生活習慣病の
(1)定義
(2)種類・危険性
(3)予防・対策
について説明します。
(1)生活習慣病の定義
生活習慣病とは、
★食習慣

★運動習慣

★喫煙

★飲酒

★休養

などの生活習慣が発症や進行に深く関わる病気の総称です。
現状、生活習慣病に含まれる病気とされているのは、
★がん(悪性新生物)
★脳血管疾患(脳梗塞、くも膜下出血など)

★心疾患(狭心症、心筋梗塞など)

さらにそれらの危険因子となる
★動脈硬化症
![動脈硬化の図のイラスト素材 [196277216] - イメージマート](https://mpreview.aflo.com/8FtRjW55MseL/afloimagemart_196277216.jpg)
★糖尿病
★高血圧症
★脂質異常症(高コレステロール血症など)
です。
★メタボリックシンドローム

メタボリックシンドローム(メタボ)は、
糖尿病をはじめとした生活習慣病になる一歩手前の状態といえます。
メタボの人はそうでない人と比べて、
2型糖尿病になるリスクや、心血管疾患を起こし、
それにより
死亡するリスクが約3倍
になるというデータがあります。

日本では、
ウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)
男性85cm・女性90cm以上で、
かつ
血圧・血糖・脂質の3つのうち
2つ以上が基準値から外れると、
「メタボリックシンドローム」と診断されます。
★睡眠障害

なども発症に生活習慣が関係していることから、生活習慣病に含まれることがあります。
★骨粗しょう症

★ロコモティブシンドローム(運動器症候群)
筋肉や骨、関節、椎間板といった運動器の障害のために立ったり歩いたりするための
身体能力(移動機能)が低下した状態


★サルコペニア
加齢による筋肉の減少にともなって運動能力が低下した状態


★フレイル
加齢により心身が老い衰えた、健康と要介護の間の虚弱な状態


(2)生活習慣病の種類・危険性
①がん
がんのなかでも
★大腸がん

と
★肺がん

は、生活習慣との関連が大きいことが知られています。
遺伝の場合を除いて
大腸がんは、食習慣
との関連が明らかになっており、
肺がんは、喫煙
という生活習慣が最大の原因です。
WHOが提唱する生活習慣病のような概念=NCDsでも、
がんの発症には
★喫煙

★食生活

★運動不足

★飲酒

といった生活習慣が関係するとされています。
②糖尿病
糖尿病は、「インスリン」というホルモンの不足や働きが悪くなることによって、
血糖値の上昇を抑える働き(耐糖能)が低下し、高血糖の状態が続く病気です。
★目

★腎臓、

★神経

などに影響が出る他、
★心臓病

★脳卒中

が発症するリスクが高まり、命に危険が及ぶこともあります。
③脂質異常症(高脂血症)
脂質異常症とは、血液中の悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪が多すぎる、
もしくは善玉(HDL)コレステロールが少なすぎるなど、脂質が異常な状態にある病気です。
動脈硬化と関連があり、ある日突然、
★心筋梗塞

★狭心症

★脳梗塞

などの血管障害を発症させることがあるなど、注意が必要です。
④高血圧症

高血圧が続くと動脈硬化を引き起こしやすくなる他、
脳出血

脳梗塞
大動脈瘤

腎硬化症

心筋梗塞
狭心症
眼底出血


などの原因にもなります。
⑤脳卒中
脳卒中は、脳血管障害とも呼ばれます。
★脳梗塞、
★脳出血、
★くも膜下出血

という3つの病気の総称で、いずれも高血圧が最大の原因です。
高血圧が長く続くと、動脈硬化が進行します。
すると、やがて脳の血管が詰まって脳梗塞になったり、脳の血管が破れて脳出血になったり、
脳の血管の一部分に動脈瘤ができて破裂し、くも膜下出血になったりすることがあります。
⑥心筋梗塞

心筋梗塞は、循環器の要といえる心臓の血管が何らかの原因で詰まり、
血液の流れが止まって細胞が死んでしまう箇所(梗塞)が生じる病気です。
無事に回復しても、心不全や不整脈などの後遺症をもたらすこともあります。
心疾患は日本人の死因の第2位
と重要な疾患です。
⑦慢性気管支炎

気管や気管支が長期間にわたって炎症を起こし、咳やたんが続くのが特徴です。
喫煙や受動喫煙※が主な原因で、粘り気の強いたんが詰まるなどして気道が狭くなり、
息を吐きづらくなることもあります。
なお、最近では慢性気管支炎などの肺の炎症性疾患を総称し、
★慢性閉塞性肺疾患(COPD)


と呼ぶこともあります。
※タバコから出る煙(副流煙)と喫煙者が吐き出した煙(呼出煙)が混ざった煙を
吸わされてしまう、もしくは吸わせてしまうこと。
喫煙者自身が吸い込む主流煙より、タバコから出る副流煙の方が、
有害物質が多いといわれています。
⑧肝硬変
肝硬変とは、
★B型・C型肝炎ウイルス感染、

★多量・長期の飲酒、

★過栄養

★自己免疫

などにより起こった慢性肝疾患によって、肝臓内に線維組織が増え、
肝臓が硬くなってしまう病気です。
⑨脂肪肝

肝臓には、体内で余ったエネルギーが中性脂肪につくり替えられて貯蔵されます。
適量ならば問題ないのですが、
肝細胞の30%以上に中性脂肪がたまると
「脂肪肝」
と診断されます。
多くはメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を合併しています。
原因のほとんどは
食べ過ぎや飲み過ぎ(多量の飲酒)

ですが、糖尿病やステロイド剤の服用などによる代謝異常が影響していることもあります。
自覚症状はほとんどなく、放っておくと肝炎や肝硬変になるため、注意が必要です。
近年では、アルコールではなく
過食が原因
で脂肪肝から肝炎・肝硬変となる
「NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)」
が増加していることが問題視されています。
⑩歯周病

口のなかに生じる感染症の一種です。
細菌の感染によって歯の周りの歯ぐき(歯肉)や、歯を支える骨などが溶けてしまう
といった症状が生じます。
近年では、歯周病を中心とした口腔内の病気が
心血管系疾患

糖尿病

肺炎

などの生活習慣病を始めとする全身に関わる病気に影響を与える
という報告が増えていて、注目が集まっています。
また高齢者においては、歯の喪失の最も重要な原因とされています。
「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」
という「8020運動」にも関わってくる病気です。
(3)予防と対策
★バランスの良い食事

食事は栄養バランスを整えることが基本です。
食生活の乱れ

偏った食生活を続けていると、栄養のバランスが崩れ、病気を引き起こす原因となります。
特に
糖尿病、
脂質異常症、
脂肪肝
などは、食事の内容が大きく影響しています。
塩分・脂肪の摂取制限、
野菜・果物の摂取
に努めましょう。
糖尿病、
大腸がん、
動脈硬化症、
炎症性腸疾患
などの疾患の予防につながります。
★定期的な運動
運動不足

現代は、
車社会
![車社会のイメージイラストのイラスト素材 [96190982] - PIXTA](https://t.pimg.jp/096/190/982/1/96190982.jpg)
や
デスクワーク

が中心であることによる身体活動の不足や運動不足になりがちです。
意識して体を動かしていないと、
★高血圧
★糖尿病
★脂質異常症
★狭心症

★心筋梗塞
などの虚血性心疾患、
★脳梗塞
といった病気を発症したり、
★ロコモティブシンドローム
★サルコペニア
などが生じ、さらに運動不足になるという悪循環に陥ることもあり、注意が必要です。
★ウォーキング

などの息が少し弾む程度の
有酸素運動を30~60分、週3日以上
実施すると良いでしょう。
日々の生活で
椅子に座っている時間を減らし、
こまめに動く
ようにすることも運動不足の解消につながります。
★ストレス管理

ストレスは、動脈硬化発症の引き金になることがわかっています。
仕事や家事で忙しい人、
多くのことに関わり
時間に追われるように過ごしている人、
常に
てきぱきと動いている人
は、ストレスの影響を受けやすく
週のはじまりである月曜日には
★心筋梗塞
の発症が多いため、日頃からストレスを抱えやすい人は注意しておきましょう。
ストレスを軽減するための方法を見つけ、心の健康を保つことも重要です
★十分な休養と睡眠
日本人の5人に1人は慢性的な睡眠不足といわれています。
しっかりと体を休めるには、
★6~8時間の睡眠が必要です。
日中の活動量に応じた適正な睡眠時間を取るよう心掛けていきましょう。
睡眠不足になると休養不足となり、疲労が蓄積されて不調を招きやすくなります。
睡眠不足が関連する代表的な病気としては、
不安障害
うつ病
などの精神疾患、
ホルモン分泌の乱れによる
メタボ
高血圧
糖尿病、
そして
自律神経の不調から免疫が低下することによる
風邪
などの感染症まで多岐にわたります。
★節酒
飲酒(アルコール)

飲酒は、さまざまな生活習慣病の発症と密接に関わっています。
特に日本人は、アルコールの代謝物質であるアセトアルデヒドをすばやく分解する酵素を
持たない人が多く、アルコールの影響を受けやすいといえます。
厚生労働省による「国民健康・栄養調査(令和元年)」では、
男性の約6人に1人、女性の10人に1人が、
生活習慣病のリスクを高める量を飲酒しているという結果が出ています。
望ましいとされるアルコールの摂取量は、
1日20g(日本酒に換算して一合程度)
までといわれています。
以下の表を参考に、1日の飲酒量をとどめておきましょう。
<酒類摂取量換算の目安>
| お酒の種類 | アルコール度数 | 純アルコール量 |
| ビール(中瓶1本 500ml) | 5% | 20g |
| 清酒(1合 180ml) | 15% | 22g |
| ウイスキー・ブランデー (ダブル 60ml) | 43% | 20g |
| 焼酎(1合 180ml) | 35% | 50g |
| ワイン(1杯 120ml) | 12% | 12g |
出典:『健康日本21(アルコール)』厚生労働省
★喫煙(タバコ)

タバコの煙には約7,000種類の化学物質、約250種類の有害成分が含まれており、
そのうちの70種類以上には
発がん性
が確認されています。
日本では、
年間12~13万人が喫煙により死亡している他、
約1万5,000人が受動喫煙による
肺がん、
虚血性心疾患、
脳卒中、
乳幼児突然死症候群
などで死亡
していると推計されています。
喫煙者本人だけでなく、家族や周囲の他者にまで大きな害を及ぼす可能性がある習慣です。
すべての喫煙者にもたらされる禁煙の効果
(禁煙後すぐ、また長期的に現れる健康へのメリット)>
| 禁煙をしてからの経過時間 | 健康上の好ましい変化 |
| 20分以内 | 心拍数と血圧が低下する |
| 12時間 | 血中一酸化炭素が低下し正常値になる |
| 2-12週間 | 血液循環が改善し肺機能が高まる |
| 1-9カ月 | 咳や息切れが減る |
| 1年 | 冠動脈性心疾患のリスクが喫煙者の約半分に低下する |
| 5年 | 禁煙後5-15年で脳卒中のリスクが非喫煙者と同じになる |
| 10年 | 肺がんのリスクが喫煙者に比べて約半分に低下し、 口腔、咽喉頭、食道、膀胱、子宮頸部、膵臓がんのリスクも低下する |
| 15年 | 冠動脈性心疾患のリスクが非喫煙者と同じになる |
★定期的な健康診断
による早期発見生活習慣病は初期に自覚症状が少ないことが多く、
★日常生活の改善と定期的な健診
これらの習慣を実践することで、生活習慣病の予防や健康維持に繋がります。

定期的に健康診断を受けることは、生活習慣病のリスクがどれくらいあるかを把握
することにつながるといえます。
定期的に受診し、必要に応じて精密検査を受けるなどして、
生活習慣病を予防していきましょう。