潰瘍性大腸炎の主な症状は?
粘血便(粘液と血液が混ざった便)や、下痢、下腹部の痛みです。
腸の粘膜に炎症が起こると、腸液がたくさん分泌されます。また炎症が起こるとともに、粘膜に白血球が集まり、腸液と白血球が合わさって白い粘液となり、粘液の混じった粘液便が排泄されるようになります。
症状が進行して炎症が広がると、粘膜から出血し、血便が出るようになります。
潰瘍性大腸炎の患者さんは、大腸の粘膜が傷ついていて出血しやすいため、便に血液が混じることが多くなります。
症状の軽い人では、下痢もなく血液が便の表面に付く程度です。
一方、病変の範囲が広かったり大腸の粘膜の傷(潰瘍)が深かったりすると、強い腹痛、水のような下痢に血液が混じったケチャップに似た便になり、重症になると重症だと排便回数は増え、血液や粘液などが混ざったものだけが排出されます。
潰瘍性大腸炎による腹痛は下腹部や臍(へそ)の周りにあらわれることが多いです。炎症が悪化すると(大量出血や大腸穿孔(せんこう:腸に穴が開く)や、炎症が長期に持続することで生じるもの(大腸狭窄(きょうさく:大腸の腸管が狭くなること)があります。
病変の広がる範囲が大きい「左側大腸炎型」「全大腸炎型」では、
排便しても下腹部の痛みが消えない「しぶり腹」がよくみられます。
しぶり腹とは便意を感じるにも関わらず、トイレに行って排便しようとしても便が出ない状態を言います。しぶり腹は大腸(結腸や直腸)に潰瘍ができたことにより感じる痛みの刺激を体が便意と勘違いすることで起こります。そのため、便意を感じながらも実際にはお腹に便が溜まっているわけではないため、排便できないということが起こります。
潰瘍性大腸炎が重症になるにつれて、発熱もみられるようになります。
ひんぱんに粘血便が出ていることで貧血や脱水が生じ、その結果として顔色が青白くなったり(顔面蒼白)、動悸やふらつきが現れたりします。
また食欲不振や体重減少などを伴うことがあります。
炎症が続くと、
大腸がんを発症する危険が高くなる
潰瘍性大腸炎による炎症が長く続くと、潰瘍性大腸炎関連の大腸がんができることがわかっています。特に潰瘍性大腸炎を発症してから10年ぐらい経つと、がんの発生率が5%~10%になるといわれています。そのため、潰瘍性大腸炎が発症した場合は、定期的に内視鏡検査を受けることが大切です。