主な診療内容
当院での診察可能病名です。
- 高血圧
- 高脂血症(脂質異常症):コレステロールや中性脂肪が高い
- 糖尿病:血糖値が高い
- 高尿酸血症(痛風):飲酒・肥満・男性・足の親指が痛い
- 肝機能検査異常:アルコール性・非アルコール性・肥満・B型肝炎・C型肝炎
- 無痛・胃カメラ(胃癌検診で異常)
- 無痛・大腸内視鏡(大腸癌検診で異常)
- かぜ・インフルエンザ
- 咽頭炎(溶連菌感染症)・頸部リンパ節炎
- 副鼻腔炎(蓄膿症)
- 気管支炎・喘息性気管支炎・気管支喘息・肺炎・マイコプラズマ・百日咳
- ノロウイルス(感染性胃腸炎:腹痛・吐き気・嘔吐・下痢)
- 熱中症
- 甲状腺機能亢進症:若い女性に多い
- 甲状腺機能低下症:高齢女性に多い
- 過換気症候群・過呼吸症候群:若い女性に多い
- 偏頭痛
- ヘリコバクター・ピロリ菌感染
- 花粉症
- 膀胱炎
- 腎結石・尿管結石
- 蕁麻疹・帯状疱疹・口唇ヘルペス
当院で行う一般診療・検査について解説します。
血 便
肛門からの出血(血便)があった場合、「痔からの出血だろう」と考えて市販の痔の薬で様子を見るのは危険です。
血便があった場合には必ず病院を受診し、状況によっては大腸内視鏡検査を受けられることをお勧めします。それだけで「大腸がんで命を落とす人」をかなり減らすことができるのではないかと思っています。
血便の原因としてもっとも多いのは、やはり肛門の病気(特に痔核と裂肛)です。30代までの若い人で、裂肛や痔核からの出血がはっきりと確認された場合には、大腸内視鏡検査を行わずに肛門の治療だけ行うことも多いです。
一方、ある程度の年齢(だいたい40歳以上)の方に血便の訴えがある場合には、明らかに痔核や裂肛があって、ここからの出血だろうと考えられた時も、通常大腸内視鏡検査をお勧めしています。実際検査しても大腸には異常がなく、結局痔からの出血だったという結論になることが多いのですが、時に大腸がんや大腸ポリープが見つかって命拾いをする方もいるのです。特に身内に大腸がんの方がいる場合や、便通異常・腹部不快感・腹痛などの訴えがある場合には、強く大腸内視鏡検査をお勧めしています。
また、目に見える出血がないのに便潜血検査が陽性となった場合であっても、考え方は同じです。「痔からの出血だろう」と思わずに、かならず大腸内視鏡検査を受けられることをお勧めします。
排便時や排便後に真っ赤な血が出ているようなときは、痔が考えられます。痔は、排便によってうっ血した肛門や直腸の粘膜が傷つけられることで起こります。痔による血便では、便の表面に少量の血がついていたり、排便後にポタポタ落ちたり、ピューっと噴射状に出血したり、おしりを拭いた紙に血が付着していたりする点が特徴です。内痔核では肛門周囲の静脈が腫れで出血し、痔の60~70%を占めます。排便時に真っ赤な血液がでるのが典型的で、痛みがないのが普通です。外痔核では出血はみられませんが、時に血マメ(血栓)を形成して激しい痛みと肛門周囲の腫れを生じる事があります。
ただ痔かどうかは自己判断せず、他の病気でないことを確かめるために医師の診察を受け、正しい治療をする必要があります。
便潜血
便潜血陽性とは、採取していただいた便の中に、血液が混じっている状態のことを言います。
大腸がんや大腸ポリープが便とこすれて出血し、その血液が便中に潜んでいる可能性が考えられます。痔がある方や炎症性の腸疾患でも、便潜血が陽性となる可能性はあります。便潜血検査を1万人が受けたとき、665人が便潜血陽性と判断され、そのうち19人の人が大腸がんと診断されると報告されています。(日本医師会ホームページより)
つまり陽性の人でも95%以上はがんではないのです。しかし「95%以上が問題ないなら、自分もきっと大丈夫だろう」と考えて何もしないのは禁物です。大腸がんは症状がないごく早期のうちに発見し適切な治療を受ければ100%に近い確率で治りますが、放置すれば、治るはずのがんを進行させることになりかねません。便潜血検査で陽性の人が精密検査を受けた場合、受けなかった人より生存率が平均5倍も高いという研究結果もあります。大腸がんは、かかる人、亡くなる人、ともに年々増加しており、肺がんに続き、死因の第2位となっています。ですので、早期発見、早期治療が大切になります。
そして、便潜血陽性が出た時には、必ず大腸カメラを受けましょう。便潜血検査で1回でも陽性なら、大腸カメラを受けておきましょう。医師によってはもう一度便潜血検査をして陰性なら経過観察をすることもあるようですが、基本的にはその方針はお勧めできません。便潜血反応による大腸癌検出率は,進行癌で60~75%、早期癌で30~40%であり、2日間連続検査法を行うことで10~15%程度検出率が改善するとされています。つまり、進行大腸がんでも10~20%が陰性と、早期大腸がんにいたっては約50%が陰性になるというデータがあります。
すなわち『便潜血検査が陰性だからと大腸がんがないとはいい切れない』ということです。
そのため初期の段階で確実に見つけるのには、大腸内視鏡検査による精密検査を行う必要があります。
ピロリ菌
ピロリ菌は、胃の粘膜に生息しているらせん形をした細菌であり、胃炎や胃潰瘍、胃がんなどの胃の病気に深く関っていることが明らかにされてきました。子供の頃に感染し、一度感染すると多くの場合、除菌しない限り胃の中に棲みつづけます。ピロリ菌に感染すると、炎症が続きますが、この時点では、症状のない人がほとんどです。
ピロリ菌はウレアーゼをだして、胃の中の尿素を分解してアンモニア(アルカリ性)のバリアを作り、胃の表面まで移動することができます。食べ物の消化を助け、食べ物の腐敗を防ぐ胃液には、金属でも溶かしてしまう強い酸(塩酸)が含まれているため、胃の中は強い酸性(pH1~2)で、通常の菌は生息できません。ピロリ菌が活動するのに最適なpHは6~7で、4以下では、ピロリ菌は生きられません。
しかし、ピロリ菌がだしている「ウレアーゼ」という酵素が胃の中の尿素を分解してアンモニアを作りだし、アンモニアはアルカリ性なので、ピロリ菌のまわりの胃酸が中和され、生息できるのです。
最近の研究から、ピロリ菌の感染経路が口からであることは違いないようです。ただし、上下水道の完備など生活環境が整備された現代日本では、生水を飲んでピロリ菌に感染することはないと考えられています。また、大人になってからの日常生活・食生活ではピロリ菌の感染は起こらないと考えられます。
ピロリ菌は、ほとんどが幼児期に感染すると言われています。幼児期の胃の中は酸性が弱く、ピロリ菌が生きのびやすいためです。そのため最近では母から子へなどの家庭内感染が疑われていますので、ピロリ菌に感染している大人から小さい子どもへの食べ物の口移しなどには注意が必要です。
胃がんとピロリ菌は密接に関係しているといわれています。また、胃潰瘍、十二指腸潰瘍や胃炎などの患者さまを対象としたわが国の調査では、10年間で胃がんになった人の割合は、ピロリ菌に感染していない人では0%(280人中0人)、ピロリ菌に感染している人では2.9%(1246人中36人)であったと報告されています。
ピロリ菌を除菌すると、新しい胃がんが発生する確率を減らすことができる可能性があります。早期胃がん治療後、ピロリ菌を除菌することで、 除菌をしなかった患者さまと比較して3年以内の新しい胃がんの発生率は約3分の1でした。
ピロリ菌感染者で、萎縮性胃炎を有している人について検討したところ、食塩を多く摂取している人ほど胃がんの発生が多かったと報告されています。
野菜や果物には、カロチノイドやビタミンCなどの発がんを抑制するといわれる成分が豊富に含まれています。WHO(世界保健機関)は「野菜・果物をほぼ確実に胃がんのリスクを軽減するもの」としていますので、野菜・果物は少なくとも毎日1回は食べたほうがよいと考えられます。
がんを防ぐために気をつけること
- たばこを吸っている人は禁煙をしましょう。吸わない人も他人のたばこの煙を避けましょう。
- 飲む場合は1日当たりアルコール量に換算して約23g程度まで(日本酒なら1合、ビールなら大瓶1本、焼酎や泡盛なら1合の2/3、ウイスキーやブランデーならダブル1杯、ワインならボトル1/3程度)、飲まない人、飲めない人は無理に飲まないようにしましょう。
- 食塩は1日当たり男性8g、女性7g 未満、特に、高塩分食品(たとえば塩辛、練りうになど)は週 に1 回以内に控えましょう。野菜や果物不足にならないようにしましょう。 飲食物を熱い状態でとらないようにしましょう。
- たとえば、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分行いましょう。また、息がはずみ汗をかく程度の運動は1週間に60分程度行いましょう。
- 中高年期男性のBMI(体重kg/身長m2)で21~27、中高年期女性では21~25の範囲内になるように体重をコントロールしましょう。
- 地域の保健所や医療機関で、1度は肝炎ウイルスの検査を受けましょう。機会があればピロリ菌感染検査を受けましょう。
- 1年または2年に1回定期的に検診を受けましょう。検診は早期発見に有効で、前がん状態も発見できます。
- やせる、顔色が悪い、貧血がある、下血やおりものがある、咳が続く、食欲がない、などの症状に気がついたら、かかりつけ医などを受診しましょう。
風 邪
空気の通り道である鼻やのど、気管支などの粘膜表面から、鼻水やたんなどの水分が大量に分泌して炎症を起こした状態です。原因微生物の約90%はウイルスが占めており、残りの約10%は細菌、マイコプラズマ、クラミジアなどウイルス以外による感染です。風邪(かぜ)ウイルスの数は200種類以上といわれており、どのウイルスが原因で起こったのかを特定することは困難です。
風邪を引き起こす主なウイルス(インフルエンザ以外)
- ライノウイルス
- コロナウイルス※
- 新型コロナウイルスを除く。
- 新型コロナウイルスは従来のかぜウイルスとは症状や伝染力が異なります。
- 感染したことが判明した際には、必ず各都道府県自治体の対応方針に従ってください。
- RSウイルス
- パラインフルエンザウイルス
- アデノウイルス
- エンテロウイルス
日常生活から考えられる原因
- 風邪をひいている人からの直接感染
- 感染源に触れたことによる間接感染
- 免疫力の低下
風邪(感冒)の症状
- 鼻水、せき、くしゃみ
- たん
- のどの炎症
- 発熱
- 頭痛、筋肉痛
- 口内炎
- 下痢・嘔吐
風邪が引き起こす疾患
- 扁桃炎(へんとうえん)
- 肺炎
- 以上の疾患は、医師の診断が必要です。下記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。
日常生活でできる予防法
- バランスのとれた食事をとる
- しっかり睡眠をとる
- 手洗いとうがいの習慣をつける
- 室温、湿度を調整する
- タバコを控える
- 冷房を効かせすぎない
対処法
- マスクをする
- 生活習慣を改善する
- 市販の薬を使う
- 病院で診察を受ける
インフルエンザ
インフルエンザは、インフルエンザウイルスがのどや気管支、肺で感染・増殖することによって発症する病気です。インフルエンザの発症者は0~9歳の小児が約半数を占めており、風邪に比べて症状が重く、乳幼児や高齢者では重症化することもあります。インフルエンザによる死亡者は65歳以上の高齢者が大部分を占めているといわれています。
種類
インフルエンザの原因となるインフルエンザウイルスは、大きく分けて、A型、B型、C型の3つに分類されます。このうち、「季節性」のインフルエンザとしてヒトの間で毎年流行を繰り返しているのは、A型のA/H1N1型(ソ連型)とA/H3N2型(香港型)、そしてB型のウイルスでした。これらのウイルスうち、A型とB型の感染力はとても強く、日本では毎年約1千万人、およそ10人に1人が感染しています。インフルエンザにかかっても、軽症で回復する人もいますが、中には、肺炎や脳症などを併発して重症化してしまう人もいます。
重症化する危険性が高い人
- 高齢者
- 幼児
- 妊娠中の女性
- 持病のある方(喘息のある人・慢性呼吸器疾患(COPD)・慢性心疾患のある人・糖尿病など代謝性疾患のある人 など)
流行時期
季節性のインフルエンザは、例年11~12月頃に流行が始まり、1~3月にピークを迎えます。
感染経路
インフルエンザウイルスの感染経路は、飛沫感染(ひまつかんせん)と接触感染の2つがあります。インフルエンザを予防するためには、こうした感染経路を絶つことが重要です。
症状
インフルエンザウイルスに感染した場合は、約1~3日の潜伏期間の後、突然の38℃以上の「高熱」や全身倦怠感、食欲不振などの「全身症状」が強く現れます。やや遅れて、咳(せき)やのどの痛み、鼻水などの「呼吸器症状」が現れ、腰痛や悪心(吐き気)などの「消化器症状」を訴えることもあります。関節痛、筋肉痛、頭痛も現れます。通常は、10日前後で症状が落ち着き、治癒します。
乳幼児や高齢者、基礎疾患を持つ方の中には、肺炎を併発したり、基礎疾患の悪化を招く場合があります。特に、幼児や高齢者、持病のある方、妊娠中の女性は、肺炎や脳症などの合併症が現れるなど、重症化する可能性があります。
- 発熱12時間未満の場合、検査の結果が陽性にならないことがあります。(検査は発熱後12時間以上経過してから受けることをおすすめします)
インフルエンザの合併症
インフルエンザが重症化すると、小児では「インフルエンザ脳症」、高齢者では「二次性細菌性肺炎」などの合併症を発症する可能性があるため、注意が必要です。
インフルエンザにかからないために
- 安静にして休養をとり、特に睡眠を十分にとる。
- 高熱によって脱水症状が起こらないように、お茶やジュース、スープなど、自分が飲みたいもので構わないので、十分な水分をしっかり補給することが大切です。
- 人ごみや繁華街への外出を控え、無理して学校や職場などに行かない。
- 部屋の温度や湿度を適切に保つ。(気温18~20℃、湿度50~60%程度)
- 外出先から帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手洗い・うがいをする。
- 周りの人に感染させないためにもマスクを着用する。
ヘルペス
ヘルペスとは皮膚に小さな水ぶくれが集まって炎症を起こしている状態のことです。
ヘルペスウイルスに感染したことで水ぶくれを引き起こします。ヘルペスウイルスはいくつか種類があり、例えば水ぼうそうや帯状疱疹は「水痘・帯状疱疹ウイルス」が原因であり、口唇ヘルペスや性器ヘルペスは「単純ヘルペスウイルス」によって引き起こされます。
ヘルペスウイルスは、ヘルペスウイルス科として8種類存在します。一般的には、口唇ヘルペスを引き起こす単純ヘルペスウイルス(HSV)と、いわゆる「胴巻き」といわれる帯状疱疹を引き起こす水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の2種類を「ヘルペス」と呼ぶことが多いです。
単純ヘルペスウイルス(HSV)
HSV感染症として、口唇ヘルペス(口の周りにできるヘルペス)と性器ヘルペス(陰部にできるヘルペス)が有名であり、どちらも体の疲れなどにより症状(液体で満たされた痛みを伴う小さな水ぶくれ)を頻回に繰り返しやすいという特徴があります。ヘルペスウイルスは非常に感染力が強く、水ぶくれに直接触れるだけでなく、ウイルスの付いた粘膜や皮膚と接触することによっても感染します。
原因
単純ヘルペスウイルスというウイルスはHSV‐1とHSV-2の2種類の型に分けられるが、口唇ヘルペスにはHSV-1が関与することが多いです。水疱内の透明な液や、皮膚のただれた部分、唾液、ウイルスが付着した手指や器具から接触感染します。
そのほか、患者さまのくしゃみや咳、会話中のウイルスを含んだつばがすぐ近くにいる人の皮膚や口・鼻などの粘膜に直接付着して感染する飛沫感染もあります。単純ヘルペスウイルスは多くは子どもの頃に感染することが多いといわれていますが大人になってから感染する場合もあります。
症状
口唇ヘルペスは唇や口の周りがピリピリし、チクチクするような痛みや違和感を伴います。また部分的に赤く腫れあがり、小さい水ぶくれが出たりただれたりします。
治療
治療については軽症ならば抗ヘルペスウイルス薬のアシクロビルやビダラビンを塗布します。重症ならばファムシクロビルやバラシクロビルなどの抗ヘルペスウイルス薬を内服します。疲労、風邪、ストレス、紫外線、生理などで体の免疫力が下がったときに唇や口の周りにウイルスが皮膚へ移動すると再発します。抗ウイルス薬は神経節に潜んでいるウイルスに対しては効果がなく、単純ヘルペスウイルス感染症を根本的に治す薬は今のところないため、再発を防ぐ意味でも休息は大切です。単純ヘルペスに対するワクチンは現時点ではありません。
水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)
VZV感染症として、水痘(水ぼうそう)と帯状疱疹があります。
水痘(水ぼうそう)はウイルスが初めて感染した時に発症するもので、一生に1回経験するものです。
従来は子供に多い病気でしたが、最近は水痘ワクチンが定期接種化されたため、ワクチン接種により水痘(水ぼうそう)の発生が激減しています。水痘(水ぼうそう)は空気感染しますので、水痘(水ぼうそう)と診断された方は隔離が必要です。
一方、帯状疱疹は、60歳以上の方に発症しやすいもので、神経に沿って、ピリピリとした強い痛みと、水疱ができるのが特徴です。水痘・帯状疱疹ウイルスは、感染者の体内でウイルスに対する抗体がつくられ、水ぼうそうが治癒した後、神経の根元にある神経節に潜伏します。
普段は抗体の力で押さえ込まれていますが、病気や疲労・ストレスなど免疫力を低下させる要因が重なると、ウイルスは再度活性化して増殖し、深いところにある知覚神経を通って表面の皮膚に作用し、痛みを伴なった水疱の群れを作ります。これが、帯状疱疹です。帯状疱疹は、脇の下から胸部・腹部にかけてと、額からまぶた・鼻にかけて症状がでやすく、神経に沿って身体の左右のどちらか一方に、帯状になって症状がでるのが特徴です。
帯状疱疹は、通常、病変部を直接触らない限りはうつりません。さらに、帯状疱疹から別の方に帯状疱疹としてうつることはなく、水痘(水ぼうそう)としてうつることがありますので、水痘(水ぼうそう)になったことのない小さいお子さんには接触に注意が必要です。
頭 痛
最近の調査では、頭痛もちの人は15歳以上の日本人の約40%という結果が出ています。
頭痛には大きく分けて「慢性頭痛」、「急性頭痛」、「その他の頭痛」の3つがあります。
頭痛は、主に頭の血管と肩や首、後頭部の筋肉の問題で起こります。
緊張型頭痛は、主に肩や首、後頭部の筋肉や神経の緊張が原因と考えられ、片頭痛は、頭の血管のまわりにある三叉神経が刺激され、いろいろな物質が出てきて血管を拡げ、頭痛をひき起こしていると考えられています。 群発頭痛は、頭の血管の拡張が原因です。
慢性頭痛
他の病気と関係なく、毎日あるいは1週間おきなど、周期的に繰り返して起こる頭痛です。
日本人の15歳以上を対象にした調査では、緊張型頭痛が圧倒的に多く22%で慢性頭痛の約半数を占め、次いで片頭痛が8.4%でした。つまり840万人が片頭痛と推定されています。命にかかわることはありませんが、日常生活に支障を来すこともあります。慢性頭痛には、以下の種類があります。
- 緊張型頭痛
- 片頭痛
- 群発頭痛
- 薬物乱用頭痛
急性頭痛
危険な頭痛の特徴
- 今までに経験したことのないほど激しい頭痛
- 突然に起こった頭痛(突発完成型)
- 早朝頭痛ないし朝方に起こる頭痛(目覚まし型)
- 強烈な頭痛
- 長期間続く頭痛
- 日ごとにだんだんひどくなる頭痛
- 麻痺・しびれを伴う頭痛
- 意識が冒されたり、わけのわからないことを言う頭痛
- 言葉が喋りにくい、呂律が回らない頭痛
- ボケを伴う頭痛
- 視力が弱くなったり、ものが二重に見える頭痛
- めまいや嘔吐を伴う頭痛
- いきんだり、頭を振るとひどくなる頭痛
- 高熱を伴う頭痛
頭痛は大きく分けて2種類あり、頭蓋内病変(頭の中の病気)とは関連のない一次性頭痛と頭蓋内病変が原因の二次性頭痛があります。
一次性頭痛には片頭痛や筋緊張型頭痛、群発頭痛、後頭神経痛などがあります。
二次性頭痛がいわゆるこわい頭痛です。例えばくも膜下出血、脳腫瘍、脳血管解離などが挙げられます。
その他にも頭を打った数か月後に出現する慢性硬膜下血腫、鼻の中の病気である副鼻腔炎(蓄膿)、髄膜炎などがあります。
「こわい頭痛」である二次性頭痛の代表的な病気は以下となります。
- くも膜下出血(脳動脈瘤破裂、血管解離)
- 未破裂脳動脈瘤
- 椎骨動脈解離
- 脳出血
- 髄膜炎
- 慢性硬膜下血腫
- 高血圧
- 副鼻腔炎
- 帯状疱疹
- 側頭動脈炎
めまい
めまいは、現代女性に増えている不調の1つです。
全般的にめまいの引き金になる要素としては、以下のとおりです。
- 慢性的な疲労や睡眠不足
- 人間関係のトラブル
- 冷房・暖房の効いたオフィスで過ごすことによる体のアンバランス
- 食生活の乱れ
- 運動不足
自律神経の乱れによるめまい
女性に多いめまいの1つに、自律神経の乱れによるものがあります。
自律神経は呼吸や消化、血流などをコントロールする神経。ストレスがかかったり、女性ホルモンのバランスが崩れたりすると、血圧の調節機能などがうまく働かなくなり、その結果、めまいなどの症状を起こすことになります。
女性には低血圧の人や貧血の人が多く、これも女性のめまいの大きな原因となっています。月経、妊娠、出産、授乳などのほか、ダイエットや栄養バランスの悪い食事も鉄分不足による貧血を招きやすいので注意が必要です。
急に立ち上がったり、起きあがったりしたときに、血圧が下がり(普通は一定の値を保つように調節される)、脳への血液が不足することによって起立性調節障害が起こります。
もともと血圧が低い低血圧症の女性で、自律神経系のコントロールがうまくいかない状態を起立性低血圧症といいます。
血圧が下がりすぎてしまうとうまく血液が循環せず、特に脳への血液が不足し、一次的に虚血状態に陥ることを俗に脳貧血と呼んでいます。しかし、体質的に低血圧の場合は特に治療の必要はありません。血圧がさらに下がらないよう栄養バランスの取れた食事をとり、適度な運動と十分な睡眠をとって規則正しい生活をすることで改善できます。
一方、「貧血」は、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの材料となる鉄分の不足で、ヘモグロビンの量が少ない状態で、体内に酸素が十分に行き渡らない状態のことです。
鉄は全身における酸素運搬を担うヘモグロビンを構成していますので、その不足によりヘモグロビン値も低下し、心臓から遠く、かつ体の中で最も酸素に敏感な脳が、酸欠状態になり、めまい感やたちくらみを起こします。
貧血の場合はこの他に、息切れ、動悸、だるさ、疲れやすい等の症状を伴います。
女性ホルモンの不足によるめまい
女性ホルモンが減少する更年期には、自律神経のバランスが崩れやすく、めまいが起こりやすくなります。
めまいは30代半ば~40代半ばのプレ更年期の人にも多い症状ですが、この年代ではホルモンの減少よりもストレスや過労が原因であることが多いようです。
更年期障害や月経前症候群など、女性ホルモンのバランスの乱れによるめまいの治療は、精神的な安定を目的に精神安定剤や血流の循環を良くするための循環改善剤、漢方薬などが処方されます。診断結果、女性ホルモンが足りない状態であれば、低用量ピルなどのホルモン剤を服用します。
女性ホルモンが不足して、めまいを起こしている場合、治まるまでに時間がかかることがありますが、ホルモン剤の助けを借りながら、女性ホルモンの分泌が安定してくるので、めまいの症状が緩和されていきます。
ストレス、不安によるめまいの悪化
ストレス、不安はめまいを悪化させることがあります!精神的に不安なことがあると、めまいが治まらないことがあります。ストレスが多い女性ほどめまいの症状が悪くなる傾向にあるようです。仕事など生活のリズムを調整して、過労や睡眠不足がない生活を心がけてください。
老化による後方重心姿勢の強調に原因があると考えています。もちろん、個人差はありますが40代以降、重力による姿勢変化が始まります。70代以降特に骨格が華奢(きゃしゃ)な女性には、日本人の骨格に由来する後方重心姿勢が顕著となり、胸部の湾曲は増大し、胸郭圧や腹圧の障害が顕在化します。
これらの要因が、体腔内圧を高めることからリンパ循環や自律神経の促通に障害を与え、めまいの症状を誘発していくものと考えられます。
逆流性食道炎
通常、おなかの中央部辺りからのどの方に突き上げるような、焼ける感じを言います。人によっては、食道の下の辺りがチリチリする、圧迫感がある、胸がつかえる、などと訴えることもあります。基本的に胸焼けの直接の原因は、胃酸が食道に逆流してしまうことによって、食道に炎症が起こるというものです。
そして、その胃酸の逆流が起こる症状の原因が、皆さんも良くご存知の通り、暴飲暴食なのです。胸焼けの対策とは、すなわち胃酸の逆流をいかにして防ぐかということになります。胃酸の逆流を防ぐためには、やはりその原因である暴飲暴食をしないことが一番です。減量やストレス改善も効果的です。
また、ひどい胸焼けの場合にも、胃酸を抑える薬を飲めば、ぴたりと止まることがあります。胃酸は胃液に含まれるもので、pH2という強い酸性を示し、消化や殺菌を助ける作用があります。そこで、胃自体が酸で溶かされないように、胃の内側は特別の粘液で守られています。だが、食道の粘膜にはそのような機能がありません。そのため、胃酸が食道に上がってくると、粘膜に炎症が起こるわけです。
逆流の原因
「食道と胃の接続部には、下部食道括約部(逆流を防ぐ弁)がありますが、それが緩むと逆流しやすくなるのです。この弁は、加齢や肥満、あるいは満腹で胃が広がった場合に、一過性で緩みます。
また、食道裂孔ヘルニア(胃の一部が胸腔=きょうくう=側に上がってくる病気)があると、やはり弁が緩みます。
まれに、胃や十二指腸のかいようが原因で、胃酸が逆流することもあります。
胃酸が食道に逆流する原因は、大きく分けて2つ。
1つは、胃酸の出すぎ、もう1つは、強い圧力が胃にかかるためです。
胃酸の出すぎは、暴飲暴食のほか、精神的ストレスによることも多いです。実際に、ストレスの多い仕事を抱えると、胸の中心に鈍い痛みが走ることがあります。これもまた胸焼けの一種です。
強い圧力が胃にかかるのは、肥満が原因であることが多いです。腹部の脂肪が多いと、胃に対して大きな圧力がかかるため、胃酸が逆流しやすくなるからです。しゃがんだ姿勢で作業をしたり、背中を丸めた状態でデスクワークを続けると、やはり胃への圧力が高まって、胸焼けが起きやすくなります。
日常のケア
まず、食べ過ぎ飲み過ぎを避けるべきです。飲食物では、下部食道括約部を緩めるチョコレートや、酸分泌を促進するコーヒーは、控えた方がいいのです。また、ミカンなど酸の多い食べ物を食べ過ぎないことです。
家庭では、食道が胃の上に位置する姿勢で過ごすことを心掛け、就寝の2時間前には食事を済ませてください。このほか、帯やガードルでおなかを圧迫しないように。肥満の人は適正体重に減量すべきです。こうした心掛けは、予防にもつながります。
病的な胸焼けを見分けるには
市販の胃腸薬で治まる程度なら問題はありませんが、胸焼けが、耐え難いようなときや、頻繁に起こる場合は、最寄りの消化器科か内科で受診した方がいいのです。
胸焼けを起こす病気
- 空気嚥下症
- 神経性食欲低下症
- 逆流性食道炎
- 胃酸過多症
- 食道裂孔ヘルニア
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- 慢性胃炎
- 胃がん
- 胆石症
- 胆嚢炎 など
診断
通常は、内視鏡検査で行います。日本人に多い胃がんや、食道がんの早期発見のためにも、内視鏡検査のできる医療施設で受診した方がいいと思います。軽い胸焼けならば、生活習慣を改めるだけで、かなり改善できます。
以下の4つの点に注意してください。
- 暴飲暴食をしない
- リラックスして食事をとる
- 肥満を解消する
- 食事中や食後の姿勢に注意する
嘔 吐
吐き気とは広い意味では、めまい、腹部全体の不快感、食欲不振、嘔吐感などの不快な感覚です。吐き気と嘔吐には、延髄の網様体にある「嘔吐中枢」と嘔吐中枢の近くに存在します。
化学受容体誘発帯(chemoreception trigger zone;CTZ)」が関与していると言われています。脳の嘔吐中枢が刺激されると吐き気が起こります。
一般的には、消化管の働きが乱れることで吐き気が起こります。船、自動車、飛行機の揺れによっても吐き気が起こることがあります。また、妊娠中(特に妊娠初期の早朝)にも吐き気が生じます。モルヒネなどのオピオイド鎮痛薬や、癌の化学療法薬など、吐き気を引き起こす薬もたくさんあります。
嘔吐とは、胃の中の食べ物や胃液などを口から吐き出すことを言います。嘔吐に先立って起こるむかつくような不快感を吐き気または悪心と言います。その際に生つばが出たり、脈が速くなって顔色が蒼くなり、あるいは冷や汗、生あくびなどが出たりして、上腹部の不快感などの症状を伴うことが多いのです。
しかし、嘔吐にはその吐き気を伴うものの他に吐き気を伴わずに突然吐くものがあります。すなわち吐き気を伴う嘔吐は、胃や腸、肝臓などの消化器に原因があって起こることが多く、吐き気を伴わない嘔吐は神経系に障害があって起こることが多いのです。
腹痛を伴って吐き気がしたり嘔吐する疾患では、発熱があって下痢をする場合は食中毒や赤痢などが多く、ウイルス肝炎などもあります。また急性虫垂炎や胆嚢炎、急性膵炎などの急性疾患があります。熱がなく腹痛を伴う場合では急性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胆石症や腸閉塞などがあります。
また食道疾患や腹部のヘルニア、尿毒症や薬の副作用などでも起こり、婦人科疾患で起こることもあります。
頭痛を伴う吐き気や嘔吐を来す疾患では脳出血、脳梗塞や偏頭痛などがあり、その他脳腫瘍のこともあります。
めまいを伴う疾患ではメニエール病などの耳鼻科的疾患があります。小腸に閉塞があると、飲食物が閉塞部分から胃に戻るため、嘔吐が起こりますが、また、胃、小腸、胆嚢の刺激や炎症でも嘔吐が起こります。
心理的な原因でも吐き気や嘔吐が起こります(機能性嘔吐あるいは心因性嘔吐といいます)。心理的な原因による嘔吐には、意図的なものとそうでないものとがあります。意図的でないものは、登校拒否でみられる嘔吐のように、心理的な困難に対処するために条件反射として生じます。
吐き気と嘔吐をきたす疾患
- 急性虫垂炎
- 急性腹膜炎
- 腸閉塞(イレウス)
- 急性胃炎
- 胃・十二指腸潰瘍
- 慢性膵炎
- 急性ウイルス性肝炎
- 緑内障
- 脳腫瘍
- 慢性硬膜下血腫
- 脳出血、くも膜下出血
- くすりによる副作用
下 痢
慢性下痢
1日に消化管に入ってくる水分の量は、経口摂取と分泌される消化液で約10lです。そのほとんどが小腸で吸収され、糞便としては約0・1~0・2l排泄されます。腸管に流入する単位時間あたりの水分量(大腸の1日あたりの最大水分吸収能は5~6l)が、その吸収能力を超えると下痢になります。
下痢とは、便の水分量が増えて、液状から泥状またはそれに近い状態になったものとされ、慢性下痢の人は約3%とされています。症状が3週間以上続く時には慢性下痢といわれます。
下痢には様々な原因があります。
- 冷たい食品、飲料の過剰摂取
- 暴飲飽食による消化不良
- ストレス性
- 香辛料などの刺激物の過剰摂取
- 早食いでの消化不良
- 寝冷えや冷房などでの冷え
- 薬剤などによる副作用
- ウイルス性
浸透圧性下痢
腸管に吸収されない食べ物や薬剤により浸透圧が上昇し、水分と電解質が腸管内に移行することによって起こります。
分泌性下痢
細菌の毒素やウイルス、胆汁酸や脂肪酸、ホルモンなどによる腸管からの水分の分泌亢進により起こります。
腸管粘膜障害による下痢
炎症性腸疾患や細菌などにより腸管から滲出液(しんしゅつえき)や血液が排出されることによって起こります。
腸管運動異常による下痢
腸管運動の亢進や低下によって起こります。
過敏性腸症候群による下痢
最近増えているのが、自律神経の乱れが原因で起こる過敏性腸症候群による下痢です。
その病態は器質的疾患を伴わず、腹痛・腹部不快感と便通異常(下痢、便秘)を主体とし、それらの消化器症状が長期間持続もしくは悪化・改善を繰り返す疾患です。下痢で消化器科や胃腸科を受診する人の4~7割を過敏性腸症候群が占めています。
緊張すると誰でも汗をかいたり、ひざが震えたりします。下痢の原因はいくつかありますが、このような緊張や精神的な不安、ストレスが引き金となって下痢や腹痛を起こすのが「過敏性腸症候群」という現代病です。
過敏性腸症候群
下痢や便秘をくり返す過敏性腸症候群
大腸がんや潰瘍性大腸炎などの身体的な病気は存在しないのに、腹痛、腹部不快感、便通異常、残便感などの症状が存在する病気のことを言います。
一般的検査では異常所見はみられません。
「仕事中や会議中に急にお腹が痛くなる」
「通勤・通学の電車の中で腹部に不快感を感じて途中下車をしてしまう」
「便秘や下痢などの便通異常が慢性化している」
などのような症状があると疑います。
同時に消化管以外の症状、たとえば背部痛、腰痛、易疲労感、頭重感、めまい、倦怠感、不眠、不安感、抑うつ感などの症状を伴うこともあります。
日本人では思春期から50歳代に多くみられ、人口の20%の患者さんがいるといわれるほどポピュラーな病気です。
自律神経の乱れから腸がけいれん
腸の運動は自律神経によってコントロールされています。
口から入った食物は、胃を経て小腸、大腸と通過しながら消化・吸収されます。
そうして後に残ったものが、腸の運動によって直腸に運ばれると便意が起こるのですが、この間に自律神経のバランスが乱れることがあると、腸にけいれんが起きて排便のリズムが崩れ、腹痛や下痢、便秘といった過敏性腸症候群の症状がもたらされるのです。
自律神経のバランスを乱す主な原因は、緊張、不安といった精神的なストレスです。
過敏性腸症候群は、症状によって次の3つのタイプに大きくわけられます。
男性は下痢型、女性は便秘型が多くみられます。
下痢型
激しい腹痛があり、下痢便や軟便が1日に何回も出ます。
起床直後、朝食の後など自宅にいるときばかりでなく、通勤電車に乗っているとき、外出先などでも便意が起こるために、いつも公共トイレの場所が気になってしまいます。
男性に多いタイプといわれます。
便秘型
腹痛があり、トイレでの排便量は少なく、それもウサギのふんのようなコロコロした小さな便が便器に浮かびます。女性に多いタイプといわれます。
下痢・便秘交替型
下痢と便秘を数日ずつ交互にくり返すタイプで、全体ではこのタイプが最も多いといわれます。
いずれのタイプも、排便すると症状が改善すること、ストレスを感じると症状が悪化することが特徴的です。
生活指導
- ストレスをさける
- 好きな趣味に興じる時間をもつ
- 毎日ウォーキングのような軽い運動で汗をかき気分をすっきりさせる
- 規則正しい生活をおくる
- 夜更かしをせず、十分な睡眠・休養をとる
- 便意がなくても毎朝決まった時間にトイレに行く習慣をつける
- 食事をとる時間帯は3食ともできるだけ一定にする
食事療法
下痢型
高脂肪食、アルコール、カフェイン、香辛料、冷たい飲み物、発酵食品など、腸粘膜を刺激し下痢を悪化させる食品を避けます。
消化に悪い食品を避けます。
便秘型
アルコール、香辛料、炭酸飲料、脂肪分の多い食品など、刺激物を避けます。
便秘解消のために野菜や海藻類など食物繊維の多い食品を積極的にとり、ビタミンB、ビタミンCをとります。
下痢・便秘交替型
その時の腸の症状に合わせて食べるものを選びます。
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に広く浅く炎症が生じ、びらんや潰瘍ができる病気です。20~30代の若年成人に多く発症しますが、50~60代の人にもみられます。また、潰瘍性大腸炎を発症して10年以上たつと、大腸がんの発生する危険性が高くなります。
原因
大腸粘膜に対する異常な免疫反応、つまり、体のなかに異常な抗体ができ、これが自分の大腸粘膜を攻撃することなどが原因とされていますが、遺伝的素因や食生活、腸内細菌叢(そう)の変化などが複雑に絡み合っており、すべてが明らかになっているわけではありません。
肉体的、精神的ストレスで悪化することがあります。
症状
下痢、血便、粘血便、腹痛、発熱、頻脈、貧血、体重減少がおこります。
治療によって改善しても数カ月から数年後に再び悪化し、それを繰り返す場合(再燃緩解型)や、症状がだらだらとずっと続く場合(慢性持続型)などのタイプに分類されます。
診断
診断のためには大腸内視鏡検査が必要です。
潰瘍性大腸炎の炎症の特徴は、びまん性、連続性と表現され、大腸粘膜の全周にわたる炎症が直腸から連続してみられます。
炎症が直腸だけに限られている直腸炎型、直腸から大腸の左半分に広がっている左側大腸炎型、大腸全体に炎症のある全大腸炎型に分けられます。
潰瘍性大腸炎の大腸内視鏡像
治療
軽症の場合は、5-アミノサリチル酸製剤(サラゾピリン、ペンタサ、リアルダ)、ステロイド薬の内服を行います。これらの薬剤の坐薬を使用する場合もあります。重症の場合は入院し、免疫抑制薬を使用したり、ステロイド薬を静脈内投与します。腸管を安静にするため絶食とし、中心静脈栄養が必要になることもあります。これらの治療で改善しない時には、大腸を摘出する手術が必要になります。
自己管理
症状のある時には、高脂肪食や繊維質の多い食事を避け、アルコールや香辛料をひかえるようにします。
肉体的、精神的ストレスを多く受けないような自己管理も重要です。
厚生労働省の特定疾患に指定されているので、申請すると医療費の補助が受けられます。
便 秘
女性と便秘
厚生労働省の調査では、女性は男性の2.4倍も多く便秘に悩んでいるとの結果がでています。
女性の月経・排卵には、卵胞ホルモンと黄体ホルモンという女性ホルモンが関係しています。このうち、黄体ホルモン(プロジェストロン)は生理の約2週間前くらいから分泌されますが、この女性ホルモンには、大腸の蠕動(ぜんどう)運動を抑える作用があります。蠕動運動とは、腸が食べた物を肛門まで移動させるために、収縮したり伸びたりする腸の運動のことをいい、この運動が鈍ると便は腸内に止まってしまうために便秘となります。
黄体ホルモンはまた、体内の水分やミネラル分を溜め込むよう指示を出しますので、この結果、大腸の腸壁から水分が普段よりも増して吸収されるため、大腸内の便が硬くなり排便されず便秘となるのです。さらに、黄体ホルモンは、妊娠したとき、流産しないように子宮筋の収縮を抑制する働きもあるので、それが腸を動かす筋肉にも影響を及ぼし、その結果、腸の動きが鈍って一層便が排泄されにくくなるのです。
このように、女性においては女性ホルモンの影響で、生理前の便秘や妊娠中の便秘が起こりやすくなるのです。
女性ホルモンによる便秘では、普段以上に水分の補給に心掛けましょう。また、腸の蠕動運動を刺激するために、冷たい水が便秘に有効な場合もあります。
水分不足による便秘
日本人の便は大体7~8割が水分です。残りの1~2割くらいが腸内細菌の死骸、食べ物の残りかすが1割強、残りは脂肪やその他のものという構成になっています。
ダイエットによって便の量が少なくなりますと、相対的に便の水分量が減り、硬い便となって便秘を起こしますし、また、少ない便の量は、腸の蠕動運動を弱めてしまい、さらに便秘が悪化する原因となります。
このタイプの便秘は、取り分け、若い女性あるいは結婚前の女性に多くみられます。水分が不足すると、便が硬くなって便が移動しずらくなりますし、あまりに脂肪分を控え過ぎると、便のすべりが悪くなるということも起こり得ます。
偏った食生活、ストレス、過労、食物繊維の少ない食事、不規則な生活でも便秘は悪化しがち。できるだけ規則正しい生活習慣を心がけてください。
女性は男性と比較して骨盤が広いです。これは女性特有の器官である子宮が存在しているためだとされています。
骨盤が広いことによって腸は骨盤に落ち込みやすくなります。骨盤に落ち込んだ腸は不自然な曲がりが生じてたるみやすくなります。腸にたるみが生じるということは、便がその分長い時間を掛けて腸を通過する必要があるということ。
便というのは小腸の段階ではかなり多くの水分を含んでいます。大腸に送られた便が水分を吸収することによって便として形成されていくのですが、腸を通過する時間がかかればかかるだけ水分はどんどん吸収されてしまうため便が硬くなりやすくなり、排便しにくい、つまり便秘になりやすくなります。
筋力不足による便秘
女性は男性よりも筋力が低いという点も便秘とつながりがあります。筋力が弱いため、胃下垂や内臓下垂がおこりやすいようです。下垂した臓器に腸が圧迫されると便秘になりやすいですし、筋力が弱いこと自体が腸の運動が鈍くなる原因になると思われます。排便を行うためには、腹筋や横隔膜の筋肉が必要です。
更年期になると、女性ホルモンのバランスが崩れることにより便秘になりやすくなります。これは、女性ホルモンの低下など、女性の体が閉経に向けて大きく変化する過程で、自律神経が不安定となり、その結果、便秘になるものです。自律神経は腸管運動を支配していますので、閉経による自律神経が不安定となりますと便秘が起こる原因となります。
女性ホルモンの低下による便秘
更年期になると、女性ホルモンのバランスが崩れることにより便秘になりやすくなります。これは、女性ホルモンの低下など、女性の体が閉経に向けて大きく変化する過程で、自律神経が不安定となり、その結果、便秘になるものです。自律神経は腸管運動を支配していますので、閉経による自律神経が不安定となりますと便秘が起こる原因となります。
膀胱炎
膀胱炎とは、膀胱に大腸菌やセラチア菌などの細菌が侵入し、どんどん繁殖して炎症を起こす病気で、女性の罹患率が高く、女性にとって大変ポピュラーな病気です。
膀胱炎になると、尿を出し切った直後、または排尿が終わる頃からしみるような強い痛みが出ます。また、残尿感があり、頻繁にトイレに行きたくなります。下腹部に痛みが出ることもあります。ひどくなると、痛みや残尿感が増し、白くにごった尿が出たり、尿に血が混じったりします。
膀胱炎の場合、通常発熱はありません。排尿時の痛みだけでなく、高熱が出たり、腰痛があったりする場合は、腎臓の腎盂まで炎症が広がり、腎盂腎炎になっている恐れがあります。
原因
腎臓でつくられた尿は尿道を通って、膀胱に貯められ、体外へ排泄されますが、膀胱炎の原因は尿道から侵入する細菌に感染することです。
女性に膀胱炎が多いのは、男性に比べて尿道が短く、3、4cmしかないため、細菌が膀胱内に侵入しやすいからです。
膀胱炎の原因になる細菌の中で一番多い、大腸菌が、肛門と尿道が近いために、侵入しやすいと言えます。トイレでは、前から後ろに向って拭くようにしましょう。
膀胱は本来、細菌に対する抵抗力・免疫力を持っていますが、病気やダイエット、過労で体力が落ちているときや、ストレスがたまっているとき、生理が終わったあとや、不潔な性行為をしたあとなどに膀胱炎にかかりやすくなります。
治療法
細菌性の膀胱炎の場合、抗生剤を3日ほど服用すれば症状は治まってきます。症状が治まってもすぐ薬を中止しないで、主治医が指示する期間(1週間前後)は、服用を続けましょう。きちんと治しておかないと、慢性化したり、再発を繰り返す場合が多いからです。もし薬が効かない場合は、血液検査や細菌検査などを行って薬を変えてもらいます。
また、尿の量を増やし、細菌を洗い流すために、水分を十分とることも大切です。
予防法
膀胱炎を防ぐには、次のようなことに気をつけましょう。
- 過労や極端なダイエットを避け、精神的なストレスを溜めないようにする。
- 細菌が体外から侵入しないよう、外陰部をいつも清潔にしておく。
- 水分を十分取る。
- 排尿を長時間我慢しない。
- 下腹部を冷やさない。
甲状腺
甲状腺機能低下症とは
体全体の新陳代謝を促す甲状腺ホルモンが、何らかの原因によって不足している状態をいいます。
甲状腺はのどぼとけの下にある蝶(チョウ)が羽を広げた形をした臓器で、甲状腺ホルモンというホルモンを作っています。このホルモンは、血液の流れに乗って心臓や肝臓、腎臓、脳など体のいろいろな臓器に運ばれて、身体の新陳代謝を盛んにするなど大切な働きをしています。甲状腺ホルモンは新陳代謝を促進するほかにも、脳や胃腸の活性化、体温の調節などの役割があり、活動のために必要なエネルギーを作っています。
甲状腺ホルモンの産生は脳下垂体より分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)により調節されます。「甲状腺機能低下症」とは、血中の甲状腺ホルモン作用が必要よりも低下した状態です。
症状
甲状腺機能低下症による症状には、一般的に活動性が鈍くなり、体温が低くなるほか、全身のだるさや眠さ、汗をかかない、食欲が低下する、抑うつ、指で押しても跡を残さないむくみ、声帯がむくむために声がかすれる、無気力、寒がり、体重増加、動作緩慢、記憶力低下、認知症、消化管運動の低下により便秘、心臓機能の低下により脈が遅くなる、皮膚が乾燥する、髪の毛が抜ける、眉毛が抜けるなどがあります。
女性に多くみられ、40歳以降の女性の約1%が発症するといわれています。軽度の甲状腺機能低下症では症状や所見に乏しいことも多いです。甲状腺機能低下症が強くなると、重症例では心臓の周りに水が溜まり、心機能に影響を及ぼすこともあります。(粘液水腫) 傾眠、意識障害をきたし、粘液水腫性昏睡と呼ばれます。
甲状腺全体が腫れる場合もありバセドウ病による腫れとは違って硬く表面がゴツゴツした状態になることもあります。
また、甲状腺ホルモンは、代謝の調節以外にも、妊娠の成立や維持、子供の成長や発達に重要なホルモンなので、甲状腺機能低下症では、月経異常や不妊、流早産や妊娠高血圧症候群などと関連し、胎児や乳児あるいは小児期の成長や発達の遅れとも関連してきます。
検査・診断
血液検査で甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモンを調べます。甲状腺ホルモンの値が正常よりも低ければ甲状腺機能低下症と診断されます。
甲状腺ホルモン値は正常でも甲状腺刺激ホルモンが高い場合は潜在性甲状腺機能低下症の可能性があります。甲状腺ホルモンが低い場合には血中コレステロール値や中性脂肪が高くなりやすく、放置すると動脈硬化が進行し心疾患のリスクが高くなります。その他、超音波検査で甲状腺の大きさや腫瘍性病変の合併の有無を確認することも重要です。中枢性甲状腺機能低下症では下垂体、視床下部MRIを撮影します。
治療
甲状腺機能低下症の治療には、甲状腺ホルモンである合成T4製剤(チラーヂン®S)の服用による治療を行います。
鉄剤、亜鉛含有胃潰瘍薬、アルミニウム含有制酸剤などは甲状腺ホルモン製剤の吸収を阻害するので、内服間隔をあけることが必要です。また抗痙攣薬や抗結核薬と併用時には増量が必要な場合もあります。
高齢者や、冠動脈疾患、不整脈のある患者さまでは慎重に内服を開始します。成人の合成T4製剤の内服維持量は甲状腺機能低下の程度によって様々ですが、最大で100~150μg/日です。
内服治療は通常少量から開始し、維持量にまで徐々に増やします。維持量に達するのには数か月かかります。
治療開始にあたって最も注意しなければならないのは、狭心症などの虚血性心疾患を合併している場合です。そういった患者さまは甲状腺機能低下症の治療開始時に狭心症の頻発や心筋梗塞を生じる可能性がありますので、12.5μg/日程度の少量から治療を開始します。
妊娠中は、甲状腺機能低下症を急速に改善する必要があるので、診断後は100~150μg/日で開始します。
甲状腺ホルモン値が正常範囲内で、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が高値の場合は、「潜在性甲状腺機能低下症」と言います。
我が国での調査では健康な人の4~20%にみとめられるといわれており、特に女性に多く年齢が上がるにつれて増加します。
治療すべきかどうかについては、未だに議論が多いですが、持続性にTSH値が高値の場合や、妊娠を前提とした場合や妊婦に対しては合成T4製剤の内服を行います。
一過性甲状腺機能低下症で症状が軽度のものであれば特に治療の必要はありませんが、しかし甲状腺機能低下症の症状が強ければ数か月間、合成T3製剤(チロナミン®)を毎日15μg程度内服していただきます。患者さまの血清FT4が正常化すれば中止することができます。
またヨウ素の過剰摂取が原因と判断された場合は、ヨウ素の摂取制限をすることで甲状腺の機能が回復することもあります。
原因
甲状腺そのものの働きが低下することで起こる「原発性甲状腺機能低下症」、甲状腺をコントロールしている甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌が少なくなって起こる「中枢性甲状腺機能低下症」があります。
原発性甲状腺機能低下症の原因として圧倒的に多いのは橋本病(慢性甲状腺炎)で、ほかにヨウ素過剰によるもの、バセドウ病のアイソトープ治療や甲状腺手術後に起こることがあります。
また、抗がん剤や不整脈の薬、インターフェロンなどの薬物による影響や、悪性リンパ腫、アミロイドーシスなどの甲状腺浸潤性病変によるものがあります。
予防/治療後の注意
食事、日常生活の注意
海藻や昆布のサプリメントなどヨウ素が含まれている食品を多く摂りすぎたり、イソジンのうがいを毎日のように使用したりすると甲状腺機能が低下する可能性がありますので、過剰にはとらないようにしましょう。
ただ、あまり神経質になる必要はありません。ごく普通の食事の範囲で海藻類をとるのは問題ありませんし、うがい薬も風邪の時に使用するのは全く問題ありません。それ以外の日常生活での注意は特にありません。
妊娠予定の女性
妊娠中に甲状腺機能が低下していると流産しやすくなることが分かっています。妊娠が分かったら早期に甲状腺機能を再確認する必要があります。甲状腺ホルモン薬による補充療法は長く継続する必要がある場合が多いため、定期的な検査と補充量の調整が重要です。
甲状腺機能亢進症とは
甲状腺から甲状腺ホルモンが多量に分泌され、全身の代謝が高まる病気です。
バセドウ病とは、この病気を報告したドイツの医師の名前に由来するもので、米国や英国では別の医師の名前をとってグレーブス病と呼んでいます。血液中に抗TSHレセプター抗体(TRAb)ができることが原因です。
自己抗体とは自己組織に対する抗体で、自己抗体により引き起こされる病気は自己免疫疾患と言われ、甲状腺疾患はその代表的なものです。自己免疫疾患は他の自己免疫疾患を合併しやすいことも注意が必要です。この抗体は、甲状腺の機能を調節している甲状腺刺激ホルモン(TSH)というホルモンの情報の受け手であるTSHレセプターに対する抗体です。これが甲状腺を無制限に刺激するので、甲状腺ホルモンが過剰につくられて機能亢進症が起こります。
このTRAbができる原因はまだ詳細にはわかっていませんが、甲状腺の病気は家族に同じ病気の人が多いことでもわかるように、遺伝的素因が関係しています。
症状
甲状腺ホルモンが過剰になると全身の代謝が亢進するので、食欲が出てよく食べるのに体重が減り(高齢になると体重減少だけ)、暑がりになり、全身に汗をかくようになります。精神的には興奮して活発になるわりにまとまりがなく、疲れやすくなり、動悸(どうき)を1日中感じるようになります。手が震えて字が書きにくくなり、ひどくなると足や全身が震えるようになります。イライラして怒りっぽくなり、排便の回数が増えます。
また、大きさに差はありますがほとんどの症例で軟らかいびまん性の甲状腺腫が認められます。眼球が突出するとよくいわれますが、実際には5人に1人くらいです。
検査・診断
甲状腺ホルモン(遊離チロキシン:FT4)と甲状腺刺激ホルモン(TSH)を測定することで、診断できます。
さらにバセドウ病であることを確認するには、原因物質である抗TSHレセプター抗体(TRAb)を測定します。
治療
抗甲状腺薬治療、手術、アイソトープ治療の3種類がありますが、通常は抗甲状腺薬治療をまず行います。
抗甲状腺薬(チアマゾール、プロピルチオウラシル)は甲状腺ホルモンの合成を抑える薬です。この薬で合成を抑えると、4週間くらいで甲状腺ホルモンが下がり始め、2カ月もすると正常になって、自覚症状はなくなり、完全に治ったようになります。
しかし、原因のTRAbが消えるのは2~3年後なので、TRAbが陽性の間は抗甲状腺薬をのみ続ける必要があります。いつまでもTRAbが陰性にならない時は、甲状腺を一部残して切除する甲状腺亜全摘(あぜんてき)出術をするか、放射性ヨードを投与して甲状腺を壊すアイソトープ治療をすることになります。
このどちらを選ぶかは、甲状腺の大きさや年齢、妊娠の希望などを考慮して決定します。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の放射性ヨード治療とは
海藻にはヨードと呼ばれる栄養素がたくさん含まれています。食事から入ったヨードは甲状腺に集まり、そこで甲状腺ホルモンが作られています。放射性ヨードも食事のヨードと同じ性質をもっているので、薬として服用すれば同じように甲状腺に集まります。
しかし放射性ヨードと食事中のヨードの違いは、放射性ヨードがベータ線と呼ばれる特殊な放射線を出すことです。これが甲状腺を部分的に破壊し、ホルモン合成を抑える働きをします。これがヨード治療の原理です。放射性ヨードのほとんどの放射線は甲状腺が受けます。
放射性ヨードは、ほとんどが甲状腺に集まり、一時的に身体の中に残ります。一方、甲状腺に取り込まれなかった放射性ヨードは、最初の1日間でほとんどが尿中に排泄されます。身体の中の放射性ヨードはしだいに減っていき、治療が終わったときには身体の中には放射能は残っていません。
ヨード制限中に食べてはいけない食品
検査の2週間前からヨードを含まない食事(禁ヨード食)が必要です。
ヨードは海藻類に多く含まれています。寒天・昆布だしなどの形で思いがけなく入っていることもありますので、食品の原材料表示を確認するよう心がけましょう。
ヨードを多く含むこんぶ、わかめ、のりなどの海藻類と、そのだしや寒天などの加工食品を避けてください。
その後甲状腺のヨードの取り込み率と甲状腺の写真撮影(シンチグラフィ)をし、ちょうど良い治療量を決めます。
なお、禁ヨード食は治療終了の1週間後まで続けてください。
- すべての海藻類
- 海藻加工食品
- 昆布エキスを含んだ食品
- 寒天を含んだ菓子類
- ヨードを添加した食品
- カラギナンを含んだ食品(海藻由来の食品添加物のこと)
- 赤身魚
- 青身魚
- 白身魚
- 貝・えび
- 動物の内臓など
治療
放射性ヨードが入ったカプセルを服用するだけの簡単な治療であり、副作用もありません。ヨードは微量であり、ヨード過敏症の人でも安心して治療できます。
バセドウ病の治療には通常4-8週の入院期間が必要です。ただしこの期間は甲状腺機能亢進の症状の強さにより異なります。ヨード治療のみを行なう場合は短期間の入院になることもあります。
いずれにせよ、甲状腺に集まらなかった放射性ヨードのほとんどが尿に排泄されるため、専用の治療病室に最低1日の入院が必要です。入院期間は状況により異なりますので、担当医と相談してください。
放射性ヨード治療の効果はゆっくり現われます。早ければ2週間くらいで機能が下がり始め、半年くらいまで徐々に甲状腺の働きが下がっていきます。甲状腺腫の大きさは、治療により縮小します。これは抗甲状腺薬にみられない効果です。この治療により甲状腺機能は確実に下がりますが、放射性ヨードの効果には個人差があります。
予防/治療後の注意
ヨード治療は安全な治療法です。ただし、治療後の半年くらいは甲状腺機能が変化しますので、その時の状態にあわせて対処する必要があります。仕事を軽減したり、休息が必要な場合もあります。
放射性ヨード治療後は長期的に見て、甲状腺機能低下症が高率に発生します。このため、一旦機能が正常化しても通院を中止することなく、経過観察を受けることが大切です。なお、抗甲状腺薬は妊娠中でも医師の指示のもとに服用することができます。
バセドウ病は女性では100人に1人の頻度でみられる病気で、決してまれなものではありません。
自覚症状がなくなっても治ったわけではなく、いつ薬をやめるか、薬物治療以外の治療に切り替えるかなど難しい点もあるので、できれば甲状腺専門医と相談しながら治療することをすすめます。
高血圧
高血圧と食事
脳卒中や心筋梗塞にならないためにも高血圧は絶対に放置しないようにしましょう。
当院での高血圧に対する食事指導です。
カップ麺でもスープまで飲むと1日6g未満の目標とほぼ同じ量の食塩になります。うどんやそば、ラーメンの汁は飲まない、レモンなどの香味を利用した味つけをするなど、日常の中で工夫をして塩分をとりすぎない生活習慣を心がけましょう。めん類は旧1杯以下、つゆを残しましょう。うどんやそばなど和風のめん類でも、1人前の塩分は4~5g。ラーメンはもっと多く、1人前で7~8g!つゆを飲まずに食べても、半分は口に入るのでこ注意してください。めん類を食べる日は、ほかの食事で汁物を控えましょう。
水溶性食物繊維は、ナトリウムを排除して血圧上昇を抑え、コレステロールの吸収も抑えます。寒天、海藻類、りんご、さつまいもなどを摂りましょう。日本人の食塩摂取量は1日に10.4g(平成23年国民健康・栄養調査)ですが、食塩制限だけでかなり血圧が下がる人も多く、1日6g未満を減塩目標にしましょう。
野菜や果物を積極的に摂り、コレステロールや飽和脂肪酸を含む食品の摂取は控えめにしましょう。
副菜(ビタミン・ミネラル・食物せんいを多く含む食品)ビタミンやミネラルは微量栄養素と言われ、体内で作ることができないので、食事から十分確保する必要があります。
食物線維は胃の中に留まっている時間が長いことから空腹感を和らげたり、炭水化物や脂肪の吸収をゆるやかにする働きがあります。野菜類は毎食積極的にとりましょう。
海そう・きのこ・こんにゃくといった低エネルギーの食品も利用しましょう。
日常生活の注意
生理的な空腹感よりもストレスや習慣といった外的な因子によって食べ物に手が出てしまうことも多くあります。
自分の行動に問題がないか分析・認識し、行動を修正していくことが重要です。
- 一口ずつゆっくりよく噛んで食べましょう。
- 間食は太る原因になるので、できるだけ控えましょう。
- 特に夕食後の間食は控えましょう。
- 炭酸飲料や砂糖入りの飲み物は控えましょう。
- 目につくところや手の届くところに食べ物を置かないようにしましょう。
- 活動量を増やしましょう。
糖尿病
糖尿病とは
糖尿病とは血糖値が高い病気です。血液中のブドウ糖のことを「血糖」といいます。血液の中にどのくらい「血糖」がとけているかを表す単位が「血糖値」です。
空腹時の血糖値が126mg/dl以上、食後血糖値が200mg/dl以上である場合は、糖尿病である可能性が極めて高いと言えます。
しかし、糖尿病の判定基準には血糖値以外のもう一つの要素があります。それが、HbA1cです。高血糖が続くと、ヘモグロビンと糖が結合しHbA1cとなります。1〜2ヶ月後、結合はより強固になり約120日間血液中に存在します。よってHbA1cは約1〜2ヶ月の血統平均値を示すこととなり、血糖値はある一時点での血糖値を示すにすぎないのです。
その特性を生かして、空腹時血糖値が126mg/dl以上、食後血糖値・随時血糖が200mg/dl以上で、HbA1cが6.5%以上であれば糖尿病だと判定されます。
インスリンの作用が不足することで高血糖になります。インスリンは、胃の裏側に存在するすい臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌されるホルモンで、血管内のブドウ糖を細胞へ取り込む働きがあり、血糖の上昇を抑える作用があります。ただし、すい臓内のインスリンの働きが不足すると、筋肉や肝臓への糖の取り込みが低下して高血糖を起こし糖尿病となり、血管障害を併発します。
糖尿病には、大きく分けて1型糖尿病と2型糖尿病がありますが、95%以上は2型糖尿病となります。発症年齢は主に中高年ですが、最近では若い方でも発症するケースがあります。家族に糖尿病歴の方いる場合が多く、遺伝の可能性もありますが、一番は暴飲暴食・飲酒・喫煙・運動不足・肥満など生活習慣の問題により発症するケースが多いです。糖尿病に対するお薬は有効ではありますが、最も重要なのは食事・運動療法です。自覚症状としては、多尿・水分を多くとる(多飲)・体重が減る・疲れやすい・空腹感が強く、たくさん食べる・手足がしびれる、足がつるなどがあります。
糖尿病はとても恐ろしい病気です。糖尿病予備軍ですら、動脈硬化性合併症として心筋梗塞や脳梗塞という危険な病気をを引き起こします。2型糖尿病となり病状が進行すると、3大合併症である神経障害・網膜症・腎症を併発します。神経障害では、手足の痺れや感覚の麻痺、足の先が腐り場合によっては切断というケースもあります。網膜症では、眼底出血のためものが赤く見えたり、目がかすんだりします。腎症は、腎機能が悪化し腎不全になれば透析が必要になあり、尿毒症という毒素がたまる病気にもなります。3大合併症の予防のための目標は、HbA1cは7.0%未満です。
治療
糖尿病を治療とは、血糖値を常に健康な人に近いレベルに維持し続けること、高血糖にならないようにすることです。そのために最も重要なのは食事療法です。食事のポイントは、主食(ご飯・パン類などの炭水化物)と、主菜(肉・魚などのタンパク質)と、副菜(野菜・海藻などのビタミン)をバランス良くとることです。朝食では和食・洋食に関わらず主食・主菜・副菜を揃え、その日の予想運動量に応じて、食べる量を調整することがポイントです。昼食では丼物・カレーなどの単品はできるだけ避け、主食を控えめにし主菜と副菜を多めにとりましょう。野菜は多めに、揚げ物は控えめにし、牛乳や乳製品、果物を添えるとよいでしょう。夕食では朝食・昼食ではとらなかった食材・調理方法を選び、入眠2時間前には食事を終わらせましょう。
予防
食後の血糖上昇を抑えるために「食べる順番ダイエット」があります。これは食事の順番を①食物繊維、②発酵食品、③タンパク質、④炭水化物にすることで血糖値が上がりにくくすることです。
食後血糖値の上昇を示す指標をグライセミック・インデックス(GI)があります。GIは食品に含まれる糖質の吸収度合いを示し、摂取2時間までの血液濃度を計ったもので、GI値が高い食材は糖尿病の方には不適切となります。GI値が高い(70以上)食材には、白砂糖、黒砂糖、白米、食パン、せんべい、キャラメル、フライドポテト、アメ玉、どら焼き、ミルクチョコレート、じゃがいも、大福、もち、うどんなどがあります。一方、GI値が低い(45以下)食材には、バナナ、豆腐、りんご、大豆、キャベツ、きなこ、納豆、ぶどう、そば粉、みかん、トマト、きのこ、牛乳、わかめなどとなり、糖尿病の方でも安心して食べられます。
糖尿病はとても恐ろしい病気です。診断された方は決して放置せず、場合によっては病院でお薬の治療が必要となりますが、日々の生活の中での自己管理がとても重要となります。
高脂血症
中性脂肪を増やす食品
中性脂肪が高くても、自分で気づくことはほとんどなくて、放っておくと、心筋梗塞や脳血栓などの要因になる可能性が大きいので、中性脂肪の数値を低めで安定させておくことが大切です。
中性脂肪数値が高いまま放置しておくと、血管が老化してしまうので、先にあげた血栓などの病気に繋がるので、気をつけねばなりません。
中性脂肪が増えた状態が長続きすると動脈硬化の危険性が出てきます。
血液中の中性脂肪が増えると、善玉コレステロールが減って、悪玉コレステロールがふえることになり、コレステロールが血管壁にたまりやすくなります。
血管の中が中性脂肪やコレステロールで詰まってくると、動脈硬化になります。
動脈硬化は心筋梗塞や脳血栓の原因になり、日本人の死亡率の上位に位置する病気の一つですから、気をつけねばなりません。
- 砂糖
- 果物
- 脂質
- アルコール
- 炭水化物
脂肪吸収を防ぐ食品
- L-カルニチン
- ミネラル
- 魚油やDHAやEPA
- ビタミンC
- アミノ酸
- カテキン など
痛 風
高尿酸血症
尿酸は、細胞の中にある「核酸」という遺伝子の成分が分解されてできた、いわゆる古い細胞の残りかすでもあり、また、体の中のエネルギーのもととなっている物質の燃えかすでもあります。すなわち、新陳代謝によって細胞が分解されたり、エネルギーを使うと、体内で尿酸が作られるわけです。
また、尿酸の原料は食物(特に肉類)にも含まれており、これらを食べることによっても体内で尿酸が作られることになります。
われわれの体内では、尿酸が毎日一定量つくられ、一定量が主に腎臓から排泄されてバランスを保っています。
ところが、なんらかの原因で尿酸が過剰に作られたり、腎臓などでの排泄がうまくいかなくなると、体内の尿酸濃度が一定以上に高くなってしまいます。この状態を「高尿酸血症」といいます。
体内で尿酸が溶けきれなくなると、その結晶が関節や他の臓器に沈着し、さまざまな合併症を引き起こしますので注意が必要です。血液中の尿酸の値が7を超えると高尿酸血症と定義されます。
尿酸の結晶が関節に沈着して引き起こされる病気が痛風です。足の親指の付け根に起こることが多く、激しい痛み、発赤、腫脹を認めます。高尿酸血症の患者さま全員が必ず痛風になるわけではありませんが、その状態が長く続いたり、血清尿酸値が高くなればなるほど痛風発作が起こりやすくなります。
現在、全国の痛風患者は約60万人と言われています。そして高尿酸血症患者はその約10倍にも及ぶと推定されており、高尿酸血症は、今や高血圧症や糖尿病などと同様な生活習慣病として注目を集めています。
痛風は男性の病気と言われており、患者の99%は男性です。女性に痛風が少ないのは、女性ホルモンが尿酸を体外へ排泄しやすくしているからだと言われています。したがって、一般に女性が痛風になるのは、女性ホルモンが減る更年期以降です。また、痛風はその体質が遺伝するとも言われています。
尿酸の値をみるときに「7」「8」「9」のルールがあります。
血清尿酸値が「7」を越えたら生活習慣の見直し、尿路管理をはじめ、「8」を越えて痛風発作の既往や尿路結石があれば、薬物治療をはじめ、「9」を越えたら積極的に薬物治療を考慮しましょうというものです。
高尿酸血症の治療の目的は次の4つです。
- 痛風発作を防ぐ。
- 尿酸沈着による合併症である腎障害(痛風腎)を防ぐ。
- 尿路管理を行い、尿路結石を起きないようにする。
- 高尿酸血症の患者さまは高血圧、血糖異常、脂質異常、肥満を合併することが多いため、
これらの併発と心血管病変の進展を防ぐ。
血液中の尿酸の値が高くなるのは、次の3つの原因があります。
- 尿中への尿酸の排泄が低下する(排泄低下型)
- 尿酸の産生が過剰になる(産生過剰型)
- これらの両方の要因が混じっている(混合型)
治療法
痛風発作が起きないように食事、運動療法、必要なときには薬物治療を行っていくことが必要です。
痛風発作時には発作治療の薬を使います。
- コルヒチン
発作の前兆の時期(患部がむずむずしたり腫れたりする時期)に使用します。
発作の極期にしようすると効果は乏しいと言われています。 - NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)
急性炎症である痛風関節炎治療の中心薬剤です。軽快すれば投与は中止します。 - ステロイド
NSAIDが使えない場合や、NSAIDが無効な場合に使用します。- 痛風発作中に尿酸値が変動すると痛みがさらに強まると言われています。発作中、 尿酸値を下げる薬を飲んでいる人はそのまま服用を続け、飲んでいない人は発作がおさまってから飲み始め、発作中に尿酸降下薬を開始しないことを原則としています。
尿酸高値が続くと腎臓に尿酸が沈着し腎障害(痛風腎)が進むことがあります。
- 痛風発作中に尿酸値が変動すると痛みがさらに強まると言われています。発作中、 尿酸値を下げる薬を飲んでいる人はそのまま服用を続け、飲んでいない人は発作がおさまってから飲み始め、発作中に尿酸降下薬を開始しないことを原則としています。
尿酸値のコントロールを行い、定期的な血液検査により腎機能障害の程度も確認していきます。
尿酸値が高い方は肥満を合併し高血圧、高脂血症、糖尿病などの他の生活習慣病と一緒になって動脈硬化が促進され、心血管障害(狭心症や心筋梗塞)、脳血管障害(脳梗塞や脳出血)の危険性が高くなります。このため、血圧、脂質、血糖値などを全般的に改善しながら血清尿酸値を下げることが大事になります。
尿酸は尿中に溶けて排出されます。ところが尿が酸性になっていると尿酸が溶けずに析出して尿路結石が起こりやすくなります。尿が中性になると尿酸が尿に溶けやすい状態になります。尿酸値が高い方は尿が酸性になっていることが多いので、尿検査で尿のpHを確認し、酸性に傾いているようであれば、尿をアルカリ化する薬を使用します。
水分を多くとって尿量を多くすることも大事になります。この場合には水やお茶をこまめにとって尿量を1日2L以上にすることがよいとされています。ただし、水分制限が必要な方はよく相談をしてください。
- 痛風発作の予防や合併症の予防を考慮して高尿酸血症・痛風治療の時の尿酸値の目標は6mg/dl以下に維持することが望ましいとされています。
誘因
痛風の誘因としては、以下のものが考えられています。
- 食べ過ぎ(高エネルギー食、動物性食品)
- アルコールの飲み過ぎ
- 肥満
- ストレス
- その他二次性のもの(他の病気や、薬の副作用)
細胞の新陳代謝の時にできる老廃物が尿酸であり、体内ではプリン体という物質から作られます。
このためプリン体を多く含む食品を避けることが大事になります。