取すると血中中性脂肪を増やしたり、
摂取カロリーを増やして肥満につながります。
![キウイフルーツの値段[価格]の相場と旬や栄養成分は? | おかずキッチン](https://dream44cook.com/wp-content/uploads/2018/01/shutterstock_1303938361.jpg)
- キウイ
- 食物繊維が豊富で、血糖値の上昇を穏やかにする効果があります。

- いちご
- GI値が低く、血糖値の上昇を抑制する効果が期待できます。

- りんご
- 水溶性食物繊維のペクチンが糖の吸収を緩やかにします。

- 柑橘類
- クエン酸が豊富で、糖を燃焼させる働きを高めます。
★ブルーベリー
ブルーベリーに含まれるアントシアニンは血糖値改善効果が期待されています。

もちろん、甘くて美味しいブルーベリーには、糖分も含まれますので、
しっかり決められたカロリーを守った上で取り入れることが大前提です。
★血糖値を下げる果物ランキング
(GI値と食物繊維量)
食品名(100gあたり) | GI値 | 食物繊維量(g) |
---|---|---|
みかん | 33 | 1.0 |
りんご(皮付き) | 37 | 1.9 |
梨(日本) | 38 | 0.9 |
いちご | 40 | 1.4 |
キウイフルーツ | 39-52 | 2.6 |
ブルーベリー | 40-53 | 2.1 |
- GI値とは?
- グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、
- 食品を食べた後の血糖値の上昇度合いを示す指標です。
- GI値が低いほど、血糖値の上昇が緩やかになります。
★食べ方
- 果物は、ジュースではなく、固形のまま食べるようにしましょう。
- 食後の血糖値上昇を抑えるためには、食後のデザートとしてではなく、
- 食前に食べるのがおすすめです。
- 1日の摂取量は、200gを目安にしましょう。
ドライフルーツやジュースは、糖分が凝縮されているため、注意が必要です。
★アーモンド・ナッツ類

世界糖尿病会議2013 で
「ナッツ類には糖尿病患者の⾎糖コントロールを改善する効果が⽰された」
という内容が発表されました。
そこでは
1 ⽇56g のナッツを摂取したグループは
HbA1c と空腹時⾎糖が明らかに低下した
と報告されています。
ナッツ類はカロリーが⾼いため⾷べ過ぎには注意が必要ですが、
⾷物繊維が多く含まれているため消化に時間がかかり、腹持ちが良いという利点があります。
★ レモン

⾷事の前にレモンを絞った⽔(常温)を飲むことで、
⾷事中の⾎糖値を下げる働きがあることが
京都府⽴医科⼤学の研究結果として発表されています。
さらにレモンに含まれるクエン酸には
お腹を膨れさせる働きがありますので、⾷事の前に飲むことで、ある程度の満腹感が得られ、
その後の⾷事の量も⾃然と減っていくというメリットがあります。
★ シナモン

シナモンはクスノキ科の常緑樹の樹⽪を乾燥させたもの
で、古くから知られているスパイスです。
そのシナモンですが、インスリンの働きを改善することが分かっています。
インスリンは⾎液中の⾎糖が⾼い場合には過剰な⾎糖を細胞内に取り込んでエネルギーとし、⾎液中の⾎糖値を下げる働きがありますので、
インスリンの働きを改善することは⾎糖値を下げることに繋がります。
活⽤⽅法としてはコーヒーや紅茶に⾹⾟料として⼊れるのがお勧めです。
いつものコーヒーや紅茶でも⾹りが変わると随分印象が違って新鮮な気分になります。
また、シナモンは⾎糖値を下げるだけではなく、⾎⾏促進作⽤、抗酸化作⽤、むくみ予防、
抗菌作⽤など多くの効果が期待できます。
★ハイカカオチョコレート

ハイカカオチョコレートは、70%以上のカカオ成分を含み、チョコレートの原料であるカカオ豆には食物繊維が多く含まれ、カカオポリフェノールには糖質の吸収を抑える効果が期待できます。
アーモンドなどのナッツ類は糖質が少なく、
抗酸化作用のあるビタミンEも豊富です。
おやつにナッツを食べる場合は、塩分過多を防ぐために無塩のものを選ぶとよいでしょう。
★無糖ヨーグルト

乳酸菌が腸内環境を整え、血糖値の上昇を穏やかにする効果が期待できます。
ホエイプロテインがインスリン分泌を促進し、血糖値の安定に役立ちます。
★牛乳

糖質の吸収を穏やかにする効果や、満腹感を得やすい効果が期待できます。
★緑茶

カテキンが含まれており、糖質の吸収を抑える効果が期待できます。
★コーヒー

コーヒーが糖尿病予防の効果があるという研究報告は多く、
国立国際医療研究センターが行ったJPHC研究では、
コーヒーを飲む回数が1日3〜4杯の人は、ほとんど飲まない人に比べて、
2型糖尿病を発症するリスクが低いという結果が出ています。
コーヒーに含まれるクロロゲン酸は、抗酸化作用が強いポリフェノール
で体の中の炎症を取り、糖の吸収を穏やかにして血糖値の上昇を抑えるため、
糖尿病の予防効果が期待されています。
★そば:田舎そばや十割そば

麺類では、田舎そば、十割そばなどが血糖値を下げるのに効果的です。
田舎そばは、一般的に表層粉が使われ、色が黒く、そばの風味が強いのが特徴です。
表層粉とは、そばの実の外皮に近い部分を挽いたもので、食物繊維が多く
糖質が少ないそば粉です。
また、つなぎである小麦粉を使用しない十割そばも、血糖値を下げるのにおすすめです。
そばは他の麺類に比べてGI値(血糖値の上がりやすさを示す指標)が低く、
血糖値の上昇が穏やかになります。
血糖値を下げるためには、田舎そば、十割そばなどを選ぶとよいでしょう。

★パンの方がご飯よりも血糖値を上げやすいです。
ふっくらとした⽩⽶やもちもちの焼き⽴てパンは、
GI 値が⾼く、急激な⾎糖値の上昇に繋がってしまいます。
特に白いパンは、血糖値の上昇を示すGI値が高く、
急激な血糖値の上昇を引き起こしやすい傾向があります。
- GI値:食パンはGI値が高く、白米よりも血糖値を上げやすいとされています。
- 消化吸収速度:パンはご飯に比べて消化吸収が速いため、血糖値が急上昇しやすいです。
- 含まれる食物繊維:全粒粉パンやライ麦パンなど、食物繊維が豊富なパンを選ぶことで、
- 血糖値の上昇を穏やかにすることができます。
★調味料などの食品について
調味料には、糖質が多いものと少ないものがあります。
【糖質の多い調味料】
調味料 | 糖質 |
トマトケチャップ (大さじ1) | 4.4g |
すし酢 (大さじ1) | 4.7g |
みりん (大さじ1) | 4.8g |
中濃ソース (大さじ1) | 4.8g |
カレールウ (1かけ20g) | 7.6g |
甘みのある調味料や小麦粉が使われているカレールウは糖質が多いので、
一度にたくさん使うと当然血糖値は上がります。
とくにトマトケチャップは1回の使用量が多くなりがちな調味料です。
使いすぎないように注意が必要です。
【糖質の少ない調味料】
調味料 | 糖質 |
油 (大さじ1) | 0g |
塩 (大さじ1) | 0g |
マヨネーズ (大さじ1) | 0.1g |
醤油 (大さじ1) | 0.3g |
酢 (大さじ1) | 0.4g |
*酢の糖質量は差引法による利用可能炭水化物を記載
もちろん糖質の少ない調味料もありますので、上手に使いわけましょう。
なお、酢には食後の血糖値上昇を抑える働きが期待されています。
★食べる順番
ベジファーストという言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、
野菜→お肉(たんぱく質)→ご飯(炭水化物)
の順番で食べることで血糖値の上昇を緩やかにします。
- 食事の最初に野菜を食べることで、食物繊維が血糖値の上昇を抑え、
- 満腹感を得やすくなります。
- ⾷事の最初に野菜を摂取することで、ある程度お腹も満⾜しますので、
その後摂取する⾷事の量を抑えることができます。
また、最近ではミートファーストも注目され、お肉→ご飯の順番で食べることも
血糖値の上昇を緩やかにすると言われます。