潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に広く浅く炎症が生じ、びらんや潰瘍ができる病気です。
20~30代の若年成人に多く発症しますが、50~60代の人にもみられます。
また、潰瘍性大腸炎を発症して10年以上たつと、大腸がんの発生する危険性が高くなります。
原因
大腸粘膜に対する異常な免疫反応、つまり、体のなかに異常な抗体ができ、これが自分の大腸粘膜を攻撃すること
などが原因とされていますが、遺伝的素因や食生活、腸内細菌叢(そう)の変化などが複雑に絡み合っており、
すべてが明らかになっているわけではありません。
肉体的、精神的ストレスで悪化することがあります。
症状
下痢、血便、粘血便、腹痛、発熱、頻脈、貧血、体重減少がおこります。
治療によって改善しても数カ月から数年後に再び悪化し、それを繰り返す場合(再燃緩解型)や、
症状がだらだらとずっと続く場合(慢性持続型)などのタイプに分類されます。
診断
診断のためには大腸内視鏡検査が必要です。
潰瘍性大腸炎の炎症の特徴は、びまん性、連続性と表現され、
大腸粘膜の全周にわたる炎症が直腸から連続してみられます。
炎症が直腸だけに限られている直腸炎型、
直腸から大腸の左半分に広がっている左側大腸炎型、
大腸全体に炎症のある全大腸炎型に分けられます。
潰瘍性大腸炎の大腸内視鏡像
治療
軽症の場合は、5-アミノサリチル酸製剤(サラゾピリン、ペンタサ、リアルダ)、ステロイド薬の内服を行います。
これらの薬剤の坐薬を使用する場合もあります。
重症の場合は入院し、免疫抑制薬を使用したり、ステロイド薬を静脈内投与します。
腸管を安静にするため絶食とし、中心静脈栄養が必要になることもあります。
これらの治療で改善しない時には、大腸を摘出する手術が必要になります。
自己管理
症状のある時には、高脂肪食や繊維質の多い食事を避け、アルコールや香辛料をひかえるようにします。
肉体的、精神的ストレスを多く受けないような自己管理も重要です。
厚生労働省の特定疾患に指定されているので、申請すると医療費の補助が受けられます。